突然ですが、格子 に対応する楕円曲線の定義方程式を計算したくなってきました *1。
上の記事で書いた通り、格子 に対する 上の楕円曲線 の定義方程式は、一般に
と表せます。これをワイエルシュトラスの標準形と呼ぶのでした。 は楕円曲線のパラメータで、アイゼンシュタイン級数のような式で定義されます。このパラメータ を具体的に計算してみましょう。
まず、 から計算します。定義より
です。 に対応する を計算すると
となります。
一方で については、 より
を満たすことがわかります。したがって、
を得ます。よって、 です。
したがって、楕円曲線の定義方程式は
と表すことができます。実は、上の太枠内の式
を満たす格子については、すべてこの形で書くことができます。
次回予告 pic.twitter.com/CD3EQG4Ety
— tsujimotter (@tsujimotter) 2018年5月19日
この話は次回の内容と深く関係しています。乞うご期待。
の値も具体的に特定したいところですが、 の方は のように簡単にはいきません。ここでは、有名な公式を用います。
右辺の積分は、レムニスケート周率 の半分 となっていて
となります。これを代入すると
以上より、楕円曲線の定義方程式は
と得ることができました。
グラフに表すと以下のようになります。
よくみる楕円曲線の図を、縦に引き伸ばしたような格好をしていますね。
ちなみに、上のレムニスケート周率の値は、たまたまうちの本棚にあった暗黒通信団さんの「レムニスケート周率1,000,000桁表」を参考にしました。まさかこの本が役に立つ日が来るとは思いませんでした。笑
- 作者: 真実のみを記述する会
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それでは、短いですが今日はこの辺で。