今日のテーマは 「リーマンの再配列定理」 です。「条件収束する実数列の級数は、再配列によって任意の実数に収束させることができる」という主張です。何を言っているかわからないという方にも、これから詳しくは説明していきますのでご安心ください。
無限級数
が絶対収束するとは、各数列に絶対値をつけた
が収束するということです。名前の通りですね。
対する条件収束とは、無限級数が絶対収束はしないが収束はすることを言います。
たとえば、平方数の逆数の和
は絶対収束しますが、自然数の逆数を足し引きする級数(交代級数)
は条件収束します。
「なぜ絶対収束か条件収束を気にするのか」と疑問に思った方もいるかもしれませんが、それにはワケがあります。
絶対収束する級数は、足し合わせる順番に関わらず同じ値に収束します。つまり、足し合わせる順番を気にする必要がないわけですね。
一方、条件収束する級数については、足し合わせる順番によって収束する先の値が変わってしまう のです。条件収束はとてもナイーブなのですね。
たとえば、 に収束する式 の級数ですが、足し合わせる順番を入れ替えて
のように和をとると、 に収束してしまいます。(計算は自分で確かめてみるといいでしょう。)
さらに面白いことに、冒頭の「リーマンの再配列定理」によれば、条件収束する級数は(足し合わせる順番を入れ替えることで)任意の実数値に収束させることができる というのです。
これはなんというか、とても非自明な感じがしますよね。なんたって任意の実数値ですから。
正確な主張と証明は、以下の記事にまとまっています。
integers.hatenablog.com
とにかく証明はできるわけです。tsujimotterはこれまで証明をきちんと追ったことがなく、なんとなくよくわからないな、難しそうだなとモヤモヤしていました。
そろそろちゃんと理解したいなと思い、つい先ほど証明を追いかけてみたのですが、思っていたよりスッキリ理解することができました。しかも、よくよく読んでみると、証明の中に任意の実数値に収束させる方法が載っていることに気づきました。
これは面白いかもしれない! なんたって、好きな実数に収束させることができるのですから!
そんなわけでイントロが長くなりましたが、本日の記事では 条件収束する級数をお望みの実数に収束させる手順 を紹介したいと思います。
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