この記事は、シリーズ記事「アフィンスキームとは何だろうか」の第3回の記事です。
前回はついにアフィンスキームを定義しました。今日は、本シリーズの最後の記事として、アフィンスキームの間の射を定義したいと思います。
アフィンスキームの射を通して「 上のスキーム」などの概念を考えることができ、これにより整数論についての面白い見方を得ることができます。
続きを読むこの記事は、シリーズ記事「アフィンスキームとは何だろうか」の第3回の記事です。
前回はついにアフィンスキームを定義しました。今日は、本シリーズの最後の記事として、アフィンスキームの間の射を定義したいと思います。
アフィンスキームの射を通して「 上のスキーム」などの概念を考えることができ、これにより整数論についての面白い見方を得ることができます。
続きを読むこの記事は、シリーズ記事「アフィンスキームとは何だろうか」の第2回の記事です。
前回はアフィンスキームの定義に向けて、環のスペクトルとザリスキー位相という概念を紹介しました。位相が入ったので、環のスペクトルが位相空間になりました。
今日は、位相空間の上の 構造層 がテーマです。最終的には、アフィンスキームを定義するところまでいきたいと思います。
続きを読む数論の勉強をしていく中で、スキーム理論の言葉で書かれた文章をたびたび見かけるようになり、スキームの基礎的な事項について理解したいと思うようになりました。
代数幾何学の標準的な(?)教科書であるハーツホーン [文献1] などの本を読んで、基本的な部分についてはある程度理解してきた気がしているのですが、やはり自分の文章でまとめてみないとわかった気がしません。そこで、今まで理解した部分をブログでまとめてみようと思いました。
そこで今日は、スキーム理論の基本である「アフィンスキーム」について、解説を試みたいと思います。私の理解向上のためというのが目的なので、あくまで自分のために文章化し、それを人にも見てもらえるような場所に置いておくという程度のスタンスで書いています。「みんなにスキームについてわかりやすく教えてやるぜ」というつもりはまったくありません。勘違いしている記述もあると思っています。おかしなところがあれば(こっそりと*1)ご指摘いただければと思います。
「代数幾何学」という、図形を代数的に取り扱う学問があります。代数幾何的な手法を、数論的な対象に対してもより広く適用できるようにするためにスキームが導入されたという話を聞いたことがあります。スキームの発明者は、あの グロタンディーク だそうで、グロタンディークらが発展させたのが数論的な対象を幾何的な道具を使って理解する数論幾何という一分野です。
今回の記事では、①アフィンスキームを定義すること、②アフィンスキームを用いた整数論の見え方について紹介すること、を目的としたいと思います。
とはいえ、そもそもアフィンスキームは、定義するだけでも大変なものです。そこで、ブログ記事を3部構成に分けて、以下のような流れで順を追って説明していきたいと思います。
第1部(本記事):
1. 代数幾何の基本
2. 環のスペクトル
3. ザリスキー位相第2部(5/7公開予定):
4. 構造層
5. アフィンスキームの定義第3部(5/8公開予定):
6. アフィンスキームの射
7. アフィンスキームの射の具体例
8. まとめ
まずアフィンスキームの定義には、環のスペクトルという「環の素イデアルだけで構成された空間」を考える必要があります。一方で、初学者である私の率直な感想としては、なぜそんなものを考えるのかよくわかりませんでした。
そこで第1部では、代数幾何学の基本的なところを触れつつ、流れをざっと追うことで、なぜ環のスペクトルを考えるのかについて考察したいと思います。
その後、第1部の後半と第2部では、アフィンスキームの定義に必要な2つの概念「ザリスキー位相」「構造層」について説明します。これでようやくアフィンスキームが定義できるようになります。
第3部では、アフィンスキームの例をいくつか出した上で、アフィンスキームの間の射について触れたいと思います。これによって、アフィンスキームの言葉を使って、これまでブログでも扱ってきた整数論のいくつかの問題を、少し新しい見方で見ることができるという例を紹介したいと思います。
なお、一連の記事では、可換環と言ったら単位的可換環(単位元 1 を持つ可換環)を考えます。
*1:「こっそりと」の意味は「ブログのコメント欄ではなく、TwitterのDM等のクローズドな場所でご指摘下さい」という意味です。コメントで指摘されると、それを直ちに修正するという必要性が生じますが、一方で私の理解を超える高度な指摘は時に考える時間を要します。コメントが公開されたまま直ちに修正できない状況が続くと、私自身がプレッシャーに晒されることになります。趣味で数学の記事を書いている私としては、そのような状況はできるだけを避けたいというのが趣旨です。クローズドな場でご指摘いただくことは、私自身の成長にもつながりますので大歓迎です。ぜひ宜しくお願いします。
今日は が主役です。 は定義から
ですが、ここから を除いた
を考えてみましょう。 のように置き換えると
とできて、これは そのものです。したがって、表題の が成り立ちます。
これだけでも十分面白いのですが、実は という関係式には、こんな面白い特徴があるというのです。
This is the only known solution to n! = a!b! apart from the general pattern, (n!)! = n!(n! - 1)! pic.twitter.com/SPenjs4kQU
— Fermat's Library (@fermatslibrary) 2019年4月20日
上記のツイートは、@apu_yokai さんという方の以下のツイートによって知りました。
n! = a!b! と表すことができる組み合わせのうち、自明な組み合わせ (n!)! = n!(n! - 1)! でないものとして現在知られているのは唯一この組み合わせ
— apu (@apu_yokai) 2019年4月20日
10!=6!7!
のみ。他にもあるかどうかは未解決問題とな🤔 https://t.co/TCAjYEX527
つまり、こういうことです。
というのです。とても面白い話だと思いましたので、私のブログでもぜひ紹介したいと思いました。
続きを読む今年の3月に情報処理学会全国大会というところに行ってきまして、「ゲーム理論やメカニズムデザイン」についての招待講演を聞いてきました。以前からこの分野にはなんとなく関心があったのですが、この話がとても面白かったということもあり、関連する分野を調べたいというモチベーションが湧いてきました。
調べているうちに、人工知能学会の学会誌にちょうど良い解説記事があるのを見つけて、読んでみることにしました。
jsai.ixsq.nii.ac.jp
上の解説記事の中で、特に興味をもったのが セキュリティゲーム という研究です。セキュリティゲームは、ゲーム理論の知見を実際の警備システムに応用するという研究です。勉強がてらブログ記事にまとめてみようと思います。
続きを読む前回の「FF5のレベル5デスと整数論」の記事では、多くの方々に読んでいただくことになり、たくさんの反響がありました。
「コラッツ予想に似てる」
「数式部分はよくわからなかったけど面白い」
「数学的な考察の勉強になった」
「授業の教材としても使えるかも」
「算術士の考察もしてほしい」→そういうのがあるらしい!
などなど
普段は数学好きな人が読者の大半だと思いますが、前回の記事についてはFFファンやゲームファンの人にも届いたようで、想定外の反応があり面白かったです。
たとえばこんな感想。
この記事を見て考えていたけれど、レベル5デスって、その理不尽さが、プレイヤー側が使う魔法と明らかに別のロジックで動いてる感じがして、「魔物が使う魔法」というエキゾチックな感じをうまく表現していると思う
— at_akada (@at_akada) 2019年3月22日
なるほどなと思いました。青魔法の独特な効果は、こんな印象を与えるのか。
ほかにも。
次元城って、ゲームの終盤だった記憶があります。
— 西尾 雄貴 (@yuki_zxc) 2019年3月22日
ともあれ、すべてのボスモンスターにこれが適応可能となれば、面白いですね。
このようなコンボの存在はおそらく制作者は考えているでしょうが、すべてのボスで、あえて残したあたりが素晴らしいと思います。
ボスにはきかないでもいいはずなのに。
FF5では、レベル系魔法など面白いシステムが搭載されていますが、これらを組み合わせた攻略はきっと開発スタッフも想定されていると思うのですよね。
ゲームバランスを考えると、普通だったらボスには効かないようにうまく調整したりするものですが、こうした穴をあえて残しているところにFFスタッフの遊び心が隠されているように思います。こうした余地があるからこそFF5は多くの人を惹きつけるのかもしれないなと思いました。
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