tsujimotterのノートブック

日曜数学者 tsujimotter の「趣味で数学」実践ノート

整数論

虚数乗法論 (3):だから「虚数」「乗法」だったのか

虚数乗法シリーズ、第3回目です。今回は「虚数乗法」という呼び名に納得してもらえるような話をしたいと思います。記事を読み終わったみなさんが、タイトルのような感想を持つことを期待しています。シリーズの記事は、こちらのタグから検索ください。 tsuj…

虚数乗法論 (2):楕円曲線の由来

虚数乗法シリーズ、第2回目です。シリーズの記事は、こちらのタグから検索ください。 tsujimotter.hatenablog.com 今日は、楕円曲線の基本的な事項についてお話します。この記事を読んだら、楕円曲線の由来が楕円関数からきていることが納得できるかと思い…

虚数乗法論 (1):イントロ

今回から数回に分けて 虚数乗法 について解説するシリーズをはじめたいと思います。その初回として「虚数乗法とは何なのか」「虚数乗法の何がおもしろいのか」について、かいつまんで紹介したいと思います。これを機に虚数乗法について興味を持っていただけ…

類体論のステートメント

今日は 類体論 のステートメント(主張)を述べて、その簡単な解説をしたいと思います。類体論のステートメントは、大きく2種類あって、 合同イデアル群を用いたもの イデール群を用いたもの があります。また、今回は単に「類体論」と言っていますが、 大…

ヘンゼルの補題と7進法人間

みなさん、ヘンゼルの補題 という定理をご存知でしょうか。ヘンゼルの補題は、整数論についてのとても重要な定理の一つです。 進数 という、現代の整数論において必須とも言える概念とも深く関連します。でも、ちょっとだけややこしい。今日はこの定理の紹介…

センター試験2018 数学Ⅰ・数学A 第4問

2018年のセンター試験の問題が気になって 数学Ⅰ・A だけ解いてみました。どれもなかなか面白い問題だったのですが、特に 第4問 が個人的に面白かったので、今日はその問題の解説をしたいと思います。諸注意: 本ブログ記事は、日曜数学者 tsujimotter が趣味…

カタラン予想とマチンの公式

カタラン予想は、次のような有名な数論の予想です。を満たす正の整数 の組は に限る.「予想」とはいっても、実はもう既に解決されている問題です。カタラン予想は、2002年にミハイレスクという数学者によって解決されました。このことについては、以前のブ…

2017を二つの平方数の和で表す方法 (2)

日曜数学 Advent Calendar 2017 の 25 日目(最終日!)の記事です。 数学大好き皆様こんにちは。今日は、日曜数学アドベンター2017 最終日です!2017 年最後ということで 2017 に関するお話です。 を のような奇数の素数を考えたとき「 なる整数 を具体的に…

眠気と闘うあなたへ:素イデアル分解のすすめ

突然ですが、眠くて眠くてしょうがないときってありますよね。スマホを開くことができれば、いろいろと目をさますコンテンツにアクセスすることができます。しかしながら、スマホを開くことができないときもありますよね*1。ここには紙とペンしかない。眠気…

補足:法2017における(-1)の平方根の計算

本日アップロードしたばかりのこちらの記事 tsujimotter.hatenablog.comではを計算する効率的な方法がわからない、と書いていました。先ほど nishimura さんという方に*1効率的な方法を教えていただきましたので、その方法を補足したいと思います。「オイラ…

2017を二つの平方数の和で表す方法 (1)

この記事は 数学とコンピュータ Advent Calendar 2017 の 7 日目の記事です。 数学好きなITエンジニアの皆様こんにちは。日曜数学者を名乗り、趣味で数学を学んでいるtsujimotterと申します。本業では情報系の研究者をしていて、日頃プログラミングには親し…

コーシー積分は整数論に使える?

ハッピーフィボナッチ!今日は 11/23 で,フィボナッチ数の最初の4項 1, 1, 2, 3 が並ぶ日です。そのため,11/23 はフィボナッチの日と呼ばれ,親しまれているようです。フィボナッチ数列は,という漸化式で定義された非常に有名な数列です。「 の一般項を…

ヒルベルトの定理90とクンマー理論

「ヒルベルトの定理90」という有名な定理があります。定理の名称は,ヒルベルトの有名な報文(Zahlbericht)での定理番号から今日はこの定理について紹介します。定理:ヒルベルトの定理90 を有限次ガロア拡大としたとき,が成り立つ。

クンマー理論

クンマー拡大についての記事を準備しているうちに,いくぶん理解が進んできました。 tsujimotter.hatenablog.com今日は,本題の「クロネッカー・ウェーバーの定理」から離れて「クンマー理論」について紹介します。クンマー理論については,しばらく前からず…

クロネッカー・ウェーバーの定理と証明のあらすじ(その3):クンマー・ペアリング

今日は「クンマー・ペアリング」についてのお話です。以下のシリーズの続きです。 tsujimotter.hatenablog.com

クロネッカー・ウェーバーの定理と証明のあらすじ(その2):クンマー拡大

ご無沙汰しています。tsujimotterです。久しぶりに「クロネッカー・ウェーバーの定理と証明のあらすじ」シリーズの続きを書きたいと思います。 tsujimotter.hatenablog.com今日の主役は クンマー拡大 です。クンマー拡大とは,「巡回拡大」が「ベキ根の添加…

クロネッカー・ウェーバーの定理と証明のあらすじ(その1)

今日は,私の大好きな数式から話を始めたいと思います。

ガウスの種の理論 (Genus Theory)

今日考えたい問題は という二次形式で書ける素数の法則です。実際,という法則が知られており, の素イデアル分解によって説明できます。これについて,以前の記事でまとめたことがありました。 tsujimotter.hatenablog.com一方で,上の記事では「たまたまそ…

163とドカベン素数

4 で割って 1 あまる素数は,すべて2つの平方数の和でかけるという事実は,非常に有名なのでご存知の方も多いかと思います。私のブログでもたびたび取り上げてきました。フェルマーが発見したので,フェルマーの二平方定理(あるいは,二平方和の定理)とい…

二次体の分解法則と平方剰余の相互法則

前回に引き続き類体論に関するお話です。続きものなので,ぜひ以下の記事を読んでからきてください。 tsujimotter.hatenablog.com今日の主役は 二次体 です。二次体とは,平方因子を持たない に対して の形で与えられる の二次拡大体のことです。一見簡単そ…

円分体の類体論の復習

tsujimotter.hatenablog.com 以上の記事では,整数論にガロア理論を適用させ,素イデアルの分解法則を見出す「ヒルベルトの理論」の枠組みを紹介し,その系として円分体の分解法則を導きました。上の記事から半年以上経っているので,円分体の類体論を復習し…

素数ℓはℓ次の円分体で完全分岐する

しばらく類体論周辺の話を書きたいと思っています。今日は後の記事のための補助的な内容を書きたいと思います。今日のテーマは円分体の分岐についての定理。

29 の倍数判定法

こんにちは。最近数学をする時間がとれなくてもやっとしているtsujimotterです*1。ちょっとした気晴らしに小ネタを書きたいと思います。 *1:「数学する時間がとれない」というより「数学はしているけど,ブログを書いている暇がない」かもしれません。今,書…

8 と 9 の黄金ペア:カタラン予想

本日は 8 月 9 日ということで,8 と 9 のペアで作られる数学のお話をしましょう。 という数は で3乗数, という数は だから平方数ですね。これらの数の差は なのでが成り立ちます。すなわち,「べき乗数 ひく べき乗数」が1となっているわけです。ここで…

巷で話題のカーマイケル数・カーマイケルの定理について

最近こんなニュースが話題になっているようです。中国人の一般男性が「カーマイケル数」を導出する方法を再発見した、とのこと。 news.livedoor.com一部引用すると 河南省の青年・余建春さんは短大卒でここ数年は、アルバイトで生計を立てている。そんな余さ…

群論におけるフェルマーの小定理

ご無沙汰しております。約3ヶ月ぶりの投稿です。4月より職場がかわったのですが、仕事に慣れるまでに期間がかかってしまい、ブログの更新が滞っておりました。その間も日曜数学は楽しく続けておりましたので、少しずつブログの方でも公開していけたらと思…

自由研究:「tsujimotter の 29 予想」が解決しました!

以前、 という素数に関する以下の記事を書いたのを覚えていますか。 tsujimotter.hatenablog.com この問題について、twitter で以下のような投稿をしたのです。【29】「x^4+y^4+z^4 は x=y=z=p を除いて p で割り切れない」を満たす素数 p は 5, 29 だけ…ら…

「フェルマーゲーム」の拡張性について

腹痛のためベッドの中で引きこもっていたら、4n+1型, 4n+3型の素数をそれぞれ列挙し合う新しいゲーム「フェルマーゲーム」が生まれました!腹痛もたまには良いことしますね。笑 ゲームのルールは、にせいさんがブログでまとめてくれました。nisei.hatenablog…

素イデアル分解法則を考える(ヒルベルトの理論とフロベニウス自己同型)

今日は私がまさに今現在勉強している「素イデアルの分解法則」についてお話ししたいと思います。素イデアルの分解については,これまでの記事でも「フェルマーの二平方定理」やその関連する法則について触れてきましたので,ずっと興味はあったのです。しか…

勘違いしやすい(かもしれない)素数の無限性

前回 は「素数ばかり生成される多項式」についてお話ししました。今回は「素数を無限に生成できる(かもしれない?)多項式」についてのお話です。それでは、まず以下の問題について考えてみてください。あなたは即答できるでしょうか。 とかける素数 は無限…