tsujimotterのノートブック

日曜数学者 tsujimotter の「趣味で数学」実践ノート

訂正記事:前回の証明は第Ⅳ証明ではなかった

ガウス和について勉強していくうちに、前回紹介した「平方剰余の相互法則の証明」の記事の内容に関して、誤解があることを発見しました。今回の記事は、その誤解についての 訂正記事 です。私が誤解に気づいたきっかけは、以下のPDF記事でした。 アンドレ・…

平方剰余の相互法則の証明(ガウス和を用いた方法)

3日連続ガウス和シリーズ、最終日の今回のテーマは 「平方剰余の相互法則」 です。平方剰余の相互法則は、整数論を勉強する人の多くが憧れる定理の一つで、いよいよここまできたかという感じがします。 なお、ガウス和シリーズの記事は、以下のタグで見るこ…

ABC予想のよくある間違い

望月新一先生の「宇宙際タイヒミュラー理論」に関する論文が、論文誌に採録されることが決まったというニュースが飛び込んできました。 mainichi.jp論文の原稿は8年も前から発表されており、その内容の壮大さから、数学好きの間で度々話題になっていました…

ガウス和の性質についての証明

前回の記事で、ガウス和 についての面白い定理を紹介しました。せっかくなので、ガウス和シリーズ と題して、3日連続でガウス和にまつわるお話を紹介したいと思います。このシリーズの全記事は「ガウス和」のタグで閲覧できるようにします。 tsujimotter.ha…

√pの作り方(ガウス和)

一昨日にこんなツイートをしてみたら、思った以上に多くの方に面白がってもらえました。せっかくなので、この記事を通して「種明かし(?)」をしたいと思います。√pの作り方 pic.twitter.com/qy2gzay6EW— tsujimotter (@tsujimotter) 2020年3月31日 今回は…

四元数環と2-コサイクル

今日は 四元数環 について考えてみましょう。tsujimotterのノートブックでは初登場ですね。複素数体 は に虚数単位 を加えた体のことで、と書けます。 上の2次拡大体となっています。 に「ある演算規則」をもった という新しい数を加えてとしたものが四元数…

射影空間のK-有理点とヒルベルトの定理90

楕円曲線について本格的に勉強したいと思い、シルヴァーマンによる楕円曲線の本(タイトルは "The Arithmetic of Elliptic Curves"(通称:AEC))を読み始めました。The Arithmetic of Elliptic Curves (Graduate Texts in Mathematics)作者:Silverman, Jos…

群コホモロジーの定義と低次のコホモロジー

今回のテーマは 「群コホモロジー」 です。整数論や諸々を勉強していると、群コホモロジーという言葉をよく耳にします。調べてみると、とても難しそうな定義が並んでいてよくわからない。少し前までの私はそんな感じでした。一方で、難しい定義であっても、…

「ユークリッド整域」ならば「単項イデアル整域」の証明

最近、「素数と2次体の整数論」という本の読書会をはじめました。素数と2次体の整数論 (数学のかんどころ 15)作者:青木 昇発売日: 2012/12/21メディア: 単行本主に数学デーというイベントの中で毎週1、2回程度開催して、少人数で濃い勉強をしています。「…

円周率の「一風変わった」近似式

今日は 3/14 、すなわち 「円周率の日」 ということで、円周率の一風変わった近似式を紹介したいと思います。今回紹介したい式はこちらです:ここで、 は自然対数です。 「なんじゃこりゃ」というような式ですが、実際に計算してみるとその精度の高さに驚き…

任意の自然数は高々53個の4乗数の和で表せる

昨日紹介した「モジュラー形式の本」にまたまた面白い話が載っていたので紹介したいと思います。1足す1から現代数論へ: モジュラー形式への誘い作者:アッシュ,アブナー,グロス,ロバート発売日: 2019/07/27メディア: 単行本 ウェアリングの問題 このブログで…

法pにおける(-1)の平方根の計算(2)

4で割って1あまる素数 に対してをみたす整数 が必ず存在することは「平方剰余の相互法則」の「第一補充則」と呼ばれ、よく知られていますね。 一方で、上の事実だけからは「 がどのような数であるか」についてはわかりません。具体的に を求める方法はないの…

#素数大富豪札幌杯 で出された合成数出しカマトトについて

先日、素数大富豪の大会が札幌で開催されました。その名も「札幌杯」。一時期は開催が危ぶまれましたが、なんとか無事開催されることになりました。少し長い動画ですが、YouTubeで大会の様子を見ることができます。 www.youtube.com札幌杯では 「数学的に面…

ケンタッキーのサイドメニュー問題と重複組合せ

去年の年末、ケンタッキーに行ったときのことです。オリジナルチキン4ピースパックを注文することにしました。 www.kfc.co.jpこのパックでは、以下の4種のサイドメニューのうち1個を選ぶことができます。 ・ポテトS ・クリスピー ・ビスケット ・コールスロ…

フェルマー数を使った素数の無限性の証明

今日は数論の話をしましょう。今回の主役は フェルマー数 です。フェルマー数とは、0以上の整数 に対しての形をした数のことです。 が自然に現れる問題としては 正多角形の作図 がよく知られています。 を素数として、正 角形が作図可能である必要十分条件が…

リーマン面の定義

最近、寺杣先生の「リーマン面の理論」という本を勉強しています。リーマン面の理論作者:寺杣友秀出版社/メーカー: 森北出版発売日: 2019/11/29メディア: 単行本(ソフトカバー) 「リーマン面」についての勉強を始めたのは、「幾何が専門の人の話についてい…

#2020になる数式 (マニアック編):判別式-2020の2次形式

2020年最初に作ったアプリが、おかげさまでたくさんの方にみてもらえているようです。「2020」という数は、・2つの平方数の和・3つの平方数の和・連続する4つの素数の平方数の和・10連続偶数の平方和でそれぞれ表せる数らしいので、その性質を可視化するペー…

#2020になる数式 について考えてみた

明けましておめでとうございます!いよいよ 2020年 ですね。2020年といえば、だいぶ前から話題に上がっていたオリンピックイヤーがいよいよやってきたという感じですが、今年はどんな一年になるのでしょうか。良い年にしていきたいですね。2020年になったと…

指数層系列(3): 層係数コホモロジー

今回は「指数層系列」シリーズの最終回の記事です。これまでシリーズを通してという層の短完全列について議論してきました。指数層系列シリーズの記事は、こちらのタグから読むことができます: tsujimotter.hatenablog.com 前回の記事の最後では、指数層系…

指数層系列(2):層の短完全列

前回、指数関数の3つの素朴な性質からなる2つの短完全列が得られることを紹介しました。指数層系列シリーズの記事は、こちらのタグから読むことができます: tsujimotter.hatenablog.com 本シリーズタイトルの指数層系列とは、上の短完全列を層の間の短完…

素数大富豪のレーティングに関する提案

素数大富豪 Advent Calendar 2018 の24日目の記事です。 本記事は、素数大富豪 Advent Calender 2018 の24日目の記事として、素数大富豪プレーヤーのレーティングを算出する手法について、筆者による提案手法を紹介したいと思います。また、その手法を用いて…

指数層系列(1):指数関数の性質から得られる短完全列

今日の記事は3回に渡るシリーズ記事の第1回です。シリーズを通して、複素数の変数を持つ指数関数に関連する「指数層系列」と呼ばれる概念について紹介したいと思います。指数層系列シリーズの記事は、こちらのタグから読むことができます: tsujimotter.ha…

ガロア表現から作るいろいろなゼータ関数

ゼータ Advent Calendar 2019 の5日目の記事です。 世の中には、色々なゼータ関数があります。・リーマンゼータ関数 ・ディリクレゼータ関数 ・ハッセ・ヴェイユゼータ関数 ・アルティンゼータ関数 ・合同ゼータ関数 ・セルバーグゼータ関数tsujimotterのノ…

ガロア表現の基本的なところ(準備編)

明日、ガロア表現を使った記事を書きたいと思うのですが、その内容を理解するための準備編として、今日はガロア表現の基本的なところをまとめたいと思います。注意: 「基本的なところ」と銘打っておきながら申し訳ないのですが、今回の内容は非常に難しい内…

iのi乗はそこに至る経路で決まる

みなさん、 がどんな値になるか考えたことはありますか?「複素数のべき乗ってなんだよ」と思う方もいるかもしれません。素朴に「 を 回かける」なんて考えたら、意味がわからないですよね。この問題について一度考えたことがある方の中には「 だよ」と答え…

超幾何関数の積分表示と接続問題

日曜数学 Advent Calendar 2019 の1日目の記事です。 アドベントカレンダーの季節がやってまいりました。今年も日曜数学アドベントカレンダーを立てまして、この記事はその1日目の記事となっています。 adventar.org実は、日曜数学アドベントカレンダーは、…

レピュニットと円分体の分解法則

本日 11/11 はレピュニット(1が続く数)の日ですね。毎年この日が来るとtsujimotterはこちらの記事をTwitterに投稿しています。 tsujimotter.hatenablog.com この日は数学が好きな人たちの間でも、レピュニット関連の話題がたくさん投稿されるのですが、特…

等比数列の和と望遠鏡和

横山明日希さんのこのツイートを受けて、面白い(と僕が思った)計算法を考えたので紹介します。僕が思いついたのはこれ。1/32を一回借りてきて、あとはぷよぷよの連鎖のように、どんどん消えていくかんじ pic.twitter.com/r7gfPK3Jvk— 横山 明日希(9/28新…

「増税問題」が解決しました

増税問題は「消費税の増税に伴って総額表示に現れるようになった新しい数はどのような数か?」という数学の問題のことで、次の記事で問題提起しました。 tsujimotter.hatenablog.com記事を公開してみると、早速 id:asangi_a4ac さんによる鮮やかな解答が寄せ…

増税問題

2019年10月1日に消費税が8%から 10% に引き上げとなりました。正確にいうと、軽減税率というシステムが導入されるようなので、8%と10%が混在することになるみたいです。本記事のタイトルは「増税問題」です。ここでは、消費税増税について一言申し上げたい・…