明日話したくなる「数」のお話シリーズの最新動画で 超プーレ数 という概念を紹介しました。
動画内でいくつか定理を紹介しましたが、証明までは説明しませんでした。このブログ記事では動画の補足情報として、動画で紹介できなかった証明部分を紹介したいと思います。
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動画内でいくつか定理を紹介しましたが、証明までは説明しませんでした。このブログ記事では動画の補足情報として、動画で紹介できなかった証明部分を紹介したいと思います。
続きを読む素数の一覧表を作るときに、一個一個の数を素数かどうか判定していくのもよいですが、もう少し効率的に行う方法があります。
その方法の一つが エラトステネスの篩(ふるい) です。
エラトステネスの篩は、情報系の大学生であればプログラミングの演習等で一度は実装したことがあるかと思いますが、実に「アルゴリズム的」なものです。説明の際は「手順」を説明されることが多く、私はこれを数式で表そうと考えたことがありませんでした。
ところが、Wikipediaを見ると、エラトステネスの篩はこんな数式で表せると書いてあります。
こんな風に表せるのか!と驚いた一方で、これはいったいどういうことなんだろうとも思いました。
実際、式 の意味するところは何なのか、初見ではあまりよくわかりません。そこでこの記事では、式 の意味を理解し、どのようにして導かれるのかを理解するために順を追って解説したいと思います。
続きを読む最近、タイムラインで
という話をよくみかけます。とても面白い現象ですね。
この問題については、id:egory_cat さんのブログにて、一般の 進法に対して証明が与えられています。
egory-cat.hatenablog.com
ブログを拝見させていただきましたが、とても面白かったです!
要するに、分子の数 は
に対して を代入した数であり、分母の数
に対して を代入した数であり、これらの比
の小数部分が十分小さな値となることを示せるわけですね。
一方で、Twitter上でこんなツイートも見かけました:
(987654321-1)/(123456789+1) = 8 pic.twitter.com/KWrcpmyF11
— Poo-Sung Park (@puzzlist) 2021年3月30日
なるほど、上の記号を用いて
が成り立つと言うわけですね。これは面白い。
この関係から、一般の 進法において
が成り立つことを示唆されますが、これは成り立つのでしょうか。
その答えはイエスです!
一般の で成り立ちますので、実際に証明してみましょう!
id:egory_cat さんの記事より
が成り立ちますので、これを使って変形しましょう。
したがって
となり、綺麗に だけが残りましたね!
元の問題に立ち返ってみると、この式の分母を「ちょっと小さく」して、分子の方を「ちょっと」大きくすると、 より少しだけ大きな値になるというわけなんですね。
いやー、数学ってうまいことできていますね!!
これで証明は完了しましたが、少し疑問が残りました。この結果って、定義に戻って考えると
ということを表しているわけですよね。これって級数のままで証明できたりしないでしょうか。
もし思いついた方がおられましたら、コメントで教えていただけるとうれしいです。
それでは今日はこのへんで!
(とても楽しい記事を公開してくださった id:egory_cat さんに感謝です!)
最後の
という式ですが、直接証明する方法をOTTYさんから教えていただきました。許可をいただきましたので、転載させていただきます。
に加えて、 を次のように定義します。
これは と代入すれば、 となります。つまり、 の最後の桁だけ抜いた数というわけですね。
ここで、次のような関係が成り立ちます:
はそれぞれ
と対応しています。
これらを使うと、次のように目的の式が得られます:
面白いですね!!
OTTYさんありがとうございます!
みなさん明けましておめでとうございます!
年が明けたということで、みなさん今年の干支はご存知ですか?
そうです
ですね!!
「え、寅年でしょ?」と思った方。もちろんそれで正解なんですが、少しだけ話を聞いてください。
実は、干支といったときには単に
の 十二支 だけではなく、十干(じっかん)
も合わせて考えることがあるのです。
十干と十二支を順に並べて今年の干支といいます。
今年2022年は、十干が「壬(みずのえ)」で、十二支が「寅(とら)」なので、干支は「壬寅(みずのえとら)」というわけですね。
(もちろん実際問題として、単に十二支だけで干支と行ってしまう場合もあると思います。)
ところで、この干支のルール、なかなか面白いのです。
十干は10種類と十二支は12種類あるということで、干支は120種類あるのかと思いきや、なんとその半分の
しかありません。つまり、60年で元の干支に戻ってしまうのです。
このように、60年で元の干支に戻ってくるので、60歳の誕生日に還暦を祝ったりするわけですね。
もう少し詳しくルールを説明します。今年2022年は
だったわけですが、来年2023年は
となります。つまり、十干も十二支もそれぞれ1つずつ進める わけです。
この先は
のように進んでいきます。
このルールに従うと、120通りすべて通るわけではなく、半分の60通りの組み合わせしか登場しないことになります。たとえば、今年の干支の十干を一個ずらした
は登場しないことになります。
60通りの組み合わせしか登場しないメカニズムについては、鰺坂もっちょさんのツイートがたいへんわかりやすいのでご紹介させていただきます。
干支って十干×十二支で120年分あってもよさそうなのに「乙子(きのとね)」「丙丑(ひのえうし)」とかが存在しなくて60年分しかない理由 pic.twitter.com/UdtesIIeHm
— 鯵坂もっちょ🐟 (@motcho_tw) 2022年1月10日
実は、今回の記事はこちらのツイートがインスパイア元になっています。
さて、ここからが本題です。
上記のもっちょさんのアニメーションで、仕組みはよく理解できるかと思います。しかしながら、もっと別のやり方でこのことを理解できないかと考えました。
群論 を使うと、干支が60年で元に戻る仕組みを理解できることを思いついたので、今回の記事を書くことにしました。よろしければぜひ最後までご覧になってください!
今回の記事では、数学者の名前がついた素数 について紹介したいと思います。名前を紹介するだけではなく、その由来となった数学的背景を簡単に紹介する記事になっています。
素数は
のように数がただ並んでいるだけに思われるかもしれません。しかしながら、2はソフィー・ジェルマン素数であり、3や7はメルセンヌ素数、5はフェルマー素数であるなど、それぞれ個性を持っています。
この記事を通して、それぞれの数が持つ個性や魅力を感じていただけると嬉しいです。それでは、最後までぜひご覧ください!
突然ですが、100の階乗を101で割ったあまり を考えてみましょう。
実際、計算しようと思うと大変ですが
となります。これを で割ったあまりは、ちょうど になります。
ほかにも、 は
であり、これを で割ったあまりは となります。
実はこれ、一般に成り立つ話なのです!
を素数として、 を で割ったあまりを考えます。すると、一般に以下の合同式が成り立ちます。
これを ウィルソンの定理 と言います。
なので、あまりが だと言って良いわけですね。
ここまではよく知られている事実ですが、 が合成数のときにはどうなるのだろうか、というのが今日の話です。
昨年行われた数学イベント(日曜数学会)の懇親会で「合成数だけに特別に成り立つような性質があったら面白いよね」という話になりました。そんな性質あったかなとWikipedia「合成数」の記事を開いてみると、こんな事実が書かれていました:
である合成数 はこの式を満たす
ある意味、これが「合成数だけに特別に成り立つような性質はあるか」についての一つの答えになっていますね。
よくよく考えてみると、この性質は当たり前です。証明してみましょう。
(証明)
が合成数だとすると
のように因数分解できます。(素因数分解でなくてかまいません。)
ここで より、 も も
の因数に入っています。
特に であれば
なので が を割り切ることが言えます。
の場合は、 が を割り切ったあと、 がさらに も割り切ることを示す必要がありますね。
このケースは が平方数の場合ですが、 であれば と は3以上です。この場合、 になりますので、
という形になっています。よって、 で2回割り切れることが言えます。したがって、 は で割り切れます。
ちなみに、 の合成数は のケースですが、このときは
となって にはなりませんね。
当たり前なのですが、言われてみないとなかなか気づかなかったりするので、はっと気づかされると面白いと感じる。そんな定理かなと思います。
他にも合成数のときだけ成り立つような面白い性質をご存知の方がいましたら、よろしければ教えてください。
それでは今日はこの辺で!