tsujimotterのノートブック

日曜数学者 tsujimotter の「趣味で数学」実践ノート

分数の足し算で「約分」が発生する条件(2)

早速ですが、昨日の記事の続きです。
tsujimotter.hatenablog.com


前回の記事では、分数の足し算

 \displaystyle \frac{a}{b} + \frac{c}{d}

の計算で約分が発生する条件について考えました。特に、結果の分母・分子が素数  p で約分されるならば、 b, d p で割り切れる回数  v_p(b), v_p(d)

 \displaystyle v_p(b) = v_p(d) > 0

であることを示しました。


今回はもう一歩踏み込んで、 p 進数的な視点を取り入れて、約分できる条件について考えたいと思います。

今回の記事の内容は、前回の記事公開後に nishimura さんという方から教えていただいた内容になります。いつも面白い話を教えていただいてありがとうございます!

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分数の足し算で「約分」が発生する条件

こんにちは! 日曜数学者のtsujimotterです!
今日は 分数の足し算 について考えたいと思います。

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きっかけは学生のプログラミング課題でした。

tsujimotterは大学でPythonとC言語を教えているのですが、ある日の課題で「分数の足し算を計算する関数を作れ」というものがありました。時間差はありましたが、PythonとC言語の両方で似たような課題が出たのです。

実際、分数の足し算を一般に計算してみると

 \displaystyle \frac{a}{b} + \frac{c}{d} = \frac{ad + bc}{bd} \tag{1}

なので、あとは結果として得られた分数を約分してあげればよいわけです。

無事、関数を作ることはできたのですが、問題なのはその関数のテストです。関数がうまく動作することをテストするためには、分数の結果が約分されるような例を作らなければなりません。


ところがです。適当なテストケースを考えたのですが、どのケースもなぜか約分されない。。。tsujimotterはこの手の計算が大の苦手で、約分が発生するケースを作ることができませんでした。



良い方法がないかと考えているうちに、「約分が発生する必要十分条件を数学的に与えればよい」ということに気づきました。


そこで、今日は 分数の足し算の計算において約分が発生する条件 について考えてみたいと思います。

今回の知識は、小学校の先生の作問にも役に立つかもしれません。

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13, 613, 20200613は合同数

こんにちは! 今日の日付は 2020/06/13 ですが、20200613 は素数 ですね!

さらにいうと、20200613は「4で割って1あまる素数」でもあるわけですね。いやーじつにめでたい!

上記の事実は、大人のための数学教室を経営している「和から株式会社さん」のTwitterアカウントで知りました。


せっかくなので、今日の日付に関して、自分でも何か発見をしたいなと思って考えてみると……

  • 13
  • 613
  • 20200613

のいずれも、合同数 であることがわかりました!


個人的には、この事実はとても面白いと思っています!

とはいえ、この話の面白さは合同数というものを知らない方には、なかなか伝わらないかと思います。

そこで今日は、その辺の背景も含めて解説していきたいと思います。よかったら最後までお付き合いください!

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訂正記事:前回の証明は第Ⅳ証明ではなかった

ガウス和について勉強していくうちに、前回紹介した「平方剰余の相互法則の証明」の記事の内容に関して、誤解があることを発見しました。今回の記事は、その誤解についての 訂正記事 です。

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私が誤解に気づいたきっかけは、以下のPDF記事でした。

アンドレ・ヴェイユ「円分 – 昔とこの頃」
http://www.math.s.chiba-u.ac.jp/~otsubo/article/cyclotomie.pdf

この記事において、次のような記述があり、その周辺を読んで何かおかしいと思ったのです。

6. 1818 年に Gauss は平方剰余の相互法則の第 6 の証明を出版した ([2 c]) — それもまた位数 2 の Gauss 和に基づいたものであるが, 厳密に代数数論的な観点から考察されている. ・・・(中略)・・・結局 Eisenstein が, 表現の差を除けばどれも Gauss の第 6 の証明とかわらないということを見てとった.

あれ?第Ⅵ証明って書いてありますよね。ガウス和の証明は第Ⅳ証明じゃなかったの??

結論から言ってしまうと、私が紹介したのは第Ⅳ証明ではなく第Ⅵ証明だった のです。


本記事の前半では、私の勘違いした部分について、順を追って説明したいと思います。後半では、本当の第Ⅳ証明についても紹介したいと思います。

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平方剰余の相互法則の証明(ガウス和を用いた方法)

3日連続ガウス和シリーズ、最終日の今回のテーマは 「平方剰余の相互法則」 です。平方剰余の相互法則は、整数論を勉強する人の多くが憧れる定理の一つで、いよいよここまできたかという感じがします。


なお、ガウス和シリーズの記事は、以下のタグで見ることができます:
tsujimotter.hatenablog.com


第2回の昨日は、次の定理を証明しました。

定理2(前回紹介)
 p\equiv 1 \pmod{4} のとき  p^* = p p\equiv 3 \pmod{4} のとき  p^* = -p とする。

このとき

 \displaystyle G_p^2 = p^*

が成り立つ。

この定理2をうまく使うと、平方剰余の相互法則が証明できてしまいます。これを今回紹介したいと思います。


このガウス和を使った平方剰余の相互法則の証明は、第Ⅳ証明 第Ⅵ証明 と呼ばれています。ガウスは生涯で、平方剰余の相互法則の証明を7通り与えているのですが(ガウスすごいですね)、その4番目 6番目にあたる証明です。

細かいことをいうと、今回紹介するのは第Ⅳ証明の特に「符号決定なし」の証明となっています。つまり、前回の定理2の主張で十分というわけですね。

ガウスは「符号決定あり」の証明も示しているのですが、今回の記事では扱いません。
(興味がある方は参考文献の本を参照ください。)

実は上記の記述について、誤解がありました。ここに書くのには難しい話になりますので、別の記事でまとめましたので、本記事をご覧になったあと確認いただければと思います:
tsujimotter.hatenablog.com

今回の証明は「円分体の理論」や「類体論」が背景にある証明となっています。

第Ⅳ証明は、ある意味でガウス以降の整数論の方向性を決めた、大変示唆的な証明となっています。整数論の歴史を追いかけるという意味でも、一度は理解したい証明です。

それではいってみましょう!

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ABC予想のよくある間違い

望月新一先生の「宇宙際タイヒミュラー理論」に関する論文が、論文誌に採録されることが決まったというニュースが飛び込んできました。
mainichi.jp

論文の原稿は8年も前から発表されており、その内容の壮大さから、数学好きの間で度々話題になっていました。特に、この理論の系として「ABC予想」と呼ばれる未解決問題が導かれるということが、数学好きとは限らない数多くの人の興味を引きました。

論文の主張が正しいかどうかは、結果的には論文を読んで自分で確かめる他ありません。
(論文誌に掲載されたということは、関連分野の専門家に査読されたということを意味しますが、これは主張の正しさが証明されたことを意味しないからです。)

しかしながら、一数学ファンとしては、論文誌に掲載されたというニュースを聞いて、純粋に嬉しい気持ちになりました。

一つの節目として、せっかくなので、自分の中の理解の確認のためにも、ABC予想の主張ぐらいは理解しておきたいという気持ちになりました。それをブログにまとめておこうというのがこの記事です。


ところがです。このABC予想の主張は、簡単そうな見た目に反して大変間違えやすいことで知られています。私自身も何度もこんがらがりました。勘違いしやすいポイントが色々隠れているというわけですね。

そこで、こうした勘違いしやすいポイントをあえて間違えつつ、修正しながら正しい主張に向かっていく、そんな記事にしたいと思います。

諸注意:
こんな記事を書いておいてなんですが、私自身が間違ったことを書いている可能性がありますので、気づいた方はご連絡いただければと思います。よろしくお願いします。


2020.04.04 途中の数値計算の箇所に誤りがありましたので、修正しました。以前のバージョンでは、 3^{2^n} の計算をすべきところを、 3^{2n} を計算してしまっておりました。

2020.04.04 「 a, b, c が互いに素ならば  \newcommand{\rad}{\operatorname{rad}}\rad(abc) = \rad(a)\rad(b)\rad(c)」という議論が誤りだったので、修正しました。

たとえば、 a = 1, b = 2, c = 2 のとき  a, b, c は互いに素ですが、 \rad(abc) = 2 であり、 \rad(a)\rad(b)\rad(c) = 4 なので等号は成り立ちません。 a,b b,c a, c の各組が互いに素であれば、上記は成り立ちます。

 a, b, c が互いに素」に加えて、「 a+b=c」が成り立つ際は、 \rad(abc) = \rad(a)\rad(b)\rad(c) は成り立ちます。

2020.04.05  3^{2^n} の計算のところで、 3^{2^n} = 9^{2^n-1} としていましたが、正しくは  3^{2^n} = 9^{2^{n-1}} でした。修正させていただきます。

2020.04.05 「 a = 16, n = 11, c = 27 としてみると」となっていたところを「 a = 16, b = 11, c = 27 としてみると」に修正しました。

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ガウス和の性質についての証明

前回の記事で、ガウス和  G_p についての面白い定理を紹介しました。

せっかくなので、ガウス和シリーズ と題して、3日連続でガウス和にまつわるお話を紹介したいと思います。このシリーズの全記事は「ガウス和」のタグで閲覧できるようにします。
tsujimotter.hatenablog.com

シリーズ第2回目の今回は、前回やり残した定理1の証明にチャレンジしたいと思います。

定理1
 \displaystyle G_p = \begin{cases} \sqrt{p} & p \equiv 1 \pmod{4} \\ \sqrt{-p} & p \equiv 3 \pmod{4}  \end{cases}

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