tsujimotterのノートブック

日曜数学者 tsujimotter の「趣味で数学」実践ノート

幾何学

箸袋で作った図形は正五角形か?

今日は 箸袋があるとつい作っちゃうこの図形 についての話です。細長い紙を用意して、上の図をイメージしながら折り曲げて「ぎゅっと」すると、きれいに正五角形が作れてしまいます。箸袋に限らず、お手元に紙テープなど「細長い帯状のもの」があれば簡単に…

2変数2次関数の極値問題(平方完成と主軸変換の図形的な意味)

前回の記事の続きです(前回の記事を読まなくても、今回の内容は読むことができます): tsujimotter.hatenablog.com 前回の内容を簡単に振り返ります。「空間内の与えられた2直線 に対して、その距離を求めることはできるか?」という問題について考えまし…

空間内の「ねじれの位置」にある2直線間の距離

高校数学で習う「空間内の2直線間の距離」について考えてみたいと思います。3次元空間内に2直線 があるとします。 が「ねじれの位置にある」とは、 が交点を持たず、かつ、平行でもないことを言います。このとき、2直線 の距離を考えてみたいと思います。そ…

ザリスキー接空間(続・多項式関数に接する多項式関数)

前回の記事の続きです。まだ読んでいない方はこちらから。 tsujimotter.hatenablog.com前回の記事では、 を通る直線を考えて「この直線に で接する関数全体の同値類」を考えて、その同値類全体がザリスキー余接空間 になっているという話をしました。また、…

多項式関数に接する多項式関数(2021年共通テスト数学ⅡB・第2問)

2021年から「センター試験」が「大学入学共通テスト」という名前に代わり、傾向も以前とは変わったということで各所で話題になりましたね。受験生の皆様はお疲れ様でした。tsujimotterは例年、数学だけは自分で解くようにしているのですが、今年も数学Ⅰ・数…

多様体の「接ベクトル空間」の一歩手前の話

最近、多様体に関する勉強をしているのですが「接ベクトル空間」という概念を習得するのに苦労しています。ちょっと抽象的すぎてよくわからないなと思っていたところに、黒木玄さんからの次のツイートが。#数楽 伝統的なスタイルでは、まず古典的なℝ³内の曲…

ストークスの定理

電磁気学やベクトル解析の講義で「ガウスの定理」や「ストークスの定理」「グリーンの定理」という法則を習ったと思います。これらの法則は一見別々のものに見えますが、微分形式を用いるとこれらの法則を統一的に扱えるという素敵なお話を紹介したいと思い…

名古屋で見つけた「双曲幾何学」

名古屋に行った際に,たまたま立ち寄った通りで「双曲幾何学」的な図形をいくつか見かけましたので,テンション上がって写真をパシャパシャしてしまいました!せっかくなので,ブログでもご紹介します。

積分定数とは何だったのか

数学ガール「ポアンカレ予想」を読んでいて(あまり本題に関係なく)感動したのが、不定積分 についてです。 の不定積分は、原始関数 を用いて以下のように表せます。ここで、 は積分定数です。高校の時からずっと機械的に(もしくはおまじない的に)「 は積…

S^1のド・ラームコホモロジーとフーリエ級数の定数項

数学ガールの第6巻「ポアンカレ予想」がついに発売されましたね。tsujimotterも夢中になって読んでいます*1。今回の数学ガールのテーマは「ポアンカレ予想」です。「位相空間」や「多様体」といった幾何学のトピックがたくさん登場して、普段は数論ばかりで…

接吻数問題 と 24 次元リーチ格子

「接吻数問題」という数学の問題があります.なんとも変な名前の問題ですが今日はそのお話です.実は今回のテーマは,私が1年半前に書いた 691 の記事 に深く関連しています.私のブログでしばしば取り上げている「ラマヌジャンのデルタ」や「保型形式」と…

アルキメデスと円周率

この記事は 明日話したくなる数学豆知識アドベントカレンダー の 21 日目の記事です。( 20 日目:たのしい積分) tsujimotter が円周率に関心を持ったのは小学校のときです。当時の算数の教科書には、円周率が小数点以下 30 桁まで書いてあって、それを一生…

正十七角形は作れる

この記事は 明日話したくなる数学豆知識アドベントカレンダー の 17 日目の記事です。( 16 日目:積と微分とデルタ関数) 「かわいいは作れる」というような CM のキャッチコピーが一時期流行りました。それに合わせて「本当に化粧によってどこまで人は変れ…

ペンローズ・タイル

この記事は 明日話したくなる数学豆知識アドベントカレンダー の 15 日目の記事です。( 14 日目:知られざる反例) 今日は、タイル張り(Tiling) という数学をご紹介します。

ラングレーの問題とフランクリンの凧

この記事は 明日話したくなる数学豆知識アドベントカレンダー の 11 日目の記事です。( 10 日目:ステップ関数の微分) これまで End01nojo さんと二人で続けてきた「明日話したくなる数学豆知識アドベントカレンダー」に、なんと新たな加勢が!がんばった…

折り紙で3次方程式が折れるわけ(後編)

さぁ、後編です。前回の記事を読んでない方は、お先にこちらをどうぞ。 《前々回》正七角形の折り方:完成までの14のステップ - tsujimotterのノートブック《前回》折り紙で3次方程式が折れるわけ(前編) - tsujimotterのノートブック 本エントリを最後ま…

折り紙で3次方程式が折れるわけ(前編)

《前回の記事はこちら》 正七角形の折り方:完成までの14のステップ - tsujimotterのノートブック 前々回の記事では、正七角形の折り方を14ステップに分けて解説した訳ですが。 想像以上に反響があって tsujimotter は動揺しております。ありがたやーあり…

正七角形の折り方:完成までの14のステップ

以前に「折り紙で正七角形を折ってみた - tsujimotterのノートブック」という記事を書いていました。アクセス履歴を見てみると思った以上に好評で、「正七角形 折り方」などのキーワードで多くの方が見に来てくれているようです。前回の記事には、折り方まで…

折り紙で正七角形を折ってみた

私が折り紙を始めたのは、保育園の頃だったそうです。 「そうです」というのは、自分があまり覚えていなくて、人に聞いた話だからなのですが。 自分の記憶では小学校に入ってすぐぐらいにはもう、正六角形、正五角形を折っていた記憶があります。正六角形が…