tsujimotterのノートブック

日曜数学者 tsujimotter の「趣味で数学」実践ノート

タイヒミュラー指標

明けましておめでとうございます。新年最初の記事になりますが、もう既に新年から2ヶ月以上経っていることに驚きました。

さて、本日あたりから「p進ゼータ関数」という本が店頭に並び始めました。

p進ゼータ関数  久保田-レオポルドから岩澤理論へ (シリーズ「ゼータの現在」)

p進ゼータ関数 久保田-レオポルドから岩澤理論へ (シリーズ「ゼータの現在」)

先月1/25も「重点解説 岩澤理論」という本が発売されていました。

重点解説 岩澤理論 2019年 01 月号 [雑誌]: 数理科学 別冊

重点解説 岩澤理論 2019年 01 月号 [雑誌]: 数理科学 別冊

どちらも岩澤理論の本です。岩澤理論関連の本が立て続けに発売されて、ファンとしては嬉しい限りです。


「p進ゼータ関数」の本が届いたので、早速ですが第2章ぐらいまでをざっと目を通してみました。ここまでは私でも読めるという感じの内容でした。他の岩澤理論の本では飛ばしてしまっていたような議論を丁寧に計算してくれている印象で、独学マンとしてはとてもありがたかったです。

特に、タイヒミュラー指標と呼ばれるものの定義について丁寧に議論されていて、私はこれを初めて理解できた気がしました。感激です。今日はその話をしたいと思います。

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ガロア表現とChebotarevの密度定理の使い方

好きな証明 Advent Calendar 2018 の13日目の記事です。

好きな証明 Advent Calendarということで,私が今年になってから勉強し始めた「ガロア表現」という分野の定理の中で,特に面白いと思った証明を紹介したいと思います。

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パスカルの三角形にたくさん出てくる数: 3003

この記事は 日曜数学 Advent Calendar 2018 の 1日目の記事です。


今日から12月、今年も アドベントカレンダー の季節がやってきましたね!

毎年12月になると、さまざまなテーマで持ち回りでブログ記事を書き合うお祭りがはじまります。それがアドベントカレンダーです。

4年連続でアドベントカレンダーを企画しているtsujimotterですが、2018年も「日曜数学」というテーマでアドベントカレンダーを立てることにしました。

adventar.org

おかげさまで、既にたくさんの方に書いていただけることが決まっています。ご賛同いただけた皆様、本当にありがとうございます。毎日記事が読めるのを楽しみにしています。

また、今のところ3日分ほど空きがありますので、よろしければ参加していただけると嬉しいです。


さて、1日目のテーマは パスカルの三角形 です。パスカルの三角形にまつわる面白い性質を紹介しましょう。

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「月を入力すると日を返す多項式」と中国剰余定理

「月を入力すると日を返す多項式」の話が、Twitterのタイムライン上で話題になりました。
togetter.com

どんな話題かというと、多項式  f(x) を以下のように定義したとき

 \displaystyle \begin{align} f(X) = &-\frac{11}{907200}X^{11} + \frac{163}{181440}X^{10} - \frac{37}{1260}X^{9} \\
&+ \frac{13481}{24192}X^{8} - \frac{2055371}{302400}X^{7} + \frac{240683}{4320}X^{6} \\
&- \frac{28268521}{90720}X^{5} + \frac{85774775}{72576}X^{4} - \frac{446998571}{151200}X^{3} \\
&+ \frac{46351537}{10080}X^{2} - \frac{221017}{56}X + 1416 \end{align} \tag{1}


この  f(X) X = 1, 2, 3, \cdots, 12 を代入すると、

 \begin{align} f(1) &= 31 \\ 
f(2) &= 28 \\ 
f(3) &= 31 \\ 
& \vdots \\
f(12) &= 31 \end{align}

となり、月を入力すると日を返す多項式になっています!すごい!


こんな多項式をいったいどうやって求めるんだろうかと、気になったかたはいるんじゃないかと思います。

これについては 中国剰余定理 が使えるということを、Iwao KIMURA ( @iwaokimura ) さんが、以下のツイートで教えてくださいました。


中国剰余定理は私の好きな定理の一つですが、このような応用があることはまったく知りませんでした。

とても興味深い話だったので、理屈を自分でも考えてみました。今日はそれを紹介したいと思います。

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「インテジャーズ イン 仮面ライダービルド」関連記事紹介(tsujimotter編)

10/6に開催されたMathpower2018というイベントにおいて「インテジャーズ イン 仮面ライダービルド」という対談企画が開催されました。tsujimotterは、数のエンターテイナーの関真一朗さん(id:integers)と共演し、1時間半の講演をしてきました。

f:id:tsujimotter:20181010162138j:plain:w400
写真提供:@ONEWAN さん

Twitterまとめ:Mathpower2018 - Togetter
イベントホームページ:MATH POWER
感想ブログなど:
MATH POWER 2018に参加してきました。 #Mathpower - 7931のあたまんなか
MATH POWER 2018 開催報告レポート ~1日目~ - マスログ

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超幾何級数と超幾何定理

今日は 超幾何級数 のお話をしたいと思います。

 \displaystyle F(a, b, c; z) = \sum_{n=0}^{\infty}\frac{(a)_n (b)_n}{(c)_n n!} z^n \tag{1}

なお、 (x)_n はポッホハマー記号といって、 (x)_n := x(x+1)\cdots(x+n-1) で定義されます。より一般の複素数に対しては、あとで定義するガンマ関数によって  (z)_n := \Gamma(z + n) / \Gamma(z) としても定義できます。


超幾何級数は、tsujimotterのブログでも一度出てきたことがありました。
tsujimotter.hatenablog.com

そのときはこんなイラストと一緒に紹介しましたね。笑

f:id:tsujimotter:20150807204307p:plain:w240
懐かしの超幾何級数エイリアン

このときのテーマは「超幾何定理を使えば有理数の面白い無限級数表示を得られる」というものでした。超幾何定理は証明なしに使っていましたが、今回その証明方法が理解できたので紹介したいと思います。

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続:7は合同数(計算機編)

ここ最近「合同数」について勉強し、理解度が上がってきました。そこで、今日は合同数の具体的な計算をやってみたいと思います。

今回は「7は合同数」の記事に出てきた「あの三角形」を計算で求めてみましょう。
tsujimotter.hatenablog.com

SageMathについて

今回の記事は、次のツイートの解説という位置付けです。


計算には、SageMathというソフトウェアを用いて行います。
www.sagemath.org

CoCalcというサービスを使えば、オンラインでもSageMathが扱えます。TwitterやGithub等のアカウントでログインすることができますので、自分でも試したい方はアクセスしてみてください。

https://cocalc.com/app

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