みなさん 3×2 はどのように計算していますか?
九九を使って
3 × 2=6
と暗記しているかもしれません。
3 + 3 = 6
として単純に足し合わせてもいいですね。
13 × 15
のように2桁の場合はどうでしょう。
現代日本に住む私たちは、筆算などいろいろな方法を知っています。
(インド人なら2桁の掛け算は覚えていそうです。)
タイトルにもある古代エジプト人は、現代とは異なる、興味深い方法で掛け算を行っていました。
今回はその方法を紹介します。
古代エジプト人は、掛け算をすべて足し算に直して計算していました。
3 × 2 は簡単です。
3 × 2 = 3 + 3
とすればよいわけですから。
13 × 15のときはどうでしょう。
掛け算を足し算にするからといって、何も考えずにこんな計算をしていたら大変です。
13 + 13 + 13 + 13 + 13 + 13 + 13 + 13 + 13 + 13 + 13 + 13 + 13 + 13 + 13
古代エジプト人はもっと効率的な足し算の方法を用いていました。
それは次のような手順です。
まず、倍にする元の数 13 を使って
13 + 13 = 26
のように 26 を作ります。これは 13 × 2 に相当します。
次に、その 26 をさらに加えて
26 + 26 = 52
より 52 を作ります。この数は 13 × 4 に相当します。
同様に
52 + 52 = 104
より 104 を作ります。この数は 13 × 8 に相当します。
あとは、これらの数の和をとって
13 + 26 + 52 + 104 = 195
が求める答となるのです。
確かに、和の数はずいぶんと減りましたね。
なぜこんな方法でうまくいくかというと、
(13×1) + (13×2) + (13×4) + (13×8) = 13 × (1+2+4+8) = 13 × 15
が成り立つからです。
分配法則をうまく使っていることがわかりますね。
実際に計算するときは、次の図のような表を用いると簡便です。
パピルスにもこのような表に相当するものが描かれており、古代エジプト人もこの方法を使っていたとされています。
今回はたまたま倍にしていったすべての数の和を用いましたので、違う例も紹介しましょう。
17 × 13
同様に表を作ります。
今回の場合、かける数は 13 ですから
13 = 1 + 4 + 8
より、該当する行だけ足し合わせる必要があります。
表で、チェックマークがついた行が該当の行です。
ちなみに、古代エジプト人は積の交換法則を知っていたそうです。
17 × 13 = 13 × 17
のように、計算上の都合良いように積の順序を交換していたのです。
古代エジプト人の掛け算の計算方法は、現代からすると少々まどろっこしい方法かもしれません。
それでも確実で、興味深い方法ですよね。
桁数によらず同じ方法で計算できるのも魅力的です。
参考文献:
三浦伸夫 「NHKスペシャル知られざる大英博物館 古代エジプトの数学問題集を解いてみる」 NHK出版
NHKスペシャル「知られざる大英博物館」 古代エジプトの数学問題集を解いてみる
- 作者: 三浦伸夫
- 出版社/メーカー: NHK出版
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