はるか昔、ユークリッドによって「素数は無数に存在する」ことは証明されていました。
ここでは、ゼータ関数のオイラー積という比較的近代的な手法を使って、上記の定理を証明したいと思います。
ゼータ関数のオイラー積:
まず、両辺に を代入します。すると、左辺は次のように書けるでしょう。
これは自然数のすべての逆数の和となっており、調和級数という名前が付いています。調和級数は(非常にゆっくりではありますが)発散することが知られています。
この事実は非常に重要なので、もう一度言い換えて書いておきます。
ゼータ関数 は の点において正の無限大に発散する。
したがって、 においては右辺も発散するはずです。
ここで素数が有限個であると仮定すると、右辺は有界です。このことは、左辺の調和級数が発散するという事実に反します。
したがって、背理法により仮定が誤りであること、すなわち、素数が無数にあることが示されました。
「オイラー積は素数にまつわる情報を調べるのに有効である」ようなことを以前の記事で書いた記憶がありますが、今回はそのことをまさに実践した内容となっています。
このほかにもオイラー積は素数にまつわるさまざまな定理の証明に利用できます。
今回の話を L関数 に応用すると、実は「ディリクレの算術級数定理の証明」もできてしまうのです。
そのうち公開する予定ですので、お楽しみに。
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