みなさんあけましておめでとうございます。2018 年もどうぞ宜しくお願いします。
2018 年一発目の記事として、2018 で数遊びをしてみたいと思います。
2018とフェルマーのクリスマス定理
去年は 2017 年で素数、しかも4n+1型素数だったりして、各所で 2017 の数遊びが盛り上がりました。今年は、素数ではなく、しかも合成数なので「あまり面白くないのかなぁ」と思っていたのですが、ふみ川さんという方のツイートを見て考えが変わりました。
2018は2×1009で、1009はフェルマーのクリスマス定理(4で割った余りが1であるような素数は必ず二つの平方数の和で表すことができる)で表すことの出来る素数だやったー!って記事をこないだ書いた
— ふみ川まうり🍳 (@0923Vb) 2017年12月31日
(1009=4×252+1=15^2×28^2)
フェルマーのクリスマス定理とは「 型の素数が二つの平方和で表せる」という有名な定理です。
integers.hatenablog.com
tsujimotter.hatenablog.com
先のツイートを見ると
と素因数分解できて、 は
型の素数なので、2つの平方数の和で表せるということですね。素晴らしい!
それでは、tsujimotter にこのツイートに数学的な一工夫を加えることにしましょう。
平方数の和で表される素数は 型の素数と
だけです。一方で、平方数の和で表されるのは、何も素数だけではないのです。
クリスマス定理ほどメジャーではありませんが、平方数の和で表せる 合成数 の条件というものも知られています。それは
ということです。
どういうことか簡単に説明しましょう。ある合成数 を素因数分解したときに、
型素数 or
に素因数分解されたとしましょう。すると、クリスマス定理よりそれぞれの素因子
は
と
と表せます。つまり、このように表せるということです。
ここで、高校のときに習ったブラーマグプタの恒等式を使います。
tsujimotterはこの恒等式が、恒等式の中で世界で一番好きです。これによって、 は
という二つの平方数の和で表すことができました。
以上の操作は、素因子が 型素数 or
である限りいくらでも続けられます。また、
型の素因子であっても、指数が偶数であれば、
として同様の方法で二平方和の形で表すことができます。よって、先ほどの条件になるわけです。
さて、 の素因子である
も
もどちらも平方数の和で表せます。どのように表されるかというと
となります。ここで、 の計算は
tsujimotter.hatenablog.com
のブログのプログラムを使って
p = 1009 218 * 1009 = 469^2 + 1^2 5 * 1009 = 71^2 + 2^2 1 * 1009 = 15^2 + 28^2
と計算してもいいですし、また
tsujimotter.hatenablog.com
の記事の計算方法を使って求めてもいいでしょう。
さて、 も
の二平方和に、ブラーマグプタの恒等式を適用すると
となり、結局
と表すことができましたね!やった、今年も二平方和だ!
私は全然気づかなかったのですが、せきゅーんさんによると
2018は素数の二乗+素数の二乗
— 二本松せきゅーん (@integers_blog) 2017年12月31日
とのこと。たしかに、 も
も素数ですね!
2018 とピタゴラス数
せっかくなので、もうひとネタだけ紹介して終わりにします。ある数が平方数の和で表すことができると、その数を斜辺に持つ整数辺の直角三角形を作ることができます。これについては、1年前にこの記事で紹介していました。
tsujimotter.hatenablog.com
今年もやってみましょう。
まず、2018 を二平方和で表します。
これを、 を含んだ世界で「素因数分解」します。
素因数の を2乗します。
さて、得られた複素数 の原点からの長さは
となっています。したがって、これを複素数平面にプロットすると、斜辺
の直角三角形
ができています。

面白いですね。
ちなみに、こういう図を作りたいときは、GeoGebra というツールは非常に便利に使えます。
(43 + 13i)^2
のように複素数を数式で打ち込むと、その点を適切な場所にプロットしてくれるのです。
今回の図も、GeoGebra を下絵に作りました。

みなさんも、ぜひ2018で遊んでみてください。
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*1:ちなみに、本ブログでこのダジャレを使ったのは2回目です。