tsujimotterのノートブック

日曜数学者 tsujimotter の「趣味で数学」実践ノート

1729とK3曲面

こんにちは。本日、東京にて 日曜数学会 というイベントが開催されますね。

日曜数学会は毎年1月・6月・10月の3回開催されていますから、実に5ヶ月ぶりとなります。

5ヶ月も経つと「発表したいネタ」が溜まるようで、毎年この時期は発表者がたくさん集まります。私も今回の開催に合わせて、とっておきのネタを準備していました。

それが

「1729とK3曲面」

のお話です。

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"The 1729 K3 Surface" というタイトルの論文が、2015年にエモリー大学のKen OnoとSarah Trebat-Lederによって発表されています(以下、Onoの論文)。今回はその論文の内容を中心に紹介する予定です。Onoの論文は、arXivに上がっていて、誰でも閲覧することができます。

タイトルからして心惹かれる論文ですね。

この論文を読んでみて、あくまで私が理解できた範囲ですが、タクシー数とK3曲面の関係について日曜数学会で紹介したいと思います。日曜数学会では

「ラマヌジャンやっぱりやばいじゃん」

というタイトルで発表予定する予定です。このブログ記事が公開されている頃には、発表は終わっているかと思います。

発表資料を公開しました!

www.slideshare.net

発表の動画も公開していただきました。動画の内容は今回の記事のダイジェストになっていますので、あらかじめ動画を眺めておくと読みやすいかもしれません。
www.nicovideo.jp


日曜数学会で発表するといっても、発表時間はたった5分です。5分間ではあまり深いところまでは説明できず、語り足りない部分も出てくることが予想されます。

そこで、発表しきれなかった部分も含めて、ブログ形式でもまとめてみようと思います。


ちょっとボリューミーな内容になってしまいましたが、日曜数学会の発表を聞いてより詳しい話が聴きたくなった方も、そうでない方もぜひご覧になってください。面白い話であることは私が保証します。

※後半に行くにしたがって内容が高度になっていきますので、難しいと感じた方も、難しい部分は読み飛ばして、分かる部分だけ楽しんでいただければと思います。

目次:

経緯

みずすましさんという方の以下のツイートが、話の発端です。

タクシー数についてはもちろん知っていましたが、それが他の何かと結びつくなんて思ってもみなかったので、驚きました。「K3曲面」というものに興味を惹かれました。

Wikipediaの

シュリニヴァーサ・ラマヌジャン - Wikipedia

を開いてみると次のような記述があります。

少し引用しましょう。

ラマヌジャンが1729という数字を何故意識していたのか、没後90年以上よく分っていなかったが、21世紀に入って理由が判明した。

2013年、エモリー大学のケン・オノはアンドリュー・グランヴィル(英語版)と共にケンブリッジ大学が所蔵するラマヌジャンの遺稿を調査した。その際、インド帰国後の1919年に病床で記したノートの中に、1729の計算とそれにまつわる覚書があるのを発見した。
・・・(中略)・・・
オノはこの発見を持ち帰り、彼の指導院生であるTrebat-Lederと共に精査した結果、この時ラマヌジャンは答を導出する過程で1729と楕円曲線から今日で言うK3曲面を構成していたことを発見した[10][11]。これはアンドレ・ヴェイユによるK3曲面の再発見と命名に30年以上先行する仕事である。


なんて面白そうな話なんでしょう!

tsujimotterはこの話を大いに気に入りました。これは調べてみるしかないでしょう!

みずすましさん、面白い話を教えてくださってありがとうございます!


背景

話は1918年2月ごろのイギリスに遡ります。

インドからやってきた数学者ラマヌジャンは、慣れない西洋の環境で生活するうちに、病に犯されてしまいました。病床に伏せるラマヌジャンの元に、共同研究者である数学者ハーディがやってきます。そしてラマヌジャンにこう伝えるのです。

「乗ってきたタクシーのナンバーは1729だった。さして特徴のない数字だったよ。」

すかさずラマヌジャンが言い返します。

「そんなことはありません。とても興味深い数字です。それは2通りの2つの立方数の和で表せる最小の数です」

そう、ハーディによって「特徴のない数」とされた整数1729には、実は興味深い特徴があったのです。 1729は立法数(3乗数)の和で以下のように2通りの方法で表すことができるというのです。

 1729 = 1^3 + 12^3 = 9^3 + 10^3 \tag{1}

今では、1729は タクシー数 と呼ばれています。

このエピソードから、ラマヌジャンの数に対する思い入れの強さが伺えます。ハーディの同僚である数学者のリトルウッド曰く「全ての自然数はラマヌジャンの個人的な友人(personal friends)だ」とのことです。


ところで、この話を聞くといつも疑問が浮かぶのです。

ラマヌジャンは、1729の性質について、ハーディに聞かれる前から知っていたのでしょうか?

それとも、その場で計算したのでしょうか?

ラマヌジャンは複雑な数の計算を行う計算の名手でもありましたから、暗算で計算できたのかもしれません。大きめの3乗数を覚えていたとしても不思議ではありません。しかしながら、これは憶測の域をでません。直接聞こうにも、ラマヌジャンはもう亡くなっています。

一方で、遺稿を調べることによって何かとっかかりを得ることは可能かもしれません。Ken Onoらが、ラマヌジャンの遺稿の詳細な分析を行ったというのが、冒頭のWikipediaの内容です。

1913年のラマヌジャンの発見

それでは、Onoの論文の内容に入っていきましょう。

実際、Onoの論文によると、ラマヌジャンはハーディが見舞いにくる以前から、タクシー数に類する計算を行っていたようなのです。

当時のラマヌジャンは、オイラーのディオファントス方程式

 X^3 + Y^3 = Z^3 + W^3 \tag{2}

に関する研究を行っていました。

研究の過程で、以下の式を発見していたようです。この定理が、今回の記事一つ目の「やばい」ポイントです。

定理0(ラマヌジャン, 1913年)
 \begin{align} &(6A^2 - 4AB + 4B^2)^3  = \\ & (3A^2 + 5AB - 5B^2)^3 + (4A^2 - 4AB + 6B^2)^3 + (5A^2 - 5AB - 3B^2)^3 \end{align} \tag{3}

式は  (3) は変数  A, B を持つパラメータ解になっていることに注意します。

 A, B にそれぞれ  A = -2, B = 1 を代入すると

 36^3 = (-3)^3 + 30^3 + 27^3

が得られますが、両辺を  3^3 で割ると

 12^3 = (-1)^3 + 10^3 + 9^3

となり、 (-1)^3 を移項すればタクシー数の式  (1) が得られます。


この式のすごいところは、タクシー数を導くことだけではありません。

パラメータ  A, B に整数を入れることで、無数に式  (2) の解を得ることができるのです!

つまり、タクシー数みたいな数を無数に作ることができます! やばいですね!


ラマヌジャンはどうしてこのような式を考えたのでしょうか。彼の目的は、どうやらフェルマーの最終定理の  n = 3 のケース

 X^3 + Y^3 = Z^3

の「ニアミス解」

 X^3 + Y^3 = Z^3 \pm 1

を探すことにあったようです。

彼は、関連する研究で上記の「ニアミス解」が無数にあることも示しています。このことは、"Ramanujan's Lost Notebook (Part IV)" のp.199以降に書いてあります *1

フェルマーの最終定理の式には自明解しかないはずですから、「ニアミス解」が無数にあるというのは驚きです。

というわけで、ラマヌジャンは「(先のパラメータ解で)3乗数の一つが  \pm 1 になるものがどれぐらいあるのか」について興味があったということでしょう。


ここまでが背景ですが、Onoの論文では、ラマヌジャンの発見をより深く掘り下げ、結果的に以下の2つのことを発見しています。

(主結果1)ラマヌジャンの発見を用いると、ランク2以上の楕円曲線が無数に得られる
(主結果2)ラマヌジャンの発見にまつわる、ピカール数18の楕円K3曲面が構成できる


ここから先は、上記のような心惹かれる主結果について、順を追って説明していきましょう!

Onoの論文の主結果1:1729と楕円曲線

まず、ラマンジャンの発見の式  (3) を変形したいと思います。

 \begin{align} &(6A^2 - 4AB + 4B^2)^3  = \\ & (3A^2 + 5AB - 5B^2)^3 + (4A^2 - 4AB + 6B^2)^3 + (5A^2 - 5AB - 3B^2)^3 \end{align}

上記の式が  A, B の斉次式になっていることがポイントです。全体を  B^6 で割ります。

すると、次が得られます。

 \begin{align} &(6(A/B)^2 - 4(A/B) + 4)^3  = \\ & (3(A/B)^2 + 5(A/B) - 5)^3 + (4(A/B)^2 - 4(A/B) + 6)^3 + (5(A/B)^2 - 5(A/B) - 3)^3 \end{align}

ここで、 T = A/B とおきます。

 \begin{align} &(6T^2 - 4T + 4)^3  = \\ & (3T^2 + 5T - 5)^3 + (4T^2 - 4T + 6)^3 + (5T^2 - 5T - 3)^3 \end{align}

最後に、 (3T^2 + 5T - 5)^3 = -(-3T^2 - 5T + 5)^3 より、移項して整理すると

 \begin{align} &(6T^2 - 4T + 4)^3  + (-3T^2 - 5T + 5)^3 \\ = &(4T^2 - 4T + 6)^3 + (5T^2 - 5T - 3)^3 \end{align}

が得られました。

ここで、2つの多項式

  •  (6T^2 - 4T + 4)^3  + (-3T^2 - 5T + 5)^3
  •  (4T^2 - 4T + 6)^3 + (5T^2 - 5T - 3)^3

は、展開することで互いに等しい多項式であることが確認できます。等しい多項式なので、これを  k(T) とおくことにしましょう。


さらに

 ( x_1(T), y_1(T) ) = (6T^2 - 4T + 4, \; -3T^2 - 5T + 5)
 ( x_2(T), y_2(T) ) = (4T^2 - 4T + 6, \; 5T^2 - 5T - 3)

とおくことにより

 (x_1(T) )^3 + (y_1(T) )^3 = (x_2(T) )^3 +(y_2(T) )^3 = k(T)

が成り立ちます。


これは、 \mathbb{Q}(T) を係数とするような3次方程式

 X^3 + Y^3 = k(T) \tag{4}

の2つの解を与えているものと解釈できます。

もっというと、式  (4) は単なる方程式なだけでなく、 \mathbb{Q}(T) 上の楕円曲線 でもあります。

つまり、先ほどの2解は、楕円曲線上の  \mathbb{Q}(T)-有理点2点だったというわけです。


このように、ラマヌジャンの発見した式から楕円曲線が構成できる というわけです!面白いでしょう!


今回の記事で重要な役割を果たすので、改めて名前をつけておきましょう。

定義(このブログに限った定義):
ラマヌジャンの楕円曲線 E_{k(T)}\colon X^3 + Y^3 = k(T)

ラマヌジャンの発見した2点

  •  P_1 = ( x_1(T), y_1(T) ) = (6T^2 - 4T + 4, \; -3T^2 - 5T + 5)
  •  P_2 = ( x_2(T), y_2(T) ) = (4T^2 - 4T + 6, \; 5T^2 - 5T - 3)


さらに、ラマヌジャンの楕円曲線は、その中に 無数の楕円曲線 を内包しています。

任意の有理数を  t \in \mathbb{Q} として、式  (4) T = t を代入すると、両辺は有理数になります。有限個の  t を除けば、無限に多くの  \mathbb{Q} 上の楕円曲線を生成できるのです。

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楕円曲線のランクについて

Onoの論文の主結果の1つめを紹介するために、楕円曲線の ランク という概念について簡単に説明します。


一般に、楕円曲線の各点には加法が定義できます。 P, Q を楕円曲線の点とすると、

 P + Q

という演算が定義されているということですね。この演算によって、点  P の「 n 倍」を

 nP := P + P + \cdots + P

のように  P n 個の和として定義することができます


もし、楕円曲線の任意の点  Q が、 P_1, \ldots, P_r を用いて

 Q = n_1P_1 + \cdots + n_rP_r \tag{5}

のように表せるとき、楕円曲線は  P_1, \ldots, P_r によって生成されるといいます。このときの点  P_1, \ldots, P_r生成点といいます。


また、 \mathbb{Q} 上の楕円曲線は、生成点の個数が有限個であることが知られています。

 \mathbb{Q} 上の楕円曲線が有限生成であることは「モーデルの定理」と呼ばれ、証明することは簡単ではありません。大定理といっていいでしょう。

大雑把に言って、生成点の個数のことを楕円曲線の ランク といいます。

正確に言えば、自由部分における生成点の個数のことをランクと言います。


楕円曲線の任意の点が式  (5) のように表せるとき、生成点で張られた空間上の格子点のように見えるはずです。たとえば、生成点の個数が2点である場合、次の図のように平面上の格子点として表せるでしょう。

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このようにランクは、生成点の張る空間の次元のような量を表しています。要するに楕円曲線の有理点がどのぐらい豊富にあるかを表しているというわけですね。


ところで、このランクという量ですが、 \mathbb{Q} 上の楕円曲線でいうと、ランクが2であるものはレアであることが知られています。

ヒューリスティックな評価によると、ランク0の楕円曲線は全体の 50% 程度、ランク1の楕円曲線は 50% だそうです。ランク2の楕円曲線は、全体の 0% です。

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このような状況にあることを頭に入れておくと、次の定理のすごさがわかります。

定理1と系2

この辺りでOnoの論文に戻ります。

ラマヌジャンの楕円曲線は、次のような良い性質を持っていることが明らかになりました。

定理1(Ono and Trebat-Leder, 2015年)
 \mathbb{Q}(T) 上の楕円曲線  E_{k(T)}: X^3 + Y^3 = k(T) は ランク2 を持つ.

実は、ラマヌジャンの発見した2点  P_1, P_2 は、単に有理点というだけでなく、互いに独立な点だったことがわかったのです。

つまり、ラマヌジャンの2点が楕円曲線  E_{k(T)} の任意の点を生成するかどうかはわかりませんが、少なくともこの2点の張る空間のランクは2だと言えたわけです。

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(図はイメージです)

ラマヌジャンは、実に良い2点を発見したということですね!


定理1の系として、次が証明されます。

系2
有限個を除くすべての  t \in \mathbb{Q} に対して  E_{k(t)}/\mathbb{Q} はランク2以上である.

上で述べた通り、ラマヌジャンの楕円曲線  E_{k(T)} T に有理数を代入することで、 \mathbb{Q} 上の楕円曲線を無数に生成します。上の系は、そのうち有限個の例外を除いて、すべてランクが2以上であると言っているのです。

ランク2であるような  \mathbb{Q} 上の楕円曲線はレアであると述べましたが、系2はなんと、そんなレアな楕円曲線を無数に作ることができる と主張しているのです。

これは、相当やばいですね!!


定理1と系2の証明

せっかくなので、定理の証明とその系の証明について、私の理解できた範囲でごく簡単に説明します。
(この節の内容は、前述の説明と比べていくぶん高度になりますので、以降 グレーで囲んだ箇所 は読み飛ばしてもかまいません。)


まず、 \mathbb{Q} 上の2つの曲線  C, E
 C\colon S^3 = k(T)
 E\colon X^3 + Y^3 = 1

で与えます。

ここで、 E_{k(T)} \mathbb{Q}(T) 有理点  P = ( x(T), y(T) ) から定まる  C から  E への  \mathbb{Q} 上の準同型写像  \phi_P

 \displaystyle \phi_P(T, S) := \left( \frac{x(T)}{S}, \frac{y(T)}{S}\right)

として定義します。実際、これは右辺の座標を  E に代入してみると

 \displaystyle \left(\frac{x(T)}{S}\right)^3 + \left(\frac{y(T)}{S}\right)^3 = \frac{x(T)^3 + y(T)^3}{k(T)} = 1

となることから、 C から  E への有理写像を定めていると確認できます。


準同型写像  \phi_P \colon C \to E に対応して、1次の正則微分形式のなすベクトル空間に対する射

 \begin{matrix} \phi_P^*\colon & H^0(E, \Omega^1_{E/\mathbb{Q}}) &\to& H^0(C, \Omega^1_{C/\mathbb{Q}}) \\
& \omega & \mapsto & \phi_P^* \omega \end{matrix}

が誘導されます。これはいわゆる「引き戻し」と呼ばれる線形写像で、 \phi_P とは逆向きの写像になります。


また、 \omega_E \in \Omega^1_{E/\mathbb{Q}} E不変微分と呼ばれる1次の微分形式とします。楕円曲線の場合、これは定数倍を除いて一意に定まりますが、これを1つ固定します。


さて、 \phi_P E_{k(T)} の点  P に対して定まるのでした。よって、 P に対し、不変微分  \omega_E \phi_P による引き戻し  \phi_{P}^{*}\omega_E を割り当てることで、次のような写像  \lambda が定まります。

 \begin{matrix} \lambda \colon & E_{k(T)}(\mathbb{Q}(T) ) &\to& H^0(C, \Omega^1_{C/\mathbb{Q}}) \\ 
&P &\mapsto& \phi_P^* \omega_E \end{matrix}


我々が知りたいのは、 E_{k(T)} のランクでした。

写像  \lambda は、有限位数のカーネルを持つ準同型であることがわかります(つまり、写像  \lambda でランクは減らない)。したがって、 \lambda の像のランクがわかれば、 E_{k(T)} のランクもわかります。


以下では、 \operatorname{Im}(\lambda) の「ランクが2以上であること」と「ランクが2以下であること」の両方を示すことにより、 \operatorname{Im}(\lambda) のランクがちょうど2であることを示します。


ランクが2以上であることの証明:
ここで ラマヌジャンの発見した2点  P_1, P_2 を使います。それぞれを写像  \lambda によって写した先は、次のようになります。

 \displaystyle \phi_{P_1}^{*}\omega_E = \frac{5S(6T+5)}{4(3T^2 - 2T + 2)^2}dT
 \displaystyle \phi_{P_2}^{*}\omega_E = \frac{5S(2T-1)}{4(2T^2 - 2T + 3)^2}dT

本当は、これらを自分で計算しようと思っていたのですが、どうも計算が合わなかったので諦めました。考え方が間違っていたのでしょうか。

これらの微分形式は線形独立であることがわかる(らしい)ので、 \operatorname{Im}(\lambda) のランクが2以上であることがわかります。


ランクが2以下:
楕円曲線を  \bmod{p} で還元することで、ランクの上限を示します。

関数体  \mathbb{F}_p(T) 上の楕円曲線を考えて、そのL関数を観察します。どうやら、関数体版のBSD予想みたいなものがあるらしく(よくわかっていない)、L関数の零点の位数を計算すると、 \mathbb{F}_p(T)-有理点のランクの上限が得られるらしい。

良い還元を持つ素数  p = 17 を選び、 L関数のオイラー因子を計算すると

 (17T − 1)^2(17T + 1)^2(83521T^4 + 34T^2 + 1)

となるようで、ここから(どうやって?) \mathbb{F}_{17}(T) 上の楕円曲線のランクがちょうど2であることが得られるそうです。

 \bmod{p} を取ることによってランクが減ることはないらしく、結果的に元々の  \mathbb{Q}(T) 上の楕円曲線のランクが2以下であったことがわかります。


以上により、定理1が示されました。


系2の証明:
最後に系2の証明をします。

一般に、 \mathbb{Q} 上の楕円曲線と  \mathbb{Q}(T) 上同型ではないような楕円曲線  E/\mathbb{Q}(T) を考えます。

このとき有限個を除く無数の  t \in \mathbb{Q} に対して、 E( \mathbb{Q}(T) ) T = t として特殊化する写像

 \phi_t \colon E(\mathbb{Q}(T) ) \longrightarrow E_{t}

は単射準同型になります。*2

これを  \mathbb{Q}(T) 上の楕円曲線  E_{k(T)}\colon X^3 + Y^3 = k(T) に適用すると、有限個を除く無数の  t \in \mathbb{Q} に対して  E_{k(t)}/\mathbb{Q} のランクが2以上であることが言えます。

証明おわりです。


Onoの論文の主結果2:1729とK3曲面

ラマヌジャンの楕円曲線は、なんと楕円曲線を無数に生成することができるのでした。

これだけでも十分すごいことですが、実は K3曲面 でもあったというのが、Onoの論文のもう一つの主結果です。

 X^3 + Y^3 = k(T) \tag{4再掲}

の式の  T をもう一つの変数だと思って、 (X, Y, T) の3変数の方程式だと思います。すると、これは3変数の代数多様体、すなわち、代数曲面であるといえます。


定理2(Ono and Trebat-Leder, 2015年)
方程式
 X^3 + Y^3 = k(T)

に付随する滑らかな極小曲面は,ピカール数18を持つ  \overline{\mathbb{Q}} 上の楕円K3曲面である.

いくつか未定義の用語がありますが、あとで説明します。

実際、私がこの主張を最初に見たときは、ほとんど意味がわからなかったのですが、それでもこの主張はなんだか面白そうだと感じました。

というのも、K3曲面という言葉は以前から聞いたことがありました。また、K3曲面は どうやら楕円曲線の進化版らしい という話もどこかで読んだことがありました。

もともと、楕円曲線に関心をもっていたので、K3曲面がその進化版と聞いて俄然興味をもちました。しかも、そのK3曲面が数論的に面白そうな話題に登場するのです!

K3曲面の分野は「複素幾何」と呼ばれるもので、tsujimotterは複素幾何にまったく触れたことがありませんでしたが、これを機にK3曲面を調べてみたいと思うようになりました。そこで買ったのが、参考文献の本です。


以降では、K3曲面とは何なのかを、私が調べた範囲で可能な限り説明したいと思います。もちろん、勉強し始めたばかりで、私はまだまだ全然理解できていません。

それでも、勉強した結果をまとめること自体に(少なくとも私にとっての)意義はあるかと思います。そのため、読者のみなさまは、以下の記述については極めて怪しい内容だということを承知の上で、読んでいただければと思います。

K3曲面とは何か

K3曲面の歴史は、数学者クンマーに始まります。クンマーは私の大好きな数学者の一人で、このブログにも度々登場します。

クンマー の検索結果 - tsujimotterのノートブック

クンマーによって、K3曲面の一種である「クンマー曲面」なるものが発見されました。

クンマー(Kummer)のほか、ケーラー(Kähler)、小平(Kodaira)という3人の数学者の頭文字をとってK3曲面と呼ばれているそうです。

K3という変わった名前は、アンドレ・ヴェイユによって1958年に名付けられました。K2という世界で2番目に高いことで有名な山があります。当時、未踏峰だったその山の名前にあやかって、K3としたそうです。
ja.wikipedia.org


詳細に入る前に、K3曲面に対する(私の)イメージをざっくりお伝えするために、K3曲面の1次元における対応物である楕円曲線と比較してみたいと思います。

一般に、楕円曲線は

 E\colon y^2 = x^3 + ax + b

のような定義方程式で与えられます。


一方で、 \mathbb{C} に値を持つ点全体の集合  E(\mathbb{C}) に対しては

 E(\mathbb{C}) \simeq \mathbb{C}/\Lambda

なる解析的な同型写像があります。ここで  \Lambda は格子と呼ばれる  \mathbb{C} の離散部分集合です。 \mathbb{C}/\Lambda は 複素トーラスと呼ばれます。

楕円曲線と複素トーラスの対応関係は、こちらの記事で詳しく解説しました:
tsujimotter.hatenablog.com

右辺の集合は、1変数の複素数の座標を入れることができます。こういう図形を1次元複素多様体というのでした。このように考えて、複素幾何という分野では、逆に連結かつコンパクトな1次元複素多様体のことを「(滑らかな)曲線」と呼ぶ慣習があります。

「滑らかな」という言葉は「非特異」と言い換えられることもあります。

また「多様体って何だったっけ?」という方はこちら:
tsujimotter.hatenablog.com

同じように、その2次元版を考えます。2変数の複素数の座標を入れることができる多様体を2次元複素多様体と言います。特に、連結かつコンパクトな2次元の複素多様体  X のことを「(滑らかな)曲面」と呼びます。K3曲面は、そのような曲面の一種というわけです。

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イメージ図です(正しさはまったく保証しません。。。)

このように見ると「K3曲面に対応するような代数多様体側の対応物はあるのか?」ということが気になると思います。これについては「ある場合」と「ない場合」がある、ということのようです。

K3曲面に対応するような代数多様体を代数的K3曲面(あるいは射影的K3曲面)といい、代数的K3曲面  X に対応する(複素多様体側の)K3曲面のことを  X に付随するK3曲面というそうです。

たとえば、(代数的)K3曲面の例として  \mathbb{P}^3 内に埋め込まれた4次曲面があります。

わかりやすい例としては、Fermat quartic(フェルマー四次曲面)というものがあります。 \mathbb{P}^3 内の図形で方程式

 X^4 + Y^4 + Z^4 + W^4 = 0

で表される曲面は、定義体の標数が2でない場合に非特異になり、よってK3曲面となります。

以下は、Dwork's pencil と呼ばれる四次曲面です。 \mathbb{P}^3 内の図形で方程式

 X^4 + Y^4 + Z^4 + W^4 − 4\lambda XYZW = 0

で表される曲面は、 \lambda を適切にとるとK3曲面となるようです。


いよいよK3曲面の定義を与えたいと思います。

定義(K3曲面)
曲面  X として、特に次の2つの性質を持つものを K3曲面 といいます。

  1. 自明な標準バンドルを持つ( K_X = 0
  2. 不正則数が0( q(X) = 0

標準バンドル  K_X や不正則数  q(X) といった未定義な用語がたくさん出てきました。紹介したいところではありますが、私がまず理解していないこともあって、説明することは困難です。

私が理解できたときに改めて紹介を試みるとして、今回は「上記の2条件によってどんなことが言えるのか」という点に着目して、できるかぎりの説明を試みたいと思います。


まず、1. の性質によって、K3曲面が 「極小」 であることが導かれます。この「極小」という概念について説明しておきましょう。

 X の部分集合である滑らかな有理曲線  C例外曲線 であるとは、自己交点数  C^2 = -1 となるものをいいます。もし、 X が例外曲線を含むならば、 X はある曲面  Y の1点  p をブローアップして得られ、 C p の逆像となっています。つまり、例外曲線  C を1点にブローダウンすることができて、それにより新たな曲面  Y が得られます。これを繰り返すことで例外曲面を含まない曲面を得ることができますが、これが 極小曲面 の定義です。

 X を一般の曲面として、 C\subset X を滑らかな曲線としたとき、添加公式と呼ばれる以下の公式が成り立ちます。

 K_C = (K_X + C)\mid C, \;\; 2g(C) - 2 = K_X\cdot C + C^2

ここで、 g(C) C の種数です。

K3曲面の1つ目の条件  K_X = 0 を代入すると

 C^2 = 2g(C) - 2 \neq -1

となりますが、このことは任意の  C が例外曲線ではない、すなわち  X が極小であるという条件を導きます。


また、楕円曲線  E のときは、 E 上至るところ 0 にならない正則1形式  \omega_E が存在しました(定理1の証明で出てきた  \omega_E のことです)。

それに対応して、 K_X = 0 であることと、 X 上至るところ 0 にならない正則2形式が存在することが同値になります。

この意味でも楕円曲線とK3曲面の類似性が見てとれますね。

ピカール数とは

次にピカール数  \rho(X) という不変量について触れておきます。K3曲面の定義にある 2. の条件はこのピカール数に関連しています。

 X の構造層を  \mathcal{O}_X とし、至るところ0を取らない正則関数の芽のなす層を  \mathcal{O}_X^* とします。このとき、指数完全列なる層の完全列

 0 \to \mathbb{Z} \to \mathcal{O}_X \to \mathcal{O}_X^* \to 0

があります。この完全列から引き起こされる、コホモロジー長完全列は

 \cdots \to H^1(X, \mathcal{O}_X) \to H^1(X, \mathcal{O}_X^*) \xrightarrow{\delta} H^2(X, \mathbb{Z}) \to H^2(X, \mathcal{O}_X) \to \cdots

となります。 \delta は長完全列の連結準同型です。

ここで  H^1(X, \mathcal{O}_X^*) \operatorname{Pic}(X) と表しピカール群(Picard group)といいます。また、連結準同型  \delta の核を  \operatorname{Pic}^0(X) と表し、 \delta の像を  \operatorname{NS}(X) と表します。 \operatorname{NS}(X)ネロン・セベリ群(Néron-Severi group)といいます。

このように定義すると、ネロン・セベリ群は

 \operatorname{NS}(X) \simeq \operatorname{Pic}(X)/\operatorname{Pic}^0(X)

と表すことができます。 ここで

 \rho(X) := \operatorname{rank}( \operatorname{NS}(X) )

 Xピカール数といいます。

定理3では、このピカール数を具体的に計算しています。

特に、K3曲面においては、不正則数  q(X) := \operatorname{dim} H^1(X, \mathcal{O}_X) = 0 より、連結準同型  \delta が単射であることがわかります。

また、このとき \operatorname{NS}(X) = H^2(X, \mathbb{Z}) \cap H^{1, 1}(X, \mathbb{R}) と表すことができ、 \operatorname{rank}(H^{1, 1}(X, \mathbb{R}) ) = 20 より

 0 \leq \rho(X) \leq 20

が成り立ちます。よって、K3曲面のピカール数は、0 から 20 の範囲のいずれかの整数となります。


定理3の主張とその証明

これで定理3の主張を理解するための準備は整いました。

定理3では、ラマヌジャンの楕円曲線  X_{ram}\colon X^3 + Y^3 = k(T) に付随する極小曲面がK3曲面であること、そのピカール数が18であることを主張しています。さらに、その曲面は特に楕円曲面というタイプのK3曲面であるということも主張しています。

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図は(おそらくこういうことであろうという)イメージです。

「楕円曲面」 についてはこれまで説明していなかったので、ここで簡単に触れておきます。

曲面  X から曲線  C への固有全射正則写像  \pi \colon X \to C を考えます。 \pi のファイバー( C の1点  p に対応する  \pi の逆像  \pi^{-1}(\{p\}) のこと)が連結で、 C の有限個の点を除きファイバーが楕円曲線であるとき、 \pi \colon X \to C楕円曲面といいます。この有限個の例外を、特異ファイバーと言います。

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図はイメージです。

要するに、曲面上の曲線に、楕円曲線が無数に張り付いて構成されているような曲面ということでしょうか。

ちょっと自信がありませんが、今回の「曲面が楕円曲面である」とは、系2の「無数に楕円曲線を生成する」を言い換えた表現なのだと思います。

ラマヌジャンの式から得られた曲面  X_{ram}\colon X^3 + Y^3 = k(T) は、 T 座標だけをとる射影

 \begin{matrix} \pi \colon & X_{ram} &\to & \mathbb{P}^1(\mathbb{C}) \\
&(X, Y, T) &\mapsto &T \end{matrix}

によって射影直線の上に写すことができますが、系2よりそのファイバーは有限個の点を除いて楕円曲線になります。よって、このような曲面は楕円曲面といえると思います(たぶん)。


定理3の証明ですが、次のような流れで行われます。

論文に記述の参考文献 [3] の条件から、K3曲面であることがわかる(らしい)。楕円曲面であることは、上の論理で言える(と思われます)。


あとはピカール数の計算です。テイトのアルゴリズムによって、(タイプIVの)特異ファイバーを6個持つことがわかるそうです。

特異ファイバーの分類については、こちらのWikipediaの記事に書いてあるようなことだと思われます。
楕円曲面 - Wikipedia

また、Shioda-Tata formulaによって、この場合のピカール数  \rho

 \rho = r + 2 + 6\cdot 2 = r + 14 \tag{6}

と計算できるそうです。 r は、ラマヌジャンの楕円曲線の  \overline{\mathbb{Q}}(T) 上のランクです。


定理1で  \mathbb{Q}(T) 上の楕円曲線としてのランクは2であることがわかっています。 \overline{\mathbb{Q}}(T) 上ではどうでしょうか。

実は、 E_{k(T)} \mathbb{Q}(\sqrt{-3}) による虚数乗法を持つことが知られており、ラマヌジャンの発見した2点  P_1, P_2 に対する自己準同型環  \operatorname{End}(E_{k(T)}) の作用を考えると、 \mathbb{Q}(\sqrt{-3})(T) 上のランクが4であることがわかるそうです。

一方で、 E_{k(T)} に付随するL関数の  \bmod{17} における還元を考えると、 \overline{\mathbb{F}}_p 上のランクは高々4であるとわかります。よって、 \overline{\mathbb{Q}}(T) 上のランクはちょうど4とわかります。


結果として、式  (6) より、ピカール数は18であると計算できるというわけです。


おわりに

今回の記事では、ラマヌジャンの発見した恒等式

 \begin{align} &(6A^3 - 4AB + 4B^2)^3  = \\ & (3A^2 + 5AB - 5B^2)^3 + (4A^2 - 4AB + 6B^2)^3 + (5A^2 - 5AB - 3B^2)^3 \end{align}

にはじまり、その式から導かれる驚くべき結果について、Onoの論文を元に紹介しました。

まず、この恒等式を変形すると、なんと  \mathbb{Q}(T) 上の楕円曲線が得られる、というのが1つめのポイントでした。

この楕円曲線は、ランク2以上を持つ  \mathbb{Q} 上の楕円曲線を無数に生成することができるというのが驚きでした。ランクが2であるような  \mathbb{Q} 上の楕円曲線は、ただでさえスーパーレアなのに、それが無数に生成できるというのです。ラマヌジャンやばいですね。

さらに、その楕円曲線は、複素幾何的には、実はK3曲面というタイプの曲面でもあったというのです。


最後に、今回の話のどこに私自身が興味をもったのかについて、改めてまとめてみたいと思います。

tsujimotterはもともと「素朴な整数の性質が、実は高度に数学的な対象と結びついている」ことに強く惹かれるタイプです。

今回のラマヌジャンの発見した式は、極めて素朴な対象です。一方で、K3曲面のような難しそうな概念とも結びついているというのです。これは単なる直感なのですが、なんだかわからないけど面白そうだと感じました。そうなってくると、K3曲面を勉強してみたくなる、知りたいと思うのです。今はよくわからないK3曲面でも、それがなんであるか徐々にわかってくると、とても嬉しいのです。私と同じような琴線を持っている人は一定数いると思いますが、そういうタイプの人には、今回の話はだいぶ響いたのではないでしょうか。


私が数学を面白いと思うポイントはもう一つあって、それはいろんな分野の数学が地続きであると感じられる点です。

数学は、集合論を土台にしているので、ある意味では自明に地続きであるといえます。しかしながら、それ以上に、非自明に地続きな側面があると思うことがあるのです。
今回の話はまさに典型例だと思うのですが、一見異なる分野の概念が、唐突に結びついて、それによって一方の現象が他方の分野の性質によって説明できたりします。これが面白いなと僕は常々思っています。

ラマヌジャンの発見した恒等式という「初等整数論」的な対象が、K3曲面という分野を異にする概念によって説明できるわけです。もちろん、正確にいうと、今回の話は単にラマヌジャンの恒等式からK3曲面が定義できたというだけで、K3曲面の性質から何か数論的な定理が証明できたわけじゃないので「説明できる」というのはちょっと語弊がありますが。

それでも、なんとなくですが、数学は地続きであるという予感を感じさせてくれる良い例になっているかなと思います。その点で面白いです。


もちろん、人それぞれ数学に対する興味の持ち方は違うと思います。上記の話は、単に僕の興味惹かれるポイントがこうであったという説明にすぎません。他の見方をしてもいいと思いますし、違うポイントに興味を持ってもよいと思います。

今回の話が難しくてわからなかったという人も、今後勉強していくうちに、何かしら面白いと思えるポイントが出てくるかもしれません。一部でもいいので、わかったところを楽しんでもらえたらと思います。


いかがだったでしょうか。
ラマヌジャンから始まった高度な数学の話に興味を持っていただけましたら幸いです。

それでは、今日はこのへんで。

参考文献

K3曲面に関するこのブログの記述は、基本的にこちらの文献を参考にしました。私の理解不足で、誤りも多々あるかと思いますので、正確な理解を目指す方はこちらを読むと良いかと思います。

K3曲面 (共立講座数学の輝き)

K3曲面 (共立講座数学の輝き)

なお、本題とはあまり関係ありませんが、Ken Ono先生といえば、ラマヌジャン・フリークで知られています。それが講じてラマヌジャンの映画「奇跡がくれた数式」で数学部分の監修をされていることでも知られています。とてもいい映画なので、ぜひブルーレイでご覧ください。(私も持っています。笑)

奇蹟がくれた数式 [Blu-ray]

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Amazonのプライムビデオでも見れるそうです。

*1:実は、これを確認するためだけに書いました:

Ramanujan's Lost Notebook: Part IV

Ramanujan's Lost Notebook: Part IV

*2:定理のステートメントはSilvermanのAECのC.20に、Specialization Theoremsとして書いてありました。

The Arithmetic of Elliptic Curves (Graduate Texts in Mathematics)

The Arithmetic of Elliptic Curves (Graduate Texts in Mathematics)