仙台にあるコワーキングスペース「ノラヤ」さんというところで、数学の1日講師をして参りました。
ノラヤさんのブログにてとても素敵なレポート記事を書いて頂きましたので、よろしければご覧下さい。noraya-sendai.net
イベントページはこちらでした。
【定員となりましたので締切ました】ノラヤ・サイエンス・バー vol.2 数学編「折り紙とコンパスで"計算"してみよう」 | Facebook
ノラヤさんでは、サイエンス・バーの講師を募集されているそうなので、興味のある方は声をかけてみてはいかがでしょうか。
経緯
普段は関東近郊で活動している tsujimotter ですが、「なんで仙台?」と思ったかもしれません。きっかけはtwitterで、「理系な人に美味しい物を食べさせて酔っぱらわせて楽しい話を聞く」という素敵なイベントを開催している場所が仙台にあることを知りました。
理系バーが話題ですが、仙台市青葉区のコワーキングスペース「ノラヤ」でやるサイエンスバーは理系な人に美味しい物を食べさせて酔っぱらわせて楽しい話を聞くという素晴らしい企画でビーカーは別に使いません。 #絶賛講師募集中
— 広瀬川うろうろ (@sato_kawa) 2015, 5月 6
私自身の経験からも、飲み会をしながら科学や数学の話をするのは、とても楽しいなと思っていたので(こういうのが本当に「サイエンスバー」ですよね)素敵な取り組みだなと思い、ちょうど講師を募集されていたので意を決して声をかけさせていただいたのです。
ノラヤ・サイエンス・バーというイベントは今回はVol.2でした。以前には、天文や生物の研究者の方が来て、講師をされていたそうです。「数学」は初めての試みだったとのこと。
(実は、Vol. 0から数えて4回目で、本当はVol.3だったという裏話もあります。笑)
私がメインスピーカーとなる会はあまり経験がなかったので(私が倒れたら会がおじゃんになってしまう笑)、緊張しながら、仙台へと足を運んだわけですが、結果的には、とても温かく迎え入れていただきました。
ノラヤさんはとてもアットホームな場所という印象でした。部屋はそれほど大きくないので、聴講者の顔もちゃんとわかります。冬場にはこたつもあるそうで。笑
テーマは「折り紙」と「定木とコンパス」
今回お話ししたテーマは「折り紙の作図」と「定木とコンパスの作図」でした。
最近、ロバート・ラングという折り紙アーティストの方が TED でトークされていたり、ミウラ折りという折り方が宇宙工学に応用されたりと、「折り紙」は割とブームが来ている気がします。www.ted.com
私の発表では「正多角形の作図」を中心に、折り紙を基礎付ける数学を紹介し、この文脈において「折り紙って実はすごいんだぜ!」ってことを伝えることを狙いとしました。
「折り紙と数学」といっても、いろいろアプローチがあると思います。私の理解では、折り紙の理論には、その基礎に「定木とコンパスを使った作図の理論」があると思っています。定木とコンパスと比較してみると、実は「定木とコンパスで出来る作図は、折り紙ですべて実現できる」ことが分かったり、「定木とコンパスには出来ない三次方程式の解法が、折り紙には可能」だったりと非常に面白い関係が見いだせます。その集大成として「折り紙では正七角形が作図できる」という事実が理解できるのです。
今までは、「折り紙の話」「定木とコンパスを使った作図の話」と別々に話したことはあったのですが、関連づけて話したことは無かったので、新たな試みとして挑戦してみました。
詳しくはぜひ以下のスライドをご覧下さい。
最後には、みんなで正七角形を折れることを確認して〆めました。
反応・感想
冒頭で述べた通り、とても温かく迎え入れてもらえたので、非常に話しやすかったです。最初の自己紹介のときから笑いが起きて、終始にこやかな雰囲気でした。
そして、参加者のみなさんが、みなとても「好奇心の強い方」でした。みなさん、数学がご専門の方ではなかったのですが、でもちゃんと聴こうとしてくれる。興味をもってくれる。この点において、講師としては本当にやりやすかったです。
するどい質問もバンバン出て、そこからまた別の数学の話題に発展したりして。本当は話す予定の無かった「完全数」の話になったり、「和算」や「円周率の計算」の話になったり。それでも、みなさん楽しそうに聴いてくれて、話してる方もどんどんヒートアップしていく。そんなポジティブフィードバックが心地よい会でした。
最終的には、一時間もオーバーしてしまったのですが。笑
それでも終わった後に、まだ残ってトークしたり、そのあと二次会にいったりと。非常に密度の濃い一日を体験できました。
また、機会があればぜひいきたいと思います。というより、ここでまた話せるように、ネタを仕込んでおこうと思います。
最後に、軽い宣伝ですが「日曜数学者」の辻は、数学の楽しい話をするのが大好きです。
今回みたいに、仙台でも、楽しい話ができるところがあれば、飛んでいきます。興味のある方は気軽にご連絡いただければ幸いです。
連絡先は、こちらまで。
おまけ
仙台と言えば・・・。笑
参考文献
折り紙とユークリッド作図との数学的な関連を体系的にまとめている良書です(たぶん良い本はこの本くらいしかない?)。正多角形の折り方、もちろん正七角形の折り方も書いていますし、今回紹介したような「作図できること」の証明も載っています。
- 作者: ロベルトゲレトシュレーガー,Robert Geretschl¨ager,深川英俊
- 出版社/メーカー: 森北出版
- 発売日: 2002/04
- メディア: 単行本
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定木とコンパスはこの本が一番好きです。「定木」という呼び名のこだわりも、この本から取ってきました。残念ながら絶版となっていますが、たぶんまだ手に入ります。
定木とコンパスで挑む数学―四則演算から作図不能問題まで (ブルーバックス)
- 作者: 大野栄一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1993/10
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以下の本では、正六角形や正五角形を使った奇麗な図形を折ることが出来ます。星形なんかは、ツリーの飾り等に使えそうですね。
- 作者: 布施知子
- 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
- 発売日: 2014/11/06
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あと、手前味噌ですが、このブログにも関連する記事が多数ありますので、よろしければご覧下さい。
旧ブログの記事もどうぞ。