楕円曲線とは(細かいことを抜きにして言えば *1)
という式で表される曲線のことです。上の方程式のことを、楕円曲線の定義方程式といいます。
時と場合によって微妙に定義式の書き方が異なったりますが、左辺の の指数はいつも 2乗 になっていて、右辺の式はいつも決まって 3乗 になっています。
楕円曲線について勉強した人は、一度くらい、このような疑問を持つのではないでしょうか。
ところで、楕円曲線の定義として、以下のものを思い浮かべた方もいるかもしれません。
種数1の非特異射影代数曲線を楕円曲線という
上記の定義には、定義方程式の形が一切出てきませんが、冒頭の定義と一致するのでしょうか。
ここでは、種数1 という情報がポイントです。ほぼこの情報だけから、楕円曲線の定義方程式の形状が決定されるのです。
代数曲線の理論には、リーマン・ロッホの定理 という重要な定理があって、楕円曲線の上で定義される関数の空間の次元を、種数を用いて特定することができます。特定した関数の空間における関係式を用いて、定義方程式を決定することができるのです。
ざっくりと流れを説明しましたが、以降で詳しく解説します。
*1:楕円曲線の定義としては、正確に言えば以下のものです。 楕円曲線とは、 ①非特異な射影曲線であって ②上の式に双有理同値な曲線のこと です。 さらに言えば、係数体の標数が2でも3でもない場合はこれでよいのですが、標数が2や3の場合には ではなく という式に双有理同値な曲線を楕円曲線といいます。 が、今回は細かいところを抜きにして、標数 0 のものだけを考えます。その上で、 で表された曲線のことを楕円曲線ということにしましょう。