tsujimotterのノートブック

日曜数学者 tsujimotter の「趣味で数学」実践ノート

モジュラー曲線 の検索結果:

エルキースによるオイラー予想の反例:2682440^4 + 15365639^4 + 18796760^4 = 20615673^4

こちらの記事は今日投稿された下記の動画に関して、さらに深い解説をする記事となっています。www.youtube.comよろしければ、こちらの動画も合わせてご覧ください!フェルマーの最終定理の のケースに自然数解が存在しないことは、オイラーによって証明されていました。オイラー自身は、この式の指数と変数の個数を1個ずつ増やしたにも、同様に解がないことを予想しました(1769年)。以降もずっと指数と変数を増やして行っても同様に解がないと予想していたようです。割と自然な発想ですよね。…

モジュラー曲線(5):メイザーの定理

モジュラー曲線というのは、上半平面 を の合同部分群で割ったものとして定義されます。定義からは、明らかに複素解析的な対象に見えると思います。ところが、実はモジュラー曲線は数論的な対象でもあるのです。わかりやすい応用として、楕円曲線の位数有限な点に関する メイザーの定理 があります。定理(メイザーの定理) を 上の楕円曲線とする。このとき、 の位数有限の有理点の位数 は、 のいずれかである。これは楕円曲線の有理点の構造を決定するために大変有用な定理です。数論における大定理といっ…

正十二面体群とPSL(2,5):国際数学者会議PR企画の宣伝動画について

…実は次次節で紹介するモジュラー曲線 というものを考えると、 への群作用を通して上の同型が自然に見えてくるというのです。目標は上の通りなのですが、とはいえいきなりモジュラー曲線 を定義するのは、少し話が飛躍しすぎています。まずは基本的なモジュラー曲線 や、必要な前提を説明していきましょう。 基本領域とポアンカレ円板、モジュラー曲線 それでは、まずは行列のなす群 が、上半平面という空間に作用するという話から始めましょう。上半平面 とは、複素数平面のうち虚部が正のもの全体のことです…

モジュラー曲線(4):レベル構造付き楕円曲線とモジュライ空間

前回の記事では、モジュラー曲線 と楕円曲線の同型類全体が全単射であることを示しました。すなわち、 は楕円曲線の(同型類の)モジュライ空間になっているということでした。 tsujimotter.hatenablog.com 今回はレベル構造が入ったモジュラー曲線 を考えたいと思います。このモジュラー曲線は一体何のモジュライ空間なのかというのが今回の主題です。実は、上の話の類似で、 はレベル構造が付いた楕円曲線のモジュライ空間になっています。今日はそれを示すのを目的とします。 前…

モジュラー曲線(3):複素トーラスとしての楕円曲線

…します。これは、後でモジュラー曲線に関する記事で使うことを想定しています。モジュラー曲線関連の情報は、以下のタグの一連の記事でまとめているところです。 tsujimotter.hatenablog.com なお、今回の記事はモジュラー曲線に関するシリーズ記事の一環で書いていますが、今回の記事に関して言えば、これまでの知識なしで読めるものとなっています。 目次: 1. 楕円曲線=複素トーラス 2. 楕円曲線の射 3. 上半平面 H と楕円曲線 4. 楕円曲線のモジュライ空間 5…

モジュラー曲線(2):合同部分群とモジュラー方程式

今日は、モジュラー曲線の話の続きを書きます。前回の記事 では、フルモジュラー群 の定めるモジュラー曲線 を考えましたが、今回は 合同部分群 に対応するものを考えたいと思います。tsujimotterは、この合同部分群の定めるモジュラー曲線の話がしたくてこのシリーズを書き始めました。かなり難しいテーマだとは思いますが、面白い内容だと思いますので、よろしければぜひご覧ください。諸注意: 今回の記事は、著者のtsujimotterが最近勉強したばかりのトピックです。とても面白い内容…

モジュラー曲線(1):モジュラー曲線の導入

…から3回にわたって モジュラー曲線 をテーマとしたお話をしたいと思います。「モジュラー曲線?ああ、あれね」といった具合に、頭の中でイメージできるようになることを目標としたいと思います。以前から気になっていたトピックなのですが、先日日曜数学仲間の方と一緒に計算してみて、ようやく理解した気になれました。tsujimotterにとってもホットなトピックで、ぜひ自分の言葉で記事にまとめたいと思ったのがこの記事の動機です。まずは基本的なモジュラー曲線 について紹介します。実は、次の記事…