今日はこんな問題を考えてみましょう:
もとの数は何でしょうか?
一例として、 を考えましょう。
なので、これは3乗数です。
の各桁を足し算すると
となり、 の3乗根である
に一致しました。
というわけで、 はこの問題の答えの一つです。
もこの問題の答えの一つです。
なので、これは3乗数ですが、その各桁を足し算すると、もちろん
に一致します。
さて、ほかにも例はあるでしょうか?
(自分で考えたい人は、ぜひどうぞ。答えは記事の後半で紹介します。)
今回紹介したいのは、デュードニー数 です。
デュードニー数とは、3乗数であって(10進法の)各桁の和を3乗すると元に戻るという性質持った数のことです。
上で紹介した や
はもちろんデュードニー数ですね。
ちなみに、この記事は5/12に公開していますが、日付の数を並べた512はデュードニー数というわけですね。
なお、デュードニー数の名前ですが、ヘンリー・デュードニーというイギリスの有名なパズル作家に由来しています。デュードニーが、冒頭のような問題を書籍「536 Puzzles & Curious Problems」の「120. Root Extraction」という項目で紹介したのがきっかけで、この数が世に広まりました。

デュードニーはこんな感じのおじさんです
元の問題文は、以下のURLから見ることができます:
536 puzzles & curious problems : Dudeney, Henry Ernest, 1857-1930 : Free Download, Borrow, and Streaming : Internet Archive
デュードニーといえば、有名なもので言うと「正三角形を4つに分割して正方形に戻す(以下の図参照)」という裁ち合わせパズルを発見したことでも知られていますね。

デュードニー数は既に多くの人に調べられていて、たとえばオンライン整数列大辞典(OEIS)でも次のような数列のリストがあります:
oeis.org
一般化b進デュードニー数と前回の記事の関係
上の話は、 乗数を考えて、その10進法での各桁を足していましたが、ここを
乗数と
進法に一般化することもできます。
一般化 進デュードニー数とは、
乗数であって(
進法の)各桁の和を
乗すると元に戻るという性質持った数のことです。
数式で書くと、 乗数
が
進法で
で表せるとします。このとき、各桁の総和が
と表せるとき、 を一般化
進デュードニー数といいます。
(このとき、得られた を
乗すると
に一致するので、元の文章と同じことを言っていますね。)
ちなみに、 の
進法での各桁の総和を
で定義すると、デュードニー数の条件は
で簡潔に表せます。
たとえば、簡単な例でいうと、 が
における一般化10進デュードニー数です。
実際、 の各桁の総和をとると
となり、 に一致しますね。
ところでここまでの話を聞いて、前回の「平方根計算の裏技(?)」の記事との関連性に気づいた方もいるかもしれません。
以下のように整理してみましょう。
平方根計算の裏技(?)で考えていたもの:
乗数
について、
の(10進法での)各桁の総和が
に一致する
比較すると、最後が そのものに一致するか、
に一致するかの違いで、ほとんど同じですね。
つまり、前回考えていたのは「一般化10進デュードニー数」の問題の亜種だったというわけです。
前回の問題は一見テキトーに思いついた一問題という感じでしたが、デュードニー数といういかにも由緒正しそうな(?)問題の亜種だったというのは、面白いことですね。
一般化デュードニー数の有限性
前回と同じ形の問題となっているので、ほとんど同じように定式化することができます。
乗数
が
進法で
桁の数であり
で表せるとします。すると、総和記号を用いて
と表せます。
一般化デュードニー数のもう一つの条件「各桁の総和が に一致する」より
となります。
したがって、連立方程式
を満たす がデュードニー数となります。
ここで、前回の議論を思い出すと、不等式の議論を行うことで を固定したときのデュードニー数が有限個であることが示せます。
実際、式 と、最上位の桁が
以上であることから、
が成り立ちます。
また、式 と、各桁が
であることから
が成り立ちます。
したがって、2つの不等式を合わせて
が言えます。
ここで、仮に
が成り立ってしまうと、不等式 を満たす
は存在しないことになってしまいます。
しかしながら、不等式 の左辺は
についての指数関数であり、右辺は一次関数であることから、いつかは指数関数が追い抜きます。すなわち、固定した
に対して十分大きな
は式
を常に満たします。
したがって、デュードニー数の条件を満たす は有限の範囲に収まることが示されました。よって、固定した
に対して、デュードニー数は有限個であることがわかりました。
一般化10進デュードニー数のリスト
以上を踏まえて、一般化デュードニー数を計算してみたいと思います。
として、
を
から
の範囲で固定して、それぞれのデュードニー数の全リストを求めました。
不等式 のおかげで、本当に全列挙できてしまうのが面白いですね。
k = 2 の場合:
の場合、
と
だけが解となります。
k = 3 の場合(デュードニー数):
のときは、以上6つがすべての解となります。
実際
が成り立つことを確認しましょう。
これにより、元々のデュードニーの問題の答えがすべて列挙できたことになりますね。
k = 4 の場合:
k = 5 の場合:
k = 6 の場合:
k = 7 の場合:
k = 8 の場合:
k = 9 の場合:
k = 10 の場合:
合同式を用いた分析(自由研究)
以上は計算機を用いた結果ですが、前回のときと同じように、合同式を用いて理論的に攻めることはできないでしょうか。
ちょっと自由研究的に考えてみたいと思います。
として、一般化10進デュードニー数の条件をまとめると、次の連立方程式となります:
ここで、 を計算すると
が得られます。
式 の左辺が
の倍数であることから、右辺の
を考えることが、一つの突破口になりそうです。
すなわち
を満たす条件を考えてみましょう。
今回も、(i) が
で割り切れる場合と、(ii)
が
で割り切れない場合に分けて考えます。
(i)
が
で割り切れる場合:
は
のとき
で割り切れるので、
が成り立ちます。
したがって
が得られます( は解にはならない)。
(ii)
が
で割り切れない場合:
これまた前回やったように、 を考える際には、オイラーの定理により
を考えれば十分です。
そこで、 と
のすべてに対して
を計算した表を考えてみましょう。

表の色がついた部分が であるような
です。
のときと、
のときは、常に
であり、そのときは
はデュードニー数となる可能性があります。
かつ
のときを考えましょう。
このときは
のときを除いて となります。すなわち、
はデュードニー数にはなりません。
ちょっと分かりづらいですね・・・。
何か分かりやすい条件が得られたら楽しいと思ったのですが、なかなかうまくはいかないようです。