こんにちは、tsujimotterです。
まずはこちらのツイートをご欄ください。
【8/24ロマンティスト紹介その6】
— ロマンティック数学ナイト (@r_mathnight) August 8, 2019
藤坂一麦
2001年5月28日 数学の存するこの世界に生まれる
2008年頃 12=3×4,56=7×8の美しさに感動する
2015年頃 三角関数のテイラー展開の神秘に涙を流す
2019年現在 愚直に数学を愛する#ロマンティック数学ナイト pic.twitter.com/asNMvZmz8W
特に読んでいただきたいのは、藤坂一麦さんのプロフィールにあるこの一行です。
2008年頃 12=3×4,56=7×8の美しさに感動する
つまり
のような式が成り立つというお話です。
1から8まで順に並んでいる のが面白いですね。このような式は、ほかにもあるのでしょうか?
というわけで、今日はこんな問題を考えてみたいと思います。
このとき、正の整数 を求めよ。
上の例は10進法でしたが、10進法にこだわる必要はないので、一般の 進法で考えてみたいと思います。
問題の言い換え
まずは、問題を言い換えるところから始めましょう。
進法で と表せる数は、以下のように表されるのでした。
これは、10進法の数 が
とかけるのと同じことです。
そこで、上の問題は次のように言い換えられます。
このとき、 の組を求めよ。
解答例
それでは、解答を考えてみましょう。
式 を計算します。
定数項とそれ以外で分離して、 で括ります。
ここで 整数論的なテクニック を使います。ここが今回のポイントです。
右辺の の約数は か ですから、左辺全体の約数も か です。
左辺は と の積の形になっていますから 、 または が成り立ちますね。
のとき となり、 が成り立ちます。
また、 のとき となり、こちらも となります。
したがって、2つの整数解
が得られました。整数解は これで全部 です。
つまりこういうこと
上の1つめの解
は元の式に代入すると
になります。また、2つめの解
は元の式に代入すると
となります。
つまり、元々の2つの式で 解はすべて出尽くしていた いうことですね! 他の式は存在しなかったと!
このように考えると、今回の式に対する藤坂さんの感想も納得いきますね。他には存在しないということが示せたわけですから。たしかに美しい。
さらにいえば、私の解法では、10進法に限らない一般の 進法でも考えていたわけですが、なぜか解は のときにしかありませんでした。
普通この手の問題を考えると、10進法に限らず解があるものなのですが、10進法にしか解がないというのは興味深いですね!
数が協力して、指が10本ある人間という生物に発見してもらいたがっているような、そんな感じさえします。
次の問題は?
一度このような問題を考えると、さらに一般化したくなってきますね。
元々の問題は、左辺が 2桁の数 で、右辺は 1桁の数2個の積 となっていましたが、桁数や積の個数を変えたらどうなるでしょうか。
たとえば、左辺が3桁の場合 を考えてみましょう。
右辺は1桁の数2個の積だったとすると、
の解を求めることになります。 は1桁の数なので、 が条件です。
この問題については、少しの考察によって 解がない ことがわかってしまいます。
左辺は明らかに より大きいわけですが、右辺は より小さい2つの数の積なので より小さくなるからです。
よって、問題を拡張するためには、右辺の積の個数を3つ以上 にする必要があるでしょう。これついては、次回の記事で考えたいと思います。
お楽しみに!
それでは、今日はこの辺で。
2019/09/11 追記
書いたあとで思い出したのですが、左辺が2桁で右辺が1桁3つの積というパターンもありました。
こちらも同様の方針で考えることができますので、興味がある人は考えてみてください!