前々回の記事 で、 型の問題に対して
という拡張が考えられるという話をしました。
式 の方は 前回の記事 で扱ったので、今回は式 を解いてみたいと思います。
つまり、今回の問題はこれです。
このとき、 の組を求めよ。
今回の問題は比較的簡単で、 型の問題とほぼ同様の手順で計算することができます。やってみましょう。
おまけとして、後半では右辺が 個になったバージョンも考えたいと思います。
解答例
式 を変形します。
右辺の計算をするときのコツなんですが、次の 対称式の基本定理 を使うと簡単に計算できます。(このやり方はunaoyaさんに教えていただきました)
さて、前々回の記事で行ったように、移項して右辺に定数項を持ってきて、左辺を で括ります。
ここでまた整数論的な考察を使います。
右辺の約数は と で、左辺も同様です。したがって、 または となります。
あとは、それぞれの場合で計算すればOKです。
のとき、 となりますが、 について計算すると
よって、 が1つめの整数解となります。
のとき、 となりますが、 について計算すると
よって、 が1つめの整数解となります。
以上、2つの解
が求める整数解であることがわかりました。(終わり)
つまり、こういうこと
以上2つが求める整数解だったわけですが、これはどういうことでしょうか。
の形に直すと、式 は
となります。これは、 進法で と表される数は、 に一致するということですね。たしかに計算するとそうなっています。
もう一つの解 も の形に直したいのですが、各桁の数字が2桁以上になってしまいます。桁の区切りを ";" で無理やり表すと
というような書き方になりますが、 進法になれた我々にとってはやや難しいですね。 進法をうまく表現するためには、762種類の数字が必要です。
一方で、時間を表現するために、我々は60進法を使っています。時計のアナロジーで考えてみましょう。
1時間が 分で、1分が 秒であるような時計を考えます。そのような時計において、分秒は一体何秒かという問題を考えると、その答えが 秒である、ということですね。図に表すとこんな感じです。
さらなる拡張
ここまでくると、右辺を 個の積にしたとしても、同様の計算ができることに気づきます。
ここで、右辺は の 次基本対称式 を用いて
と表せます。定数項の は
と表せることに注意すると、式 は
と表せます。
のときは、定数項が だったわけですね。
上の問題と同じように、 の約数を考える必要があります。これについての一般論は難しいので、 の約数の一つを として考えましょう。
すると、 と書くことができ
と表せます。
もちろん、ここから のように整理してもいいですが、もう少し簡単に考えましょう。
元々は式 からスタートしたわけなので、 に を代入してもよいわけですね。よって
が成り立ちます。ここで、 以外の項を右辺に持っていき、 で割ると
となります。また、よくよく考えると
とかけますから、よりすっきり
と表すことができます。
よって一般解は、 の約数を として、次のように得られることがわかりました。
a = 1 のケース
は必ず の約数になりますので、次のタイプの式は、任意の に対して存在します。
このときの は
と表せます。せっかくなので、いくつかの について計算してみましょう。
まとめ
これまでの結果をまとめておきましょう。
問題 | 解 |
---|---|
型 | |
型 | |
型 | の任意の約数 に対して (ただし、) |
型 | なし |
型 | なし |
これで左辺3桁・右辺3つの積までの問題については一通り解決することができ、tsujimotterはだいぶ満足しています。
この先さらに左辺が4桁以上の場合などの拡張ができると思いますが、難しそうなのでこの辺で打ち止めにしておこうかなと思います。何か新しい発見がありましたら教えてください。
それでは、今日はこの辺で。