今日は「クンマー・ペアリング」についてのお話です。
以下のシリーズの続きです。
tsujimotter.hatenablog.com
ご無沙汰しています。tsujimotterです。
久しぶりに「クロネッカー・ウェーバーの定理と証明のあらすじ」シリーズの続きを書きたいと思います。
tsujimotter.hatenablog.com
今日の主役は クンマー拡大 です。クンマー拡大とは,「巡回拡大」が「ベキ根の添加」によってかけるような拡大のことです。このような拡大のときは,いろいろと都合がよい性質があるのです。
続きを読む7/19から7/28の計9日間,Iwasawa2017という国際研究集会が東京大学にて開催されました.岩澤理論における世界的スーパースターが一堂に会し活発な議論が行われました.
実はtsujimotterもこっそり参加しておりました.感想やレポートはまたいずれ書きたいと思いますが,今日は別のお話をしたいと思います.
今日は,Iwasawa2017の講演者の一人であるジョン・コーツ先生*1の結果の中で,私のお気に入りの定理「コーツ・ワイルズの定理」についてご紹介したいと思います.
*1:ジョン・コーツ先生は,初日から参加されていて,講演だけでなくオープニングトークや座長などもされていました.私は遠くから眺めたり会場内ですれ違うだけで,声をかけることはできませんでした・・・.
今日は,私の大好きな数式から話を始めたいと思います。
続きを読む今日は「岩澤理論」についてのお話をしたいと思います。
2017年は,岩澤理論の創始者である岩澤健吉先生の 「生誕100周年」 の年にあたります*1。節目の年ということもあって Iwasawa2017 という国際会議が東京で開催されます。
私もこの分野の数学に関心があり,「節目の年である2017年までに」どうにかして理解しようと思い,これまで密かに勉強を続けてきました。
このままでは,岩澤理論を理解できないまま2017年が終わってしまいます。そう思って,2017年の1月より方針を改めることにしました。
毎朝早起きして「1時間限定」で岩澤理論の勉強だけことにしたのです。朝であればどんな予定にも邪魔されることはなく,一定のペースで勉強を進められます。(ついでに早起きして健康的な生活ができる)
これが功を奏して,よい生活リズムのまま約3ヶ月の勉強を続けることができました。
今日はこれまでの勉強の成果を中間発表として報告したいと思います。
私が岩澤理論の勉強に使っている本はこちらです。本記事の内容も,主にこちらの本を参考にしています。
上記の本を「3か月で読み終えること」を目標に勉強を進めてきましたが,ちょうど今月の上旬に読み終えたところです。自分の理解のチェックもかねて,できる限り自分の言葉で解説していきたいと思います。
*1:2017年は,2011年以来6年ぶりの素数の年でもあります。
Aさん「私はBくんのことが大好き!」
Bくん「僕はその100倍好き!」
Aさん「じゃあ私はその1000倍好き!」
俺「y=100x,x=1000yだからx=y=0」
というネタがツイッターで流れてきたので、私も乗っかりたくなりました。
普通に実数上で上記の式を考えてしまうと になってしまうわけですが、たとえば とかで考えれば別の解が存在することになりますね。
以下のページで詳しく書いてありましたので、ご紹介します。
さて、私の方はというと、これを「楕円曲線」で考えたくなったというわけです。
楕円曲線 上の任意の点には、自然に「加法(+)」という演算を入れることができて「アーベル群」をなします。この場合の単位元 は「無限遠点」になります。
加法を 回繰り返せば 倍という写像も自然に定義できます。
また、 が に一致するとき、 を楕円曲線 等分点といいます。 回繰り返すと戻ってくるということですね。こんな風に戻ってくる点もあれば、二度と戻ってこない点もあります。戻ってくる点のことを「ねじれ点」と言ったりもします。
さて、先の問題に話を戻すと、彼女の愛情を点 とし、彼の愛情を点 とします。楕円曲線では 倍とか 倍とかを考えることができますから、先ほどの記事と同じ議論ができますね。
結果的に、3倍か41倍か271倍して になる、等分点を持つような楕円曲線を見つけてくればいいわけですね。
たとえば、
という曲線を考えて、この曲線に無限遠点を加えると楕円曲線になります。これを とすると、 にはたとえば という3等分点があります。
彼女と彼の点を としておけば、元の条件は成り立ちますね。
ところで、先の記事では を除いていましたが、ふと も許しても面白いんじゃないかと思いました。
なので 「彼も彼女も無限遠点にいる」ことになりますね。こっちの方が少しロマンチックな感じがしませんか?笑
無限遠点といえば、恋い焦がれる場所でもあります。
加藤先生・臼井先生というお二人の数学者の掛け合いによって生まれた、こんな川柳を思い出します。最後にご紹介して終わりにしましょう。
数学は 無限遠点 恋う心 恋うて焦がれて 遙かな旅路
それでは、今日はこの辺で。
無限遠点で愛し合うカップルその2
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