tsujimotterのノートブック

日曜数学者 tsujimotter の「趣味で数学」実践ノート

テレビ番組「金曜日のソロたちへ」に出演しました! #金ソロ

こんにちは、日曜数学者のtsujmotterこと辻順平です。

10/16(金)に放送された NHK総合「金曜日のソロたちへ」 というテレビ番組に出演させていただきました。見てくださった皆様ありがとうございます!
www.nhk.jp

NHKオンデマンドで10/30(金)まで見られるそうなので、見逃してしまった方はぜひご覧ください。
www.nhk-ondemand.jp

今回は私が「数学を楽しんでいる様子」を伝える良い機会になったと思います。ご紹介くださったNHKの関係者のみなさまに御礼申し上げます。

何か仕事のご依頼(数学講演、テレビ出演、書籍執筆 etc)ありましたら、tsujimotter [at] gmail.com までご連絡ください!

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出演の経緯

実は、私の家にはテレビがなく、失礼ながらこの番組のことは知りませんでした。「家の中を見られるのか・・・」と少し不安?にも思いました。メールで依頼をいただいたとき、断ろうとも思ったのですが、せっかくの機会だし、と試しに番組を見てみたところ、番組の最後のメッセージに心惹かれました。

いいですね。この「みんな違ってそれでいい」というメッセージ。

番組の全体を通して、出演者の生き方やこだわりに対して肯定的な雰囲気が漂っていました。この感じは私はすごく好きだなと思ったのです。

そんな経緯で出演を引き受けることになりました。

放送された内容

放送された内容について、箇条書きで簡単におさらいしましょう。

  • 「ひとり暮らし歴11年 数学マニア」の文字とともに辻の紹介からスタート。「数学の面白さをブログで発信」という感じでtsujimotterのノートブックのスクリーンショットが出てきた。ケンタッキーのサイドメニュー数え上げの記事正十七角形の作図の記事 などがテロップで紹介された。
    • このタイミングで知らない人から「数学マニアの人の話が聞きたい」というツイートが。嬉しい!
  • ホワイトボードシートをほとんど至る所の壁に貼っていて、そのシートに数式を書きなぐっている様子が紹介された。スタジオの井上さん(ノンスタイル)から「おもしろ!ガリレオやん!」との声が。これはめっちゃ嬉しい。ちなみに私が持っているシートはこちら。

  • 手回し計算機で計算している様子が紹介された。

www.youtube.com

  • 今日勉強することとして「BSD予想」がテロップで紹介された(ここが一番のポイント)。リーマン予想やポアンカレ予想などの有名な予想がテレビ紹介されることはあっても、BSD予想がテレビに出たことなんて、未だかつてあったのだろうか? そんなBSD予想の解説がテロップで紹介されたのです。すごくないですか!?

  • 撮影中は基本的にBSD予想についての記事を書いていました。撮影中には完成できなかったのですが、その後約1ヶ月かけて記事が完成しました(本記事の一番下にある関連記事2つ)。
  • 部屋に飾っている「素数Tシャツ」や「触れるゼータ関数」の紹介があった。私の「触れるゼータ関数」がついにNHKデビュー。
  • そのほかも、基本的にずっと数学をしていた。ホワイトボードに数式を書いたり、iPadのノートに切り替えたり、手回し計算機で計算したり。
  • Facetime越しに彼女にBSD予想の解説をした。
  • 寝る前にベッドで数学ゴールデンの問題を解いた(解けてない)。

テレビ出演めっちゃよかった

tsujimotterの家にはテレビがなく、普段テレビを観ません。それと、テレビ業界の人に対して勝手な偏見がありまして、実は最初に連絡がきた時はあまり気乗りしませんでした。

しかし結果から言うと、出演してすごくよかったです。そのよかったポイントを挙げたいと思います。

よかったポイント1:出演者の反応が肯定的だった

ちょうど最近、「変わった人を馬鹿にするテレビ局」の件が話題になっていましたが、「金曜日のソロたちへ」はそういう雰囲気が一切ありませんでした

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基本的に、登場する人たちの生活や主義に対して、出演者の反応は肯定的です。数式を書いている様子にノンスタイルの井上さんが「おもしろ!」って言ってみたり、番組の最後にも「みんな違ってそれでいい」のメッセージ。

これは番組作りにおいてとても意識されているところなのだと感じました。これが本当によかったです。
(番組ディレクターの方と話していても、端々にそういう意識が感じらました。)

よかったポイント2:数学を楽しんでいる様子を見せられた

日曜数学者として、自分自身が趣味で数学を伝えたいと思って活動してきましたが、一方で普段見せることができるのはあくまで「完成されたプレゼン発表」だけでした。その完成までの過程、つまり実際に数学を楽しんでいる様子については、なかなか公にすることは難しかったと思います。

今回はその過程である「日頃数学を楽しんでいるありのままの様子」を見せることができました。これは大変貴重な機会だったと思います。

よかったポイント3:周囲の反応もよかった

私の周りの数学ファンの人達の反応もとてもよかったです。たくさんの方がTwitterで番組当日に実況してくれました。(ハッシュタグ #金ソロ で検索すると見ることができます。)

BSD予想が登場したときには一部の数学ファンから喜びの声が聞こえましたし、壁にホワイトボードシートで書いているところでは「ホワイトボードシート欲しいな」という声が。実際、購入した数学ファンを何人か見かけました。

番組後にも、ロマンティック数学ナイトのイベントにも参加したのですが、関係者の方から「NHKに出てた人」として声をかけられました。思った以上に、番組を見てくれた人が居たのだなと実感しました。テレビってすごいな。
(実家の家族からも高評価でした。笑)

よかったポイント4:番組制作の方が素敵だった

撮影前から番組ディレクターの方と度々打ち合わせをしていたのですが、とても気さくな方で、こちらの考えや思いをリスペクトしてくださるような方でした(さすが金ソロという番組を作っている方だなと納得感がありました。)

この方が好奇心を持って色々聞いてくださったので、私の好きな数学の話をするのが楽しくて仕方ありませんでした。

特に撮影終了後に、今回私が当日やっていたことを1個1個確認するためにインタビューを受けたのですが、ほぼ毎週1時間以上お話していました。番組には直接は関係ない、かなり突っ込んだ数学の話まで熱心に質問してくれました。たとえば、こんな質問です:
・楕円曲線やL関数の定義とは?
・L関数を解析接続するとはどういうことか?
・収束条件を求めることはどのような数学的意味があるのか?
・BSD予想の正確な主張は?
etc.

「たとえ尺の都合で番組に使わなくとも、制作側で内容はきちんと把握しておきたい」というポリシーからとのことですが、こんなに聞いてくれるなんて正直驚きですよね。私の中でのテレビ制作に対するイメージが大きく変わりました。

おかげさまでブログを書くための頭の整理にもなり、大変ありがたかったです。私のBSD予想の記事が完成したのは、この方のおかげといっても過言ではありません。


そんなわけで、とても楽しい取材でしたし、得られたものも多い、実りあるテレビ出演でした。引き受けて本当によかったです。

冒頭にも書きましたが、NHKオンデマンドで10/30(金)まで見られるそうなので、見逃してしまった方はぜひ一度ご覧になってください。
www.nhk-ondemand.jp


それでは今日はこの辺で!