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tsujimotterのノートブック

日曜数学者 tsujimotter の「趣味で数学」実践ノート

対数表には「素数」の表がついている

数学 素数 アドベントカレンダー ガウス

この記事は 明日話したくなる数学豆知識アドベントカレンダー の 26 日目(!?)の記事です。( 25 日目:3Dプリンタで正十二面体を作ってもらった話 と アドベントカレンダーまとめ


「え?アドベントカレンダーまだやってるの!?」
って思った方、ええその通りです。ふつうアドベントカレンダーはクリスマスまでで終わりですよね。

でもですね。実は tsujimotter のところに、こんな素敵なものが届いてしまって。

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ええ、対数表 です。
届いてしまったら、話さずにはいられなくなってしまいましたので、そのまま 26 日目として投稿してしまいます。笑


「今どき対数表なんてなぜ買うの?」と思うかもしれませんが、実はこんな素敵なエピソードがあるのですよ。

* * * * *

カール・フリードリヒ・ガウスは、15才の誕生日に父親からこの対数表をプレゼントされました。ガウスは喜んでページをめくっていると、巻末に「素数」の表があることに気づきます。(そう、この対数表は、巻末になぜか素数の表があるのです。)

ガウスが興味を惹かれたのは、むしろ素数の方でした。この素数の表の並びには、いったいどんな法則があるのだろう。そこには、あまり多くの素数は書いていなかったので、ガウスは自分で計算してみる事にしたのでした。ガウスは、十代のうちにおよそ 3,000,000 までの素数を手計算で求めていたと言われています。

こうしているうちに、ガウスは対数表の値と素数の個数について、驚くべき発見をしたのでした。

それが「ガウスの素数予想」です。

* * * * *


って、最近これの話ばっかりしていますね。それだけ、好きな話なのですよ。笑

この話を聞いて私は思ったのは「日本語版の対数表には、本当に素数の表はついているのか?」ということでした。
Amazonのサイトを見ても、それらしい記述はありません。

丸善対数表―七桁

丸善対数表―七桁

どうしても確かめたくなったので、実物を Amazon で買って自分で調べる事にしたのでした。上のリンクから中古で購入しました。

結論から言うと、日本語版にもちゃんとついていました。笑

以下で、それらの表の見方をご説明します。
まずは本編の対数表の方から。

対数表の使い方

対数表の1ページ目を開くと、こんな感じになっています。

f:id:tsujimotter:20141225230411p:plain:w320

右上に注目してみましょう。

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ここには、

 \log_{10} 2 = 0.3010300...
が書いてあるのがわかります。

2000 までの数の素因数分解

さて、冒頭のガウスの話にも登場した、素数の表について紹介します。

私の買った丸善の対数表では、378ページから素因数分解の表が載っています。
見た目は、こんな感じです。

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「153」の行と「7」の列の交差する点を見てみると、「29・53」と書いています。
これは、

 1537 = 29\cdot 53

ということを意味しています。素因数分解ですね。

では、素数のときはどうなっているかというと、

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「156」の行と「7」の列の交差する点を見てみると、これは「1567」に相当しますが、「1950690」という謎の数列が書いています。

「1567」は素数なのですが、この表では「1567」の対数を示しているのです。若干ややこしいのですが、これは

 \log_{10} {1567} \approx 3.1950690
ということを意味しています。

小数の頭についている「3」ってなんだ!と思ったかもしれません。
しかし、この表はあくまで「常用対数表(10が底の対数)」なので、4桁の数の対数をとれば、整数部分が 3 になることは明らかです。
というわけで、頭の桁は省略して、小数部分だけ書いてあるのですね。

もう1つ、なぜ素数には対数がついていて、合成数は素因数分解が書いてあるのかという点が気になるかと思います。
それは、高校で習った知識を思い出せばわかります。

合成数である、「1537」を例にとって考えましょう。先ほどわかったように素因数分解すると

 1537 = 29\cdot 53
でした。

ここで、両辺対数とると、

 \begin{eqnarray} \log_{10} {1537} &=& \log_{10} (29\cdot 53) \\
&=& \log_{10} {29} + \log_{10} {53} \end{eqnarray}

というわけで、結局素数の対数をとって足し合わせればよいですね。

こういう技を見ると、こんな対数表を常用していた昔の方は、頭よかったのだなあと思いますね。

ちなみに、この対数表には、2009までの素因数分解の表が書かれていましたよ。

まとめ

対数表には確かに素数の表がありました。
tsujimotter 的にはこれだけで十分お腹いっぱいなのですが。でも、調べてみると対数表もなかなか奥が深いですね。

ところで、対数表って、今は軒並み絶版になっているのですよね。それはそうですよね。だって、こんな面倒な事をしなくても、今では Google や関数電卓に入れれば簡単に計算できてしまいますから。

と思っていたら、実は、割と最近の 2013 年に、丸善から《復刻版》が登場したのです。残念ながら、5桁なので私の持っているものより2桁精度が落ちるのですが。それでも、なかなか粋な計らいだと思いました。

≪復刻版≫ 丸善 五桁対数表

≪復刻版≫ 丸善 五桁対数表

お子さんの15才の誕生日が近い方は、要チェックですね。笑

次回予告(!?)

明日は 遠藤逸ノ城さん あたりが書いてくれる・・・といいな。なんてね。笑

と言っていたら、本当に書いてくれた!!!

前人未到の 27 日目に突入!