前回の記事:tsujimotter.hatenablog.com
前回に引き続き、線形代数の復習編の記事です。今回は 双対空間 というものを導入したいと思います。
「線形写像を単体で考えるのではなく、全体を考えるとよい」というモチベーションのもと、 から への -線形写像全体のなす -線形空間 を導入しました。
今日は、特に として、線形空間 から への -線形写像全体のなす -線形空間
を考えたいと思います。 を の 双対空間 といいます。ちなみに、 の部分は、そのまま に置き換えても構いません。「数の集合」への写像であればよいです。
から のような数の集合に対する写像のことを 関数 と言います。 つまり、 は 上の線形関数全体を表す空間と言えますね。
実は の双対空間は、前回示したように -線形空間になります。関数の値の加法や 倍を使って、関数自身の加法や 倍を定義すれば良いわけですね。
双対空間 は、 についての大部分の情報を持っていて、まさに「双対」と呼べる存在になっています。言い換えると「関数を考えると、その土台の空間を考えたことになる」というわけです。
ここでは、次の定理を示したいと思います。
このとき、次の が成り立つ:
(1) 次を満たす 上の関数 が一意的に存在する:
(3) 写像
は同型写像である。
では、証明しましょう。
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