tsujimotterのノートブック

日曜数学者 tsujimotter の「趣味で数学」実践ノート

具体例を通して学ぶ虚数乗法論(後編)

tsujimotter.hatenablog.com

昨日に引き続き 「具体例を通して学ぶ虚数乗法論」 のお話 後編 です。

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目次:
《前編》

  • Sagemathについて
  • 本日の主役
  • 楕円曲線の加法
  • m倍写像とm等分点
  • 虚数乗法とは


《後編》

円とのアナロジー

楕円曲線と数論の関係がみえてきたところで、ここで一旦話を変えて、「みなさんがよく知っている曲線」と「数論」との関係について述べたいと思います。

高校数学の頃から慣れ親しんだ について考えてみましょう。

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上の図は、複素数平面上で単位円を描いたものです。

ここで単位円を  m 等分 する点を考えてみましょう。実際、 z^m = 1 の根、すなわち 1の  m 乗根 を考えてあげればよいことになります。

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1の  m 乗根全体を  \mu_m で表しましょう。すると、任意の  \alpha, \beta \in \mu_m に対して  \alpha^m = 1, \; \beta^m = 1 が成り立ちます。よって

 (\alpha\beta)^m  = 1

なので、 \alpha \beta \in \mu_m です。すなわち、 \mu_m は乗法に対して群をなします。


特に、1の原始  m 乗根

 \zeta_m = \exp\left(\frac{2\pi i }{m}\right)

を考えてあげると、よく知られているように  \mu_m \zeta_m によって生成されます。


1の  m 乗根は、 \mathbb{Q} 上の多項式  z^m = 1 の根なので、代数的数になります。そこで、これらをすべて  \mathbb{Q} に添加した体  \mathbb{Q}(\mu_m)円分体 といいます。

円分体を調べることの最初のモチベーションは「ガウスの整数論」にありました。ガウスは、正  m 角形が作図できるか判定するために、円分体  \mathbb{Q}(\mu_m) の拡大次数  [ \mathbb{Q}(\zeta_m) : \mathbb{Q} ] を求めたのでした。

実際、円分体の拡大次数が  [\mathbb{Q}(\zeta_m) : \mathbb{Q}] = 2^k 2 のべき乗)であることが、正  m 角形が作図可能であることの必要十分条件になります。

円分体の拡大次数を調べるために、ガロア群  \operatorname{Gal}(\mathbb{Q}(\mu_m)/\mathbb{Q}) を考えるのは有効な手段です。実際、ガロア群には次のような同型があります:

 \begin{align} \operatorname{Gal}(\mathbb{Q}(\mu_m)/\mathbb{Q}) \;\;&\simeq \;\;\;(\mathbb{Z}/m\mathbb{Z})^\times \\
\sigma_i \;\;\;\;\;\;\;\;\; &\mapsto \;\;i\bmod{m} \end{align}

ここで、 \sigma_i \zeta_m \zeta_m^i にうつす自己同型写像です。この同型を通して

 [\mathbb{Q}(\zeta_m) : \mathbb{Q}] =  \#\operatorname{Gal}(\mathbb{Q}(\mu_m)/\mathbb{Q}) = \# (\mathbb{Z}/m\mathbb{Z})^\times = \varphi(m)

のように拡大次数が  \varphi(m) に一致することがわかるという流れです。

 \mathbb{Q}(\mu_m) はガロア拡大で、 \mu_m \zeta_m によって生成されるので、ガロア群の元は原始  m 乗根  \zeta_m の行き先だけで決まるというのがポイントです。行き先は  \zeta_m^i という形で表せるので、このような同型が得られるというのが、上の同型写像のざっくりとした解説です。

この考え方は楕円曲線でも用いるので、覚えておいてください。


さて、右辺の既約剰余類群  (\mathbb{Z}/m\mathbb{Z})^\times は明らかにアーベル群なので、円分体は  \mathbb{Q} 上のアーベル拡大体 となります。

さらにいうと、円分体は単なるアーベル拡大体ではなく、ある意味で 最大のアーベル拡大体 でもあるのです。


たとえば、 \mathbb{Q} 上のアーベル拡大の例として、 \mathbb{Q}(\sqrt{5}) という2次体があります。これはもちろんアーベル拡大です。ここで「ガウス和」と呼ばれるもの

 \sqrt{5} = \zeta_5 - \zeta_5^2 - \zeta_5^3 + \zeta_5^4

を用いると、右辺は明らかに  \mathbb{Q}(\mu_5) の元ですから、 \sqrt{5} \in \mathbb{Q}(\mu_5) となります。したがって
 \mathbb{Q}(\sqrt{5}) \subset \mathbb{Q}(\mu_m)

が成り立ちます。

より一般に、 \mathbb{Q} 上のアーベル拡大体  K があったときに、「(正確ではないですがだいたい)導手」と呼ばれる量  m > 0 が存在して

 K \subset \mathbb{Q}(\mu_m)

が成り立つという事実が知られています。これを クロネッカー・ウェーバーの定理 といいます。上のガウス和の例は、 K = \mathbb{Q}(\sqrt{5}), \; m = 5 とした具体例となっていますね。

つまり、 \mathbb{Q} 上のアーベル拡大をとってきたら、それを含むような円分体が必ず存在する と言っているわけですね。だから、ある意味最大のアーベル拡大だったわけです。


円分体のような性質を持つ最大のアーベル拡大体を、ray類体 と呼びます。ray類体の詳しい説明は次の節でしたいと思いますが、ray類体には「素イデアル分解」に関する面白い性質があります。


そもそもこのようなアーベル拡大を考える歴史的な経緯は、「素イデアルの分解法則」 にありました。これについて触れておきましょう。

 \mathbb{Q} の整数環(まどろっこしい言い方をしましたが  \mathbb{Z} のことです)において、素イデアルは  (0) か素数  p に対する  (p) に限られます。

ここからは、代数体  K について、 K の整数環の  (0) でない素イデアルを「 K の素イデアル」と呼ぶことにします。よって、 \mathbb{Q} の素イデアルは  (p) です。

さて、 (p) \mathbb{Q} の素イデアルですが、これを  \mathbb{Q}(\sqrt{5}) に持ち上げたときに、そのまま素イデアルでいてくれるとは限りません。つまり

 \displaystyle (11)\mathbb{Z}\left[\frac{1+\sqrt{5}}{2}\right] = \left(1 + (-3)\frac{1+\sqrt{5}}{2}\right)\left(1 + (-3)\frac{1-\sqrt{5}}{2}\right)

のように分解してしまうことがあるのです。


このように、 (p) \mathbb{Q} 上の拡大体  K において「拡大次数  [K : \mathbb{Q}] と同じ個数」の素イデアルの積に分解されるとき、 (p) K で完全分解する といいます。

また、素イデアル分解において2以上の指数が現れるとき、 (p) K で分岐する といいます。


ray類体の一つの特徴づけとして、素イデアルの分解法則が簡潔である という点が挙げられます。

 (p) \mathbb{Q} の素イデアルとして、これを  \mathbb{Q}(\mu_m) に持ち上げたとき、次が成り立ちます:

 p\equiv 1 \pmod{m} \;\; \Longleftrightarrow \;\; (p) \mathbb{Q}(\mu_m) で完全分解する


 K が円分体でない  \mathbb{Q} 上のアーベル拡大の場合も、円分体のケースに帰着させて素イデアルの分解法則を得ることができます。この辺りの事実が、 \mathbb{Q} 上の類体論 の帰結です。


せっかくなので、  K = \mathbb{Q}(\mu_5) として、円分体の素イデアルの分解法則を確認してみましょう。素数  p p \equiv 1 \pmod{5} であることと、素イデアル  (p) K で完全分解することが同値なのでした。

例として、 p = 11 として分解を確認してみましょう。以下が確認用のSagemathのコードです:

K.<z>=NumberField(x^4 + x^3 + x^2 + x + 1); K

I = K.ideal(11)
I.factor()

1行目で  x^4 + x^3 + x^2 + x + 1 を定義多項式とする代数体  K を定義しています。 x^4 + x^3 + x^2 + x + 1 \zeta_5 の最小多項式ですね。多項式の根(すなわち  \zeta_5)を "z" という定数に代入しています。

その後、 K のイデアル  I = (11) を定義し、その素イデアル分解を計算しているという流れです。

結果は次の通りです:

Number Field in z with defining polynomial x^4 + x^3 + x^2 + x + 1
(Fractional ideal (z^3 + 2*z^2 + z + 2)) * (Fractional ideal (z^3 - z + 1)) * (Fractional ideal (-z^2 + z + 1)) * (Fractional ideal (-2*z^3 - z^2 - z))

 z = \zeta_5 と読み替えると、

 \displaystyle (11)\mathbb{Z}[\zeta_5] = (\zeta_5^3 + 2\zeta_5^2 + \zeta_5 + 2)(\zeta_5^3 - \zeta_5 + 1)(-\zeta_5^2 + \zeta_5 + 1)(-2\zeta_5^3 - \zeta_5^2 - \zeta_5)

ということです。分解の仕方はややこしいですが、たしかに4つの素イデアルの積に分解されていますね。

実際、
 1 + \zeta_5 + \zeta_5^2 + \zeta_5^3 + \zeta_5^4 = 0

という関係式を使えば

 \displaystyle (11)\mathbb{Z}[\zeta_5] = (1 - \zeta_5 + \zeta_5^3)(1 - \zeta_5^2  + \zeta_5)(1 - \zeta_5^3 + \zeta_5^4)(1 - \zeta_5^4 + \zeta_5^2)

と表せることを @unaoya さんに教えていただきました。

 \sigma_i \colon \zeta_5 \mapsto \zeta_5^i i = 1, 2, 3, 4)とすると

 \sigma_1(1 - \zeta_5 + \zeta_5^3) = 1 - \zeta_5 + \zeta_5^3
 \sigma_2(1 - \zeta_5 + \zeta_5^3) = 1 - \zeta_5^2 + \zeta_5
 \sigma_3(1 - \zeta_5 + \zeta_5^3) = 1 - \zeta_5^3 + \zeta_5^4
 \sigma_4(1 - \zeta_5 + \zeta_5^3) = 1 - \zeta_5^4 + \zeta_5^2

となり、互いに共役であることが確認できますね。これは「ガロア拡大における素イデアル分解」の一般論から言えることです。

また、 [\mathbb{Q}(\zeta_5) : \mathbb{Q}] = 4 なので

 (11) K = \mathbb{Q}(\zeta_5) で完全分解する

が確認できたことになりますね。


上では  p = 11 のケースについて特別に調べました。

他の  p \equiv 1 \pmod{5} のケースも調べるためには、例えばこんなコードを考えれば良いでしょう:

P = Primes()
p = P.first()
for i in range(30):
    I = K.ideal(p)
    print p, I.factor()
    p = P.next(p)

最初の30個の素数の分解の様子を調べています。実際、下記のように  p\equiv 1\pmod{5} のときに限り、完全分解することが確認できます。

2 Fractional ideal (2)
3 Fractional ideal (3)
5 (Fractional ideal (z - 1))^4
7 Fractional ideal (7)
11 (Fractional ideal (z^3 + 2*z^2 + z + 2)) * (Fractional ideal (z^3 - z + 1)) * (Fractional ideal (-z^2 + z + 1)) * (Fractional ideal (-2*z^3 - z^2 - z))
13 Fractional ideal (13)
17 Fractional ideal (17)
19 (Fractional ideal (-4*z^3 - 4*z^2 - 1)) * (Fractional ideal (4*z^3 + 4*z^2 + 3))
23 Fractional ideal (23)
29 (Fractional ideal (z^3 - 5*z^2 + z)) * (Fractional ideal (5*z^3 - z - 1))
31 (Fractional ideal (-2*z^2 + z)) * (Fractional ideal (-2*z^3 + 1)) * (Fractional ideal (2*z^3 - z)) * (Fractional ideal (-z^3 + 2*z^2))
37 Fractional ideal (37)
41 (Fractional ideal (2*z^3 + 3*z^2 + z + 2)) * (Fractional ideal (-3*z^3 - 2*z^2 - z - 1)) * (Fractional ideal (z^3 + 2*z^2 - z)) * (Fractional ideal (-2*z^3 - z^2 + z - 1))
43 Fractional ideal (43)
47 Fractional ideal (47)
53 Fractional ideal (53)
59 (Fractional ideal (7*z^3 + 7*z^2 + 5)) * (Fractional ideal (7*z^3 + 7*z^2 + 2))
61 (Fractional ideal (-2*z^3 + z^2 + z + 1)) * (Fractional ideal (z^3 - 2*z^2 + z + 1)) * (Fractional ideal (3*z^3 + z^2)) * (Fractional ideal (3*z^2 + 1))
67 Fractional ideal (67)
71 (Fractional ideal (-2*z^3 - 3*z^2 - 1)) * (Fractional ideal (2*z^3 + 2*z^2 - z + 1)) * (Fractional ideal (3*z^3 + 3*z^2 + z + 2)) * (Fractional ideal (3*z^3 + 2*z^2 + 1))
73 Fractional ideal (73)
79 (Fractional ideal (-8*z^3 - 8*z^2 - 3)) * (Fractional ideal (-8*z^3 - 8*z^2 - 5))
83 Fractional ideal (83)
89 (Fractional ideal (z^3 - 9*z^2 + z)) * (Fractional ideal (9*z^3 - z - 1))
97 Fractional ideal (97)
101 (Fractional ideal (z^3 + 3*z^2 - z + 1)) * (Fractional ideal (-3*z^3 - 4*z^2 - 2*z - 2)) * (Fractional ideal (-4*z^3 - 2*z^2 - z - 2)) * (Fractional ideal (-2*z^3 - z^2 + 2*z))
103 Fractional ideal (103)
107 Fractional ideal (107)
109 (Fractional ideal (z^3 - 10*z^2 + z)) * (Fractional ideal (10*z^3 - z - 1))
113 Fractional ideal (113)


さて、以上をまとめてみましょう:

  • 1. 「円」という曲線の等分点  \mu_m を考える
  • 2.  \mu_m は1点  \zeta_m によって生成される
  • 3.  \mu_m を添加した円分体  \mathbb{Q}(\mu_m) を考える
  • 4.  \zeta_m の行き先でガロア群の元が定まり、ガロア群がわかりやすく  (\mathbb{Z}/m\mathbb{Z})^\times とかける
  • 5.  \mathbb{Q} 上のアーベル拡大が、円分体に含まれる(ray類体
  • 6. ray類体なので、素イデアルの分解法則が  p \equiv 1 \bmod{m} で表せる


1. と 2. については、楕円曲線でも同様な状況を既に考察しています。

  • 1. 「虚数乗法を持つ楕円曲線」の等分点  E[m] を考える
  • 2.  E[m] は2点  P, Q によって生成される

円のケースとたしかによく似ていますね。

こうして考えると、楕円曲線でも3.に対応して「 E[m] を添加した拡大体を考えたい」と思うのは自然な発想でしょう。また、ガロア群の構造を調べたり(4.)、アーベル拡大の上での素イデアルの分解法則(5., 6.)がどのようになるか、についても気になります。


類体論の復習

以降の説明では、楕円曲線の等分点を使ってアーベル拡大を具体的に作っていく話になります。そこでは 類体論 の知識がどうしても必要になります。

以前書いた 「類体論のステートメント」 という記事の内容を、今回必要な部分に限定しておさらいしつつ進んでいきたいと思います。

より詳しく理解したい方は、下記の記事を参照ください:
tsujimotter.hatenablog.com

tsujimotter.hatenablog.com

特に二番目の記事は、虚数乗法の記事を書くために前もって用意しておいた記事でした。あれから2年も立ってしまいましたが、ようやく役に立つ時がやってきました。


円分体のときと同様、「基礎体  K の素イデアル  \mathfrak{p} が、 K の有限次ガロア拡大体  L の上でどのように分解するか?」 というのが基本的な問いになります。

今回は、基礎体  K として 虚2次体 の場合を考えます。

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「ガロア拡大における素イデアル分解」については、ヒルベルトの理論 と呼ばれるものがあり、そこでは  L/K のガロア群  \operatorname{Gal}(L/K) が重要な役割を果たします。

ガロア群には、 \mathfrak{p} に対応するフロベニウス  \sigma_{\mathfrak{p}} という重要な元が定まり、これが  L/K \mathfrak{p} が分解するかどうかを司っているのです。具体的には、 \sigma_{\mathfrak{p}} がガロア群の単位元であることは、 \mathfrak{p} L で完全分解することと同値です。

 \sigma_{\mathfrak{p}} \in \operatorname{Gal}(L/K) が単位元 \;\; \Longleftrightarrow \;\; \mathfrak{p} L で完全分解する


一方、合同イデアル類群 という概念を考えます。

 K のある整イデアル  \mathfrak{m} を考えて、 K の分数イデアル全体の中で特に  \mathfrak{m} と素なもの全体を  I_K( \mathfrak{m} ) としましょう。虚2次体  K のイデアルは必ずしも単項イデアルとは限らないので、 I_K( \mathfrak{m} ) には単項イデアルとそうでないイデアルが混ざって入っていることに注意します。

ここで、 I_K( \mathfrak{m} ) の中で、特に「単項イデアル」であり、かつ \bmod{\mathfrak{m}} 1 に合同」なものだけを集めた集合  P_K(\mathfrak{m}) を考えます。

 P_K(\mathfrak{m}) = \{ (\alpha) \mid \alpha \in K^\times, \; \alpha \equiv 1\pmod{\mathfrak{m}}  \}

「あるイデアルが  P_K(\mathfrak{m}) に入っているかどうか」という情報は非常に重要なので、 I_K(\mathfrak{m}) P_K(\mathfrak{m}) で割った剰余群  \operatorname{Cl}_K(\mathfrak{m}) を考えます。これを合同イデアル類群といいます。


合同イデアル類群  \operatorname{Cl}_K(\mathfrak{m}) とガロア群  \operatorname{Gal}(L/K) の関係をつなぐのが 類体論 です。

 I_K(\mathfrak{m}) の素イデアル  \mathfrak{p} に対して、 \operatorname{Gal}(L/K) の元  \sigma_{\mathfrak{p}} を対応させる アルティン写像 という群準同型写像を考えます。

 \begin{align} I_K(\mathfrak{m}) &\longrightarrow \operatorname{Gal}(L/K) \\
\mathfrak{p}\;\;\; &\longmapsto \;\;\;\;\; \sigma_{\mathfrak{p}} \end{align}

「アルティン相互法則」によると、まずこの写像は全射になります。さらに  L/Kアーベル拡大のとき

「写像の核が  P_K(\mathfrak{m}) を含むような  \mathfrak{m}
であって
 \mathfrak{m} を割らない  K の素イデアルは分岐しないもの」
 \mathfrak{m} を割る素イデアルだけが分岐する可能性がある)
をとることができます。このような  \mathfrak{m} で最大のものを  L/K導手 といいます。

 \mathfrak{m} L/K の導手とすると、アルティン写像の核  H P_K(\mathfrak{m}) を含みます。この H I_K(\mathfrak{m}) を割ると、次の同型が得られます:

 \begin{align} I_K(\mathfrak{m})/H & \xrightarrow{\;\sim\;} \operatorname{Gal}(L/K) \\
\overline{\mathfrak{p} }\;\;\;\;\;&\longmapsto \;\;\;\;\;\sigma_{\mathfrak{p}} \end{align}

これにより、 \mathfrak{p} がアルティン写像の核  H に属することと、 \mathfrak{p} L で完全分解することが同値となります。

これが素イデアルの分解法則を与えるわけですね。


もっと分かりやすいのは  Lray類体 のときです。

導手を割り切るかどうかと、 K のアーベル拡大の包含関係が一致する(導手定理)という事実があり、ある  \mathfrak{m} を割り切る  K 上の最大アーベル拡大  K_{\mathfrak{m}} を考えることができます。これが導手  \mathfrak{m} のray類体の定義です。

導手  \mathfrak{m} のray類体においては、アルティン写像の核がちょうど  P_K(\mathfrak{m}) に一致する という大変嬉しい性質があります。

すなわち、先ほどの同型で  L = K_{\mathfrak{m}}, \; H = P_K(\mathfrak{m}) とすると

 \begin{align} I_K(\mathfrak{m})/P_{K}(\mathfrak{m}) &\xrightarrow{\;\sim\;} \operatorname{Gal}(K_{\mathfrak{m}}/K) \\
\overline{\mathfrak{p} }\;\;\;\;\;\;\;\;&\longmapsto \;\;\;\;\;\;\sigma_{\mathfrak{p}} \end{align}

が得られます。これにより、 \mathfrak{p} P_{K}(\mathfrak{m}) に属することと、 \mathfrak{p} K_{\mathfrak{m}} で完全分解することが同値となります!

まとめるとこういうことです:

 \mathfrak{p} K_{\mathfrak{m}} で完全分解する
 \Longleftrightarrow \;\;  \mathfrak{p} P_{K}(\mathfrak{m}) に属する
 \Longleftrightarrow \;\;  \mathfrak{p} = (\pi), \; \pi \in K^\times(単項イデアル)と表せて、 \pi \equiv 1\pmod{\mathfrak{m}}


長くなりましたが、基礎体  K、導手  \mathfrak{m} に対応するray類体  K_{\mathfrak{m}} が決定できれば、素イデアルの分解法則が明示的にかけるということですね。


前節の円分体のケースでは、基礎体を  \mathbb{Q} として、導手  \mathfrak{m} = (m)\mathfrak{p}_{\infty} \mathfrak{p}_{\infty} は無限素点)におけるray類体が

 \mathbb{Q}_{(m)} = \mathbb{Q}(\mu_m)

とかけるということでした。無限素点を考慮する難しさはありますが、結果的に  \mathbb{Q} の素イデアル  (p) \mathbb{Q}(\mu_m) で分解する条件が

 p \equiv 1 \pmod{m}

と表せるというわけです。(無限素点に関する条件は  p > 0 であることに対応しています。)


j不変量とヒルベルト類体

同様に、基礎体を虚2次体  K としたときのray類体 についても決定していきたいと思います。

そのために、j不変量 という概念について説明しておきたいと思います。

j不変量は、虚数乗法に限らず、楕円曲線論においてきわめて重要な役割を果たす量です。一般に楕円曲線

 y^2 = x^3 + ax^2 + bx + c

におけるj不変量  j(E) は、次のように定義されます:

 \displaystyle j(E) = \frac{c_4^3}{\Delta}

これを計算するための各種パラメータが以下の通りとなります:

 \begin{align} \Delta &= -b_2^2b_8 - 8b_4^3 - 27b_6^2 + 9 b_2 b_4 b_6 \\
c_4 &= b_2^2 - 24b_4 \\
b_2 &= 4a \\
b_4 &= 2b \\
b_6 &= 4c \\
b_8 &= 4ac - b^2 
 \end{align}

難しく見えるかもしれませんが、結局は 楕円曲線の係数  a, b, c の有理式 で表される量です。


この  j(E) の重要性の一つに、 j(E) が楕円曲線の不変量であること が挙げられます。

すなわち、( \mathbb{C} 上)同型な楕円曲線  E, E' があったとして、それらのj不変量  j(E), j(E') は等しくなるのです。逆に、 j(E) =  j(E') であれば、 E, E' は( \mathbb{C} 上)同型です。

 E \simeq E' \;\; \Longleftrightarrow \;\; j(E) = j(E')

こんな風に、楕円曲線が同型であるか、簡単に判定できるのです。


またもう一つ、係数体が  \mathbb{C} であるような  \mathcal{O}_K に虚数乗法を持つ楕円曲線  E に対して、 j(E) が代数的数になるという事実があります。したがって、この  j(E) K に添加した体は、 K 上の有限次拡大になり、 \mathbb{C} よりも小さな体になります。

そして、 E に対して、 K( j(E) ) を係数体とするような「モデルが取れる」という事実があります。「モデルが取れる」というのは、定義方程式が異なる楕円曲線  E' であって、係数体が  K( j(E) ) であり、 E と同型なものがとれるということです。係数を  \mathbb{C} より小さく取り換えることができるということですね。

訂正:一つ前のバージョンで「係数体が  K であるような楕円曲線  E に対して、 K(j(E)) を係数とするモデルがとれる」というような記述をしていましたが、正確には上記の通りでした。係数体が  K であるならば、係数体は自明に  K(j(E)) に含まれますね。

この点も、@unaoyaさんにご指摘いただきました。ありがとうございます。


ここで、虚数乗法論における一つの大きな結果について述べましょう。

定理1(虚2次体上のヒルベルト類体)
 K を虚2次体とし、 E K の整数環に虚数乗法を持つ楕円曲線とする。

このとき、導手を  (1) とする  K 上のray類体  K_{(1)} は次のように表せる:

 K_{(1)} = K(j(E))

虚2次体上の導手  (1) のray類体は、 j(E) を添加してかけるという美しい定理です。

導手が  (1) ということは、 (1) を割り切らない  K の素イデアルはすべて分岐しないということです。

すなわち、ray類体  K_{(1)} とは、 K 上不分岐な( K のすべての素イデアルが分岐しない)最大のアーベル拡大ということです。このような拡大体を ヒルベルト類体 といいます。

ヒルベルト類体には、良い性質がいくつかあります。ガロア群の同型

 \operatorname{Gal}(K_{(1)}/K) \simeq \operatorname{Cl}_K( (1) ) = I_K( (1) ) / P_K( (1) ) = \operatorname{Cl}(\mathcal{O}_K)

より、ガロア群とイデアル類群が同型になります。すなわち、類数が1であることと、最大不分岐アーベル拡大(ヒルベルト類体)が  K 自身であることが同値になるのです。

類数が1の虚2次体  K に対しては、 K の整数環に虚数乗法を持つ楕円曲線  E を考えて、そのj不変量  j(E) が有理数であることを導くことができます。

このことの大変面白い応用として

 e^{\pi \sqrt{163}} がほとんど整数であること

が挙げられます。

詳しくは以下の記事を読んでいただければと思いますが、あれから知識もアップデートされたので、いずれ記事にしたいと思っています。
tsujimotter.hatenablog.com


さて、私たちの楕円曲線  E\colon y^2 = x^3 + x について、j不変量  j(E) を計算してみましょう。

上の式に係数を代入してもいいですが、ここはSagemathの機能を使って計算してみましょう。

E = EllipticCurve([0,0,0,1,0]); E
E.j_invariant()

結果は次の通りです:

Elliptic Curve defined by y^2 = x^3 + x over Rational Field
1728

 j(E) = 1728 であることがわかりました。 j(E) \in \mathbb{Q} となるわけですね。実は  j(E) が有理数であることは、計算するまでもなくわかります。元々の方程式の係数が整数なので、有理数以外にはなり得ないわけですね。

 E は虚2次体  \mathbb{Q}(\sqrt{-1}) に虚数乗法を持ちますから、上の定理1により、 \mathbb{Q}(\sqrt{-1}) のヒルベルト類体は  \mathbb{Q}(\sqrt{-1}) 自身になることが分かります。このことから、ガロア群の同型  \operatorname{Gal}(K_{(1)}/K) \simeq \operatorname{Cl}(\mathcal{O}_K) を通して、 \mathbb{Q}(\sqrt{-1}) の類数が 1 であることがわかります!すごいですね!


今回は類数1の例でしたが、類数2の例も計算してみると面白いかもしれませんね。この場合、楕円曲線の係数は必然的に  \mathbb{Q} より大きくなるので、計算するのも難しくなりそうですが。



クロネッカーの青春の夢

いよいよやってきました。「円」のアナロジーが「虚数乗法を持つ楕円曲線」でも成り立つことを、この節で確認したいと思います。

円の場合は  \mathbb{Q} 上のアーベル拡大でしたが、今度は虚2次体上  K のアーベル拡大を考えます。虚2次体  K 上のアーベル拡大  L/K を考えるとき、それを含むような導手  (m) のray類体はいったいどのような拡大体になるか。それを問うのが クロネッカーの青春の夢 です。

 \mathbb{Q} に対しては円の等分点  \mu_m を考えたように、虚2次体  K の場合には虚数乗法を持つ楕円曲線  E m 等分点  E[m] を添加すればよい、というのが(ほぼ)答えになります。

定理2(クロネッカーの青春の夢)
 K を虚2次体とし、 E K の整数環に虚数乗法を持つ楕円曲線とする。

このとき、正の整数  m について、導手を  (m) とする  K 上のray類体  K_{(m)} は次のように表せる:

 K_{(m)} = K(j(E), \; h(E[m]) )

ただし、 h\colon E \rightarrow \mathbb{P}^1 はウェーバー関数。

虚2次体上のray類体が、虚数乗法を持つ楕円曲線  E のj不変量  j(E) と等分点  E[m] を添加した拡大で表せるということですね!

ここから先では、この定理をじっくり味わいたいと思います!


ウェーバー関数  h についてはまだ説明していませんでしたので、ここで説明しておきたいと思います。次のように定義されます。

まず、 K に虚数乗法を持つ楕円曲線  E として、係数体がそのヒルベルト類体  H = K(j(E)) にあるモデルを取る必要があります。このようなモデルがとれることは、前節で述べました。その上で、 E の定義方程式が

 E\colon y^2 = x^3 + Ax + B

と表されるとします。もちろん  A, B \in H です。

このとき、点  P = (x, y) \in E に対して  h(P) を次のように定義します。

 \displaystyle h(P) = \begin{cases} x & (AB \neq 0) \\
x^2 & (B = 0) \\
x^3 & (A = 0) \end{cases}

要するに、楕円曲線  E x 座標を取ってくる関数ということです。また、係数  A, B の値に応じて、例外的なケース( j(E) = 0, 1728)に対しては「ちょっとだけ補正」をする関数になっています。


 K = \mathbb{Q}(\sqrt{-1}) のヒルベルト類体  H K 自身だったので、私たちの楕円曲線  E\colon y^2 = x^3 + x においては、定義方程式をそのまま使うことができます。また、係数が  B = 0 なので、実は2番目のケース(例外的なケース)に合致します。したがって、 E[m]  x 座標を2乗しなければならないことを覚えておきましょう。


最後に、この美しい定理について、具体的に計算した  m 等分点を使って確認してみましょう。


導手 (2) のray類体の計算

私たちの楕円曲線  E\colon y^2 = x^3 + x におけるj不変量は  j(E) = 1728 でした。

また、 E[2] については上で計算していましたので、それを使いましょう。再掲します:

 E[2] = \{ O, \;\; (-\sqrt{-1}, 0), \;\; (0, 0), \;\; (\sqrt{-1}, 0) \}

 x 座標は  0, \; \pm \sqrt{-1} です。これにウェーバー関数を適用すると

 h(E[2]) = \{0, -1 \}

となります。

したがって、 K = \mathbb(\sqrt{-1}) 1728, \; -1 を添加した拡大体が導手  (2) のray類体  K_{(2)} となりますが、これは  K そのものですね。

導手  (2) の非自明なアーベル拡大は存在しないということがわかりました。


導手 (3) のray類体の計算

もう一つ、 E[3] について考えましょう。

 E[3] については  x 座標しか計算していませんでしたが、ウェーバー関数を適用するので、 x 座標だけあれば十分です。

 \displaystyle h(E[3]) = \left\{ \frac{2}{3}\sqrt{3} - 1, \;\; -\frac{2}{3}\sqrt{3} - 1 \right\}

よって導手  (3) のray類体は

 \displaystyle K_{(3)} = K(j(E), \; h(E[3]) ) = K(\sqrt{3})

となります。


ray類体  K_{(3)} = K( \sqrt{3} ) が計算できたので、素イデアルの分解法則も確認してみましょう。

 K_{(3)} はray類体なので、 K の単項な素イデアル  \mathfrak{p} = (\pi) \in \mathbb{Z} の代表元  \pi

 \pi \equiv 1 \pmod{3\mathbb{Z}[\sqrt{-1}]}

を満たすとき、 \mathfrak{p} K_{(3)} で完全分解します。

ここで注意したいのは、 \pi の代表元としては  \pi, -\pi, \pi\sqrt{-1}, -\pi\sqrt{-1} のいずれも考える必要があるということです。 \bmod{3\mathbb{Z}[\sqrt{-1}]} においては、図のように合同関係があります。

f:id:tsujimotter:20200705161112p:plain:w400

 \pi, -\pi, \pi\sqrt{-1}, -\pi\sqrt{-1} は互いに合同ではありません。したがって、 K 上の素元  \pi であり

 \pi \equiv 1 \pmod{3\mathbb{Z}[\sqrt{-1}]}
または  \pi \equiv -1 \pmod{3\mathbb{Z}[\sqrt{-1}]}
または  \pi \equiv \sqrt{-1} \pmod{3\mathbb{Z}[\sqrt{-1}]}
または  \pi \equiv -\sqrt{-1} \pmod{3\mathbb{Z}[\sqrt{-1}]}

を満たすような  \pi すべてが  K_{(3)} で完全分解します。

また、 K = \mathbb{Q}(\sqrt{-1}) の類数は1なので、 K の任意の素イデアルは単項イデアルとなることに注意しましょう。


それでは、具体的に素イデアル分解を計算したいと思います。

まず、 \pi = 7 はガウス整数環  \mathbb{Z}[\sqrt{-1}] の素元です。(有理素数  p であって  p \equiv 3 \pmod{4} であるものは、ガウス整数環でも素元なのでした。)

また

 \pi \equiv 1 \pmod{3\mathbb{Z}[\sqrt{-1}]}

も成り立ちます。したがって類体論により、 (\pi) = (7) はray類体  K_{(3)} = K(\sqrt{3}) で完全分解します。

Sagemathを使ってこれを確認しましょう。

K.<a> = NumberField(x^2 + 1); K
L.<b> = K.extension(x^2 - 3); L
I = L.ideal(7); I
I.factor()


実行結果は次の通りです:

Number Field in a with defining polynomial x^2 + 1
Number Field in b with defining polynomial x^2 - 3 over its base field
Fractional ideal (7)
(Fractional ideal (3/2*a*b - 1/2)) * (Fractional ideal (-3/2*a*b - 1/2))

ここで  a = \sqrt{-1}, \; b = \sqrt{3} であることに注意すると、結果は

 \displaystyle (7)\mathcal{O}_{K_{(3)}} = \left( \frac{1}{2} - \frac{3}{2}\sqrt{-1}\sqrt{3}\right) \left( \frac{1}{2} + \frac{3}{2}\sqrt{-1}\sqrt{3}\right)

であることを示しています。 (7) K_{(3)} で完全分解するということですね! ちゃんと、法則通りになっています!

実際、右辺を計算すると

 \displaystyle \left( \frac{1}{2} - \frac{3}{2}\sqrt{-3}\right) \left( \frac{1}{2} + \frac{3}{2}\sqrt{-3}\right) = \frac{1}{4}(1 - 9(-3) ) = 7

なので、たしかにこれは素イデアル分解を与えていることがわかります。


せっかくなので、元々  \mathbb{Z} の素元ではなかった例についても考えてみましょう。

 \pi = 3 + 2\sqrt{-1} は、 \mathbb{Z} の素元  13 が分解されてできたものなので、 \mathbb{Z}[\sqrt{-1}] の素元です。さらに

 \pi \equiv -\sqrt{-1} \pmod{3\mathbb{Z}[\sqrt{-1}]}

なので、 K_{(3)} で完全分解する条件を満たします。(ちゃんと単元倍を考慮しなければいけない例になっていて、ちょうどよいですね。)

下記のコードで分解の様子が確認できます:

K.<a> = NumberField(x^2 + 1); K
L.<b> = K.extension(x^2 - 3); L
I = L.ideal(3+2*a); I
I.factor()

結果は次の通りです:

Number Field in a with defining polynomial x^2 + 1
Number Field in b with defining polynomial x^2 - 3 over its base field
Fractional ideal (2*a + 3)
(Fractional ideal ((-1/2*a - 1/2)*b - 1/2*a + 3/2)) * (Fractional ideal ((1/2*a + 1/2)*b - 1/2*a + 3/2))

これはつまり

 \displaystyle \begin{align} (3+2\sqrt{-1})\mathcal{O}_L = &\left( \frac{3}{2} - \frac{1}{2}\sqrt{-1} - \left(\frac{1}{2} + \frac{1}{2}\sqrt{-1}\right)\sqrt{3} \right) \\
 & \times \left( \frac{3}{2} - \frac{1}{2}\sqrt{-1} + \left(\frac{1}{2} + \frac{1}{2}\sqrt{-1}\right)\sqrt{3} \right) \end{align}

という分解を表しています。たしかに、完全分解していますね!!!

おわりに

今回は「具体例を通して学ぶ虚数乗法論」と題して、具体的な楕円曲線  E\colon y^2 = x^3 + x を元に、虚数乗法の面白いところをかいつまんで紹介させていただきました。楽しんでいただけたでしょうか。

 E[2], E[3] を具体的に計算することで、虚数乗法の花形である クロネッカーの青春の夢 を確認することを目指す構成にしました。具体的にray類体を計算することで、素イデアルの分解法則がちゃんと成り立つ ことを確認できたのが、個人的には面白かったです。

楕円曲線や虚数乗法に興味を持ってくれる方が増えたらいいな。


個人的に言えば、本当はもっと説明したかったことがあります。しかし、さすがに力尽きてしまったようです。続きはまた別の機会にしたいと思います。

まず、虚数乗法における面白いポイントである、イデアル類群が楕円曲線の同型類に作用するという話を書くことができませんでした。今回は楕円曲線を1個にしぼったので、「楕円曲線の同型類」という概念の紹介をなくなくカットしています。ray類体を決定するところも書きたいですね。虚数乗法とガロア表現の関係についても書きたかった。L関数も計算してみたい。

これらは当分先になるとは思いますが、また体力が回復したら続きを書いてみたいと思います。


最後まで読んでくださってありがとうございました!

よろしければ、部分的な内容に対してでも構いませんので、興味を持ったところ、面白かったところなど感想いただけると嬉しいです。

それでは、今日はこの辺で。


参考文献

楕円曲線論入門

楕円曲線論入門