tsujimotterのノートブック

日曜数学者 tsujimotter の「趣味で数学」実践ノート

整数論

クロネッカー・ウェーバーの定理と証明のあらすじ(その1)

今日は,私の大好きな数式から話を始めたいと思います。

ガウスの種の理論 (Genus Theory)

今日考えたい問題は という二次形式で書ける素数の法則です。実際,という法則が知られており, の素イデアル分解によって説明できます。これについて,以前の記事でまとめたことがありました。 tsujimotter.hatenablog.com一方で,上の記事では「たまたまそ…

163とドカベン素数

4 で割って 1 あまる素数は,すべて2つの平方数の和でかけるという事実は,非常に有名なのでご存知の方も多いかと思います。私のブログでもたびたび取り上げてきました。フェルマーが発見したので,フェルマーの二平方定理(あるいは,二平方和の定理)とい…

二次体の分解法則と平方剰余の相互法則

前回に引き続き類体論に関するお話です。続きものなので,ぜひ以下の記事を読んでからきてください。 tsujimotter.hatenablog.com今日の主役は 二次体 です。二次体とは,平方因子を持たない に対して の形で与えられる の二次拡大体のことです。一見簡単そ…

円分体の類体論の復習

tsujimotter.hatenablog.com 以上の記事では,整数論にガロア理論を適用させ,素イデアルの分解法則を見出す「ヒルベルトの理論」の枠組みを紹介し,その系として円分体の分解法則を導きました。上の記事から半年以上経っているので,円分体の類体論を復習し…

素数ℓはℓ次の円分体で完全分岐する

しばらく類体論周辺の話を書きたいと思っています。今日は後の記事のための補助的な内容を書きたいと思います。今日のテーマは円分体の分岐についての定理。

29 の倍数判定法

こんにちは。最近数学をする時間がとれなくてもやっとしているtsujimotterです*1。ちょっとした気晴らしに小ネタを書きたいと思います。 *1:「数学する時間がとれない」というより「数学はしているけど,ブログを書いている暇がない」かもしれません。今,書…

8 と 9 の黄金ペア:カタラン予想

本日は 8 月 9 日ということで,8 と 9 のペアで作られる数学のお話をしましょう。 という数は で3乗数, という数は だから平方数ですね。これらの数の差は なのでが成り立ちます。すなわち,「べき乗数 ひく べき乗数」が1となっているわけです。ここで…

巷で話題のカーマイケル数・カーマイケルの定理について

最近こんなニュースが話題になっているようです。中国人の一般男性が「カーマイケル数」を導出する方法を再発見した、とのこと。 news.livedoor.com一部引用すると 河南省の青年・余建春さんは短大卒でここ数年は、アルバイトで生計を立てている。そんな余さ…

群論におけるフェルマーの小定理

ご無沙汰しております。約3ヶ月ぶりの投稿です。4月より職場がかわったのですが、仕事に慣れるまでに期間がかかってしまい、ブログの更新が滞っておりました。その間も日曜数学は楽しく続けておりましたので、少しずつブログの方でも公開していけたらと思…

自由研究:「tsujimotter の 29 予想」が解決しました!

以前、 という素数に関する以下の記事を書いたのを覚えていますか。 tsujimotter.hatenablog.com この問題について、twitter で以下のような投稿をしたのです。【29】「x^4+y^4+z^4 は x=y=z=p を除いて p で割り切れない」を満たす素数 p は 5, 29 だけ…ら…

「フェルマーゲーム」の拡張性について

腹痛のためベッドの中で引きこもっていたら、4n+1型, 4n+3型の素数をそれぞれ列挙し合う新しいゲーム「フェルマーゲーム」が生まれました!腹痛もたまには良いことしますね。笑 ゲームのルールは、にせいさんがブログでまとめてくれました。nisei.hatenablog…

素イデアル分解法則を考える(ヒルベルトの理論とフロベニウス自己同型)

今日は私がまさに今現在勉強している「素イデアルの分解法則」についてお話ししたいと思います。素イデアルの分解については,これまでの記事でも「フェルマーの二平方定理」やその関連する法則について触れてきましたので,ずっと興味はあったのです。しか…

勘違いしやすい(かもしれない)素数の無限性

前回 は「素数ばかり生成される多項式」についてお話ししました。今回は「素数を無限に生成できる(かもしれない?)多項式」についてのお話です。それでは、まず以下の問題について考えてみてください。あなたは即答できるでしょうか。 とかける素数 は無限…

オイラーの素数生成多項式の秘密

今日はオイラーが発見した, という多項式についてお話したいと思います。 ある特別な に対して,多項式の に整数 を入れていくと,「素数」が次から次へとたくさん出てくるのです。まるで 「魔法の多項式」 です。これだけでも十分面白いのですが,なんとこ…

4n+3型, 6n+5型, 8n+5型素数の無限性

少し前に、私の周囲で「"" 型素数が無限に存在することを初等的に証明できるか?」という議論が流行っていました。私が追っていた限りにおいては、ちょっとずつ穴があって証明は叶わなかったようです。私は、てっきりこの手の問題、すなわち 型素数の無限性…

7は合同数

1つ前の記事で「合同数」の話が出たので,合同数についてのもう一つの話題を。 復習しておくと,合同数とは「すべての辺の長さが有理数であるような直角三角形の面積になる数」のことです。図で表すとわかりやすいですね。

リュカのキャノンボール問題

面白い問題を見つけたので紹介します!「エドゥアール・リュカ」という名前を聞いたことがあるでしょうか。リュカ数列や,メルセンヌ素数の「リュカ・レーマーテスト」で有名なあの「リュカ」です。 彼は数学にまつわるパズルのような問題をたくさん紹介した…

原始根の数のかぞえかた

以前、第2回プログラマのための勉強会 というところで「時計の世界の整数論」という発表をしました。「時計の世界の整数論」は, が素数のときの 上での整数論についてまとめたものです。その中で以下の定理がありました。 図は, として におけるべき乗を…

FLTとクンマーとイデアル類群

2016年が始まりました。日曜数学者の tsujimotter は、今年も楽しく数学をしていきたいと思っています。どうぞよろしくおつきあいください。 というわけで、新年一発目の数学の話を。今日の目標は、以下の命題の一般的な証明方法についての解説です。 命題:…

「3の100乗を19で割ったあまりは?」を4通りの方法で計算する

この記事は 日曜数学 Advent Calendar 2015 の 8日目の記事です。(7日目:京大特色入試, コインの問題を解く | kinebuchitomo) ニコニコ動画の「数学」タグを検索するのが日課の日曜数学者 tsujimotter です。「数学」で検索すると、本当にいろいろな動画…

オイラーの五角数定理 と ヤコビの三重積

小学校の頃に算数で「おはじき」を並べる授業があったのを覚えているでしょうか。みなさんきっとやったことがあると思いますが,おはじきを正三角形の形に並べることができますね。最初は1個,次は3個,その次は6個,そして10個。10個では「ボウリン…

xx + 27yy 型の素数 と オイラーの五角数定理

これまでこのブログではという二次形式で表すことのできる素数に想いを巡らせてきました。 のときには,それぞれの二次形式で表すことができる素数の必要十分条件が完全に分かっています。このブログでも数回にわたって解説してきました。 一般に,「多くの…

二次体 Q(√-5) のイデアル類群と xx + 5yy 型の二次形式

関連記事: tsujimotter.hatenablog.com 「イデアル類群は,単項イデアル整域からどれだけ離れているかを測る "ものさし" である」 というような文章は,イデアル類群を簡単に説明するためによく用いられる解説ですが,こんな説明を聞いても「はぁ?何言って…

Z[√-5] のイデアルについて

二次体 上の整数環 を考えたときに,その代数的整数に対して「素因数分解の一意性は必ずしも保証されない」 という問題は,代数的整数論のイントロダクションとして重要なトピックだと思います。具体的には, のときには, という数が2通りに素因数分解され…

二次形式の類数を求めるプログラム

今回お話ししたいのは「正定値二次形式の判別式 に対して,類数 を計算する Ruby のプログラムを作った!」という話です。なのですが,この分野を知らない人にとっては上の文章はサッパリですね。「二次形式ってなに?」「判別式ってなに?」「類数って・・…

「基本領域ゲーム」を作った

保型形式の理論を勉強していると基本領域(Fundamental Domain)という概念が出てきます。これ非常に重要な概念だと思うのですが、専門書を読んでも何を書いてあるかサッパリ分からないのですよね。これ以上考えていても埒があかないので、図示してみようと…

続・691 に心惹かれる理由

前回:691 に心惹かれる理由 - tsujimotterのノートブック 前回の記事では、 691 という数が登場する、3つの不思議な定理について紹介しました。 前回紹介した定理たち: a. b. ゼータ関数 とベルヌーイ数 の分子に が現れる c. は非正則素数である( の類…

691 に心惹かれる理由

日曜数学者と名乗る前は「数のエンターテイナー」と名乗っていた tsujimotter です。久しく数のエンターテイナー成分がなかったので、ひさびさに「数についての雑学」をお話しようと思います。タイトルにある "691" という数は、単なる素数に見えるかもしれ…

「第2回プログラマのための数学勉強会 #maths4pg 」で整数論の話をしてきました

ご無沙汰してます。お久しぶりのブログ更新です。表題の数学勉強会の準備に専念していて、ブログの方に手が回りませんでした。一ヶ月ぶりの記事は 2015年3月27日に開催された「プログラマのための数学勉強会」のレポート記事です。tsujimotter の発表テーマ…