tsujimotterのノートブック

日曜数学者 tsujimotter の「趣味で数学」実践ノート

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モジュラー曲線(5):メイザーの定理

モジュラー曲線というのは、上半平面 を の合同部分群で割ったものとして定義されます。定義からは、明らかに複素解析的な対象に見えると思います。ところが、実はモジュラー曲線は数論的な対象でもあるのです。わかりやすい応用として、楕円曲線の位数有限な点に関する メイザーの定理 があります。定理(メイザーの定理) を 上の楕円曲線とする。このとき、 の位数有限の有理点の位数 は、 のいずれかである。これは楕円曲線の有理点の構造を決定するために大変有用な定理です。数論における大定理といっ…

モジュラー曲線(4):レベル構造付き楕円曲線とモジュライ空間

前回の記事では、モジュラー曲線 と楕円曲線の同型類全体が全単射であることを示しました。すなわち、 は楕円曲線の(同型類の)モジュライ空間になっているということでした。 tsujimotter.hatenablog.com 今回はレベル構造が入ったモジュラー曲線 を考えたいと思います。このモジュラー曲線は一体何のモジュライ空間なのかというのが今回の主題です。実は、上の話の類似で、 はレベル構造が付いた楕円曲線のモジュライ空間になっています。今日はそれを示すのを目的とします。

モジュラー曲線(3):複素トーラスとしての楕円曲線

今回の記事は、楕円曲線についての基礎的な事項についてのおさらいです。これまでのtsujimotterのノートブックでは、色々な記事で楕円曲線について紹介してきました。しかしながら、どれも文字数や手間の関係で駆け足で紹介せざるを得ませんでした。ここで一度腰を据えて丁寧に解説したいと思います。楕円曲線は、代数曲線としての側面を紹介することが多いですが、今回は複素トーラスとしての側面について中心に紹介します。これは、後でモジュラー曲線に関する記事で使うことを想定しています。モジュラ…

モジュラー曲線(1):モジュラー曲線の導入

今日から3回にわたって モジュラー曲線 をテーマとしたお話をしたいと思います。「モジュラー曲線?ああ、あれね」といった具合に、頭の中でイメージできるようになることを目標としたいと思います。以前から気になっていたトピックなのですが、先日日曜数学仲間の方と一緒に計算してみて、ようやく理解した気になれました。tsujimotterにとってもホットなトピックで、ぜひ自分の言葉で記事にまとめたいと思ったのがこの記事の動機です。まずは基本的なモジュラー曲線 について紹介します。実は、次の…