今日の記事は3回に渡るシリーズ記事の第1回です。シリーズを通して、複素数の変数を持つ指数関数
に関連する「指数層系列」と呼ばれる概念について紹介したいと思います。
指数層系列は、層の間の準同型がなす完全列です。その完全列が成立する背景には、指数関数の持つ 素朴な3つの性質(指数法則・対数関数・周期性)があります。高校のときに習った指数関数が、層という高度な概念に繋がっていくというのはとても興味を引き立てるものがあります。
最終的には指数層系列まで行きたいのですが、今回はその前の準備段階として、指数関数の性質から導ける短完全列を2つほど紹介したいと思います。
複素数全体の集合を と表し、0でない複素数全体の集合を と表します。
また、 の任意の開集合 に対し、 上の正則関数全体の集合を とし、 上の「至るところ 0 でない」正則関数全体の集合を とします。
また、今回の記事では、正則関数や対数関数の多価性についての知識を前提とします。自信がない方はこちらの記事を読んでいただけると嬉しいです。
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