tsujimotterのノートブック

日曜数学者 tsujimotter の「趣味で数学」実践ノート

数学

3次方程式の判別式

次多項式 を考えるとき、方程式 の判別式とは、 個の解 を用いてと表せる量のことです。 たとえば、3次方程式 を考えて、その3つの解を とするときと表すことができますね。要するに、すべての解の差をとり、2乗して掛け合わせたものですね。定義から明らか…

モジュラー曲線(4):レベル構造付き楕円曲線とモジュライ空間

前回の記事では、モジュラー曲線 と楕円曲線の同型類全体が全単射であることを示しました。すなわち、 は楕円曲線の(同型類の)モジュライ空間になっているということでした。 tsujimotter.hatenablog.com 今回はレベル構造が入ったモジュラー曲線 を考えた…

モジュラー曲線(3):複素トーラスとしての楕円曲線

今回の記事は、楕円曲線についての基礎的な事項についてのおさらいです。これまでのtsujimotterのノートブックでは、色々な記事で楕円曲線について紹介してきました。しかしながら、どれも文字数や手間の関係で駆け足で紹介せざるを得ませんでした。ここで一…

曲線と関数体 (2):楕円曲線の加法はなぜ「あの」定義なのか?

今回のテーマは楕円曲線の加法はなぜあの定義なのか?です。前回に引き続き、楕円曲線の謎に迫っていきましょう。前回の記事はこちら: tsujimotter.hatenablog.com

曲線と関数体 (1):楕円曲線はなぜ3次曲線で表せるのか?

楕円曲線とは(細かいことを抜きにして言えば *1)という式で表される曲線のことです。上の方程式のことを、楕円曲線の定義方程式といいます。 時と場合によって微妙に定義式の書き方が異なったりますが、左辺の の指数はいつも 2乗 になっていて、右辺の式…

1729とK3曲面

こんにちは。本日、東京にて 日曜数学会 というイベントが開催されますね。日曜数学会は毎年1月・6月・10月の3回開催されていますから、実に5ヶ月ぶりとなります。5ヶ月も経つと「発表したいネタ」が溜まるようで、毎年この時期は発表者がたくさん集…

層の定義

最近、スキームの話をきっかけに、tsujimotterのノートブックにも「層」という概念が登場するようになりました。ところが、これまでのブログ記事では、層の定義は頑なに避けられてきました。その理由は、私自身が理解できていなかったからです。今回は、いよ…

層の射は自然変換

先日、アフィンスキームについての3部記事を公開したところ、いろんな反応をいただきました。*1 tsujimotter.hatenablog.comいただいたコメントの一つに、実は「層の射は、実は自然変換である」ということを教えてくれるものがありました。tsujimotterはこ…

単項化定理と群コホモロジー

こんにちは。最近、群コホモロジーがマイブームのtsujimotterです。群コホモロジーといえば、以前の記事で群コホモロジーに関する定理「ヒルベルトの定理90」を使って、クンマー理論を導く話を書いたことがありました。 tsujimotter.hatenablog.com今回は ヒ…

ガロアに浸れる出版物・ウェブサイト紹介

今日は5/31というわけで、今年も「数学者エヴァリスト・ガロアの命日」がやってきました。「ガロアの命日」は私の携帯のカレンダーに登録されています。毎年5/31には、京大の数学教室で「ガロア祭」なるイベントも開催されているようですね。今日の16:30から…

33 = X^3 + Y^3 + Z^3 の整数解

今回のテーマは 33 という整数についてです。今朝、アフィンスキームについての重い記事を投稿したばかりですが、この記事では軽い感じでいきましょう。 を固定した自然数として、 なる方程式の整数解を考えたいと思います。

アフィンスキームとは何だろうか(3)

この記事は、シリーズ記事「アフィンスキームとは何だろうか」の第3回の記事です。第1回の記事: tsujimotter.hatenablog.com第2回の記事: tsujimotter.hatenablog.com 前回はついにアフィンスキームを定義しました。今日は、本シリーズの最後の記事とし…

アフィンスキームとは何だろうか(2)

この記事は、シリーズ記事「アフィンスキームとは何だろうか」の第2回の記事です。第1回の記事はこちら: tsujimotter.hatenablog.com 前回はアフィンスキームの定義に向けて、環のスペクトルとザリスキー位相という概念を紹介しました。位相が入ったので…

アフィンスキームとは何だろうか(1)

数論の勉強をしていく中で、スキーム理論の言葉で書かれた文章をたびたび見かけるようになり、スキームの基礎的な事項について理解したいと思うようになりました。代数幾何学の標準的な(?)教科書であるハーツホーン [文献1] などの本を読んで、基本的な部…

階乗数の間の関係式:10! = 6!7!

今日は が主役です。 は定義からですが、ここから を除いたを考えてみましょう。 のように置き換えるととできて、これは そのものです。したがって、表題の が成り立ちます。 これだけでも十分面白いのですが、実は という関係式には、こんな面白い特徴があ…

f(x) = 2x + 1 を mod 5 で繰り返し合成させるとどうなるか?

先日話題になった FF5の記事(1) や FF5の記事(2) の議論の中でとして なる数列について考えていました。 要するに、1次多項式 を考えて で を繰り返し合成させるとどうなるか? という問題を考察していたわけです。考えてみるとなかなか面白かったので、今日…

FF5のレベル5デスと整数論 (2)

前回の「FF5のレベル5デスと整数論」の記事では、多くの方々に読んでいただくことになり、たくさんの反響がありました。 「コラッツ予想に似てる」 「数式部分はよくわからなかったけど面白い」 「数学的な考察の勉強になった」 「授業の教材としても使える…

FF5のレベル5デスと整数論

Final Fantasy Ⅴ(以下、FF5)というゲームをご存知でしょうか?私が小学生ぐらいの頃に流行したロールプレイングゲームです。当時、私はFFの魅力がわからずプレイしたことすらなかったのですが、大人になってからその面白さに気づき、はまっています。今回…

タイヒミュラー指標

明けましておめでとうございます。新年最初の記事になりますが、もう既に新年から2ヶ月以上経っていることに驚きました。さて、本日あたりから「p進ゼータ関数」という本が店頭に並び始めました。p進ゼータ関数 久保田-レオポルドから岩澤理論へ (シリーズ…

ガロア表現とChebotarevの密度定理の使い方

好きな証明 Advent Calendar 2018 の13日目の記事です。 好きな証明 Advent Calendarということで,私が今年になってから勉強し始めた「ガロア表現」という分野の定理の中で,特に面白いと思った証明を紹介したいと思います。

パスカルの三角形にたくさん出てくる数: 3003

この記事は 日曜数学 Advent Calendar 2018 の 1日目の記事です。 今日から12月、今年も アドベントカレンダー の季節がやってきましたね!毎年12月になると、さまざまなテーマで持ち回りでブログ記事を書き合うお祭りがはじまります。それがアドベントカレ…

「月を入力すると日を返す多項式」と中国剰余定理

「月を入力すると日を返す多項式」の話が、Twitterのタイムライン上で話題になりました。 togetter.comどんな話題かというと、多項式 を以下のように定義したとき この に を代入すると、となり、月を入力すると日を返す多項式になっています!すごい! こん…

「インテジャーズ イン 仮面ライダービルド」関連記事紹介(tsujimotter編)

10/6に開催されたMathpower2018というイベントにおいて「インテジャーズ イン 仮面ライダービルド」という対談企画が開催されました。tsujimotterは、数のエンターテイナーの関真一朗さん(id:integers)と共演し、1時間半の講演をしてきました。 写真提供…

超幾何級数と超幾何定理

今日は 超幾何級数 のお話をしたいと思います。なお、 はポッホハマー記号といって、 で定義されます。より一般の複素数に対しては、あとで定義するガンマ関数によって としても定義できます。 超幾何級数は、tsujimotterのブログでも一度出てきたことがあり…

続:7は合同数(計算機編)

ここ最近「合同数」について勉強し、理解度が上がってきました。そこで、今日は合同数の具体的な計算をやってみたいと思います。今回は「7は合同数」の記事に出てきた「あの三角形」を計算で求めてみましょう。 tsujimotter.hatenablog.com SageMathについて…

リーチ格子とキャノンボール問題

24 にまつわる「リーチ格子」と「キャノンボール問題」の興味深い関係について紹介します。

合同数問題と保型形式(タネルの定理の証明の概略)

先週の日曜に梅崎さんが主宰する「数学について話す会」というイベントが開催されてtsujimotterも参加してきました。 数学について話す会 数学について話す会は「参加者全員が自分の好きな話をする」という、他ではあまりないタイプのイベントでした。参加者…

セルマー群と2-descent法

を代数体として 上定義された楕円曲線の -有理点の群をモーデル・ヴェイユ群 といいます。モーデル・ヴェイユの定理によって、 が有限生成であることが示されていますが、その自由部分の生成元の個数、すなわちランクを決定するのは一筋縄ではありません。今…

Knightの問題

今日は Knightの問題 を紹介します。Knightの問題は、ぱっと見はただの初等的な整数問題に見えるのですが、実は楕円曲線と関連する面白い問題です。

不思議な法則

ここに二つの2次無理数があります。 は、どちらも判別式が となる2次無理数となっています。 が2次無理数であるとは、 が既約な2次方程式の解であるということです。このとき、 を の判別式と言います。判別式が負であるような2次無理数を虚2次無理数と言い…