tsujimotterのノートブック

日曜数学者 tsujimotter の「趣味で数学」実践ノート

部分分数分解の公式

Twitterを眺めていると、とても楽しいツイートが流れてきました。

部分分数分解のテクニックだそうです。私も知りませんでした!

 \displaystyle \frac{1}{(s+1)(s+2)}

という多項式の積で書かれた分数を、 \alpha, \beta を使って以下のように置きます。

 \displaystyle \frac{1}{(s+1)(s+2)} = \frac{\alpha}{s+1} + \frac{\beta}{s+2} \tag{1}

この  \alpha, \beta を求めよ、というのが部分分数分解の問題です。

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積分定数とは何だったのか

数学ガール「ポアンカレ予想」を読んでいて(あまり本題に関係なく)感動したのが、不定積分 についてです。

 f(x) の不定積分は、原始関数  F(x) を用いて以下のように表せます。

 \displaystyle \int f(x)dx = F(x) + C

ここで、 C は積分定数です。

高校の時からずっと機械的に(もしくはおまじない的に)

 C は積分定数である」

と書いてきたわけですが、この積分定数とは一体何か、というのが今回の主題です。

考えを進めていったら、昨日ブログで書いたド・ラームコホモロジーも出てきてびっくり。よかったら最後まで御覧ください。

昨日の記事:
tsujimotter.hatenablog.com

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S^1のド・ラームコホモロジーとフーリエ級数の定数項

数学ガールの第6巻「ポアンカレ予想」がついに発売されましたね。tsujimotterも夢中になって読んでいます*1

今回の数学ガールのテーマは「ポアンカレ予想」です。「位相空間」や「多様体」といった幾何学のトピックがたくさん登場して、普段は数論ばかりで幾何学に触れてこなかったtsujimotterにとっては、大変勉強になる本となっています。数学ガールを読んで、頭の中が幾何学モードになっています。

さて、本日のブログ記事の主役は 「ド・ラームコホモロジー」 です。ド・ラームコホモロジー、多様体という幾何学的な対象の上で考えられる「微分積分」に深く関連した重要な概念です。以前からブログに書きたいと思っていたのですが、なかなか取りかかれませんでした。せっかく頭が幾何学モードになっているので、熱があるうちにブログにまとめたくなったのです。

「ド・ラームコホモロジー」については、以下の本の3章が大変参考になります。今回の記事の元ネタでもあります。

コホモロジー

コホモロジー

少し長い話になりますが、面白い内容だと思いますので、ぜひ最後まで読んでもらえると嬉しいです。

*1:tsujimotterは数学ガールの大ファンで、全巻持っています。札幌に住んでいた頃(ちょうど第5巻が発売された頃ですが)は、数学ガール読書会なるイベントを開いたこともありました

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ヘンゼルの補題と7進法人間

みなさん、ヘンゼルの補題 という定理をご存知でしょうか。

ヘンゼルの補題は、整数論についてのとても重要な定理の一つです。 p 進数 という、現代の整数論において必須とも言える概念とも深く関連します。

でも、ちょっとだけややこしい。今日はこの定理の紹介を試みようと思います。

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センター試験2018 数学Ⅰ・数学A 第4問

2018年のセンター試験の問題が気になって 数学Ⅰ・A だけ解いてみました。どれもなかなか面白い問題だったのですが、特に 第4問 が個人的に面白かったので、今日はその問題の解説をしたいと思います。

諸注意:
本ブログ記事は、日曜数学者 tsujimotter が趣味で勉強した内容を発表するブログ記事であり、受験生向けの解説記事ではありません。「センター試験の問題を遊びで解いてみた」という程度の内容となっておりますので、予めご了承ください。

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楕円曲線のハッセの定理

 今日は、前回紹介した「合同ゼータ関数のリーマン予想(ヴェイユ予想)」の応用を紹介したいと思います。
tsujimotter.hatenablog.com


 楕円曲線の  \newcommand{\f}{\mathbb{F}} \f_p 有理点の個数には面白い法則があります。

  \f_p 上定義された楕円曲線  E \f_p 有理点全体を  E(\f_p) としたとき、その位数は

 \left|(p+1) - \# E(\f_p)\right| \leq 2\sqrt{p} \tag{1}

の不等式によって評価できます。これが、楕円曲線の ハッセの定理 と呼ばれるものです。ハッセの定理によって、 \f_p 上の楕円曲線の有理点の個数を見積もることができます。

意味としては「 \f_p 上の有理点の個数と  p + 1 はかなり近くて、その誤差の大きさは  2 \sqrt{p} で抑えられる」ということです。

 実はこのハッセの定理は、合同ゼータ関数のリーマン予想の帰結となっていて、今日はこのことについて解説したいと思います。ハッセの定理の他に、ラマヌジャン予想にも少し触れたいと思います。

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