今日は 類体論 のステートメント(主張)を述べて、その簡単な解説をしたいと思います。
類体論のステートメントは、大きく2種類あって、
- 合同イデアル群を用いたもの
- イデール群を用いたもの
があります。また、今回は単に「類体論」と言っていますが、
- 大域類体論
- 局所類体論
の2種類があります。代数体に対する類体論が大域類体論で、局所体に対する類体論が局所類体論です。
今日は、合同イデアル群 を用いた 大域類体論 のお話をします。つまり、代数体についての理論です。
これまでも本ブログで「類体論的現象」についてはいくつか紹介してきましたが、類体論そのものについてまとめたことはありませんでした。本当はずっと以前からまとめたいと考えていたのですが、「無限素点」の取り扱いに自信がなかったためお蔵入りとなっていたのでした。ようやく出してもいいかもしれないと思えるようになったので、出してみたいと思います(間違ったことを言っていたらごめんなさい)。
無限素点に関してはやはり扱いが面倒だと感じたので、前半では無限素点を考える必要のない 「総虚な体」 上に限定した話をします。ただし、今後のことも考えて、後半でおまけ程度に一般の場合の話もします。
ちなみに今回の記事は、今後書きたい記事の前提知識を与えることを目的として書いています。そのため、内容としては最低限のものしか述べないつもりです。ご了承ください。
続きを読む目次:
- 前提知識:素イデアル分解とフロベニウス
- アルティン写像
- 導手とray類体
- 類体論の主定理
- 具体例:ヒルベルト類体
- 無限素点を考慮した修正
- 具体例:円分体
- おわりに
- 参考文献